遭遇
フランside、今回は少し長めです。
昨日の昼、私は森林にて夕飯の材料である野草と茸を採取を行っていた時数十人近い人間が野宿をした形跡を見つけた。私は嫌な予感がした。
これがもし『奴等』の物だったとしたら私達は直ぐ今の拠点を捨てなければならないとそう思った矢先、私の目の前に彼が休んでいた。
私は思い出した。共に過ごした一人の男の存在を・・・。
彼、『名無し』さんの事を忘れていたからだ。
最初は彼が洞窟で裸で倒れていたのは正直驚いた。
彼には自分の名前と記憶が無い、だから私は彼の事を『名無し』さんって呼んでいた。
彼と共に過ごした7日間は本当に楽しかった。
ずっとこの暮らしが続けていたらと、だけど現実はそう甘くはいかなかった。
『奴等』がこの廃城まで近づいていたからだ。私とリィフェは夜明け前に彼が寝ている隙に廃城から立ち去った。
彼に何度謝ってもどうせ許してはくれないだろう。私達は『奴等から』逃げる、逃げ続けるそして・・・。
「姫様っ!」
「!」
時は現在に戻る、場所は荒れ果てた荒野、私達は連中に追われていた。そして現在私達は連中に前方後方、共に囲まれていた。黒い鎧兜を身に付けた男達に。
「囲まれた・・・。」
「帝国軍の追撃部隊か・・・。姫様は下がってて下さい、ここは私一人で太刀打ちします。」
そう言ってリィフェは自分の剣を抜く、だが私はリィフェの隣に入り自分の剣を抜く。
「姫様っ!」
「リィフェ、私は何時も貴女に護られ続けた。だけど、私だって戦える!一緒に戦わせて。」
「・・・分かりました。ですが余り無理はしないで下さい、その時は私を置いて奴等から逃げて下さい。」
「それは駄目、逃げるなら貴方と共に!」
そして私達は帝国の兵士達に向かって突撃する。
「やむを得ん!正し姫だけは生かせ、それ以外は殺してもかまわん!!」
帝国の兵士達は武器を持って私達に襲い掛かる。
「はあっ!」
リィフェが颯爽に敵兵を一人斬り捨てる、後方に一人の兵士がリィフェに斬りかかる、しかしリィフェは左回し蹴りで兵士の腹に受けさせると同時に斬りかかるこれで二人。
「私だって!」
私は目の前の敵兵に斬りかかる。それにしても敵の力が強い、このままでは私が斬られる、私には力が無いけど、私にはリィフェから教えられた剣の技術があるから。
「剣技・流」
「ぐわあっ!」
私は敵の次の斬撃を自分の剣で受けると同時に剣を流し身を回転と同時に敵の背中を斬りつける、まず一人。
すると私の目の前に一人の兵士が立ちはだかる。しかも一時的だけど驚いてる。
「なっ・・・。」
好機、私はこのまま敵兵の腹目掛け突きを決め込む。
「ぐあっ!」
「これで二人・・・。」
私は気付かなかった。後ろに槍を持った敵兵が私の後ろにいたことを。
「死ねええええっ!!」
「しまっ・・・!」
だけどその時、別方向から鋭い小さな竜巻が敵兵を岩壁へと直撃する。別方向から駆けつけたのはリィフェだった。
「無事ですか姫様!」
「リィフェ!」
「後方の兵達は片付けました。後は前方の兵士達だけです。」
すると一人の敵兵が私達に襲い掛かる。だがリィフェは剣を使わずに左手から風の竜巻を放ちだす。
「風槍!」
リィフェの魔法・風槍が敵兵をまた岩壁に直撃させる。
前方の敵の兵士の数は残り3人、不利だけどこの数ならいける。
勝てる!
だけどそう簡単には行かなかった。何故なら私達の目の前に敵の新たな増援が駆けつけて来たからだ。
増援の数は三人、内の一人、馬に騎乗している長髪の男を目にする、男は兵士とは違い鎧兜を身に付けず変わりに赤い背広を着込んでいた。
目の前の兵達が男の方を振り向き怯えだす、まさかこの男!
「貴族騎士っ!」
「随分と無様な姿を私に見せつけてくれたな・・・。溝鼠共!」
「ル、ルウィエール卿!!」
「も、申し訳有りません!」
兵達は脅えている、ルウィエールという貴族騎士に、相も変わらず帝国の貴族は貧民達を見下している。
「愚か者共が、貴様らに本当の戦闘というのを私自ら教えてくれる。」
ルウィエールは馬に騎乗した状態で自分の服の右袖を少し上げる。奴の右腕には紫色に輝く宝珠を埋めた黒い腕輪を身に付けていた。そしてルウィエールは右腕を掴んだまま叫んだ。
「門・開門!!現れよ、ゴーレム!!」
突如ルウィエールの腕輪が輝きだし、私達の前に大きな次元の空間が出現した。
「次元門・・・。」
次元門、発動した位置に別の場所からあらゆる物体を呼び出させる次元の門。
帝国軍が開発した門腕輪のせいで私達の国や他の街や村が支配されてしまった。
門から巨大な怪物染みた石像の巨人が私達の前に姿を表した。
「行けゴーレム!姫を捕らえろ!!」
「■■■■■ーーーッ!!!!」
ゴーレムの唸る叫びと同時に眼が赤く輝かし私達に襲い掛かる。
「姫様下がってて下さい!ここは私が!」
リィフェは私の前に立ちゴーレムに向けて左手を構え再び風槍を放ちだす。
「風槍!!」
風槍はゴーレムの胴体に命中し私達から引き放される。だがルウィエールは微笑む。
「馬鹿な女騎士だ。ゴーレム!押し潰せ!!」
「■■■■■ーーーッ!!!!」
ゴーレムは風槍を受けたまま私達に向かって走り出す、私達とゴーレムの距離が縮んで行く、リィフェの風槍がどんどんと押し潰されていく。けど私達の左右には奴の部下である兵士が入るのにゴーレムはそれを気にせず右の拳で私達のいる地面に向けて殴り掛かる。
「ま、待って下さいルウィエール卿!目前には我々が!?」
帝国の兵士達はルウィエールに叫びだす、だがルウィエールは自分の目の前に入る兵士達を見て
「貴様等は帝国の、我等の為に死ね、鼠共。」
ゴーレムの拳が地面を砕き破壊する。その衝撃と同時に地面が飛び散る帝国の兵士達の身体を突き刺さって死んでいく。
「「「ぐわああああっ!!?」」」
飛び散った地面が私達にも襲い掛かる。するとリィフェが私の前に入って両手を出し防御魔法を唱えた。
「結界!」
リィフェの目の前に六角形の結界が現れ飛び散った地面から私達を守る。だけどゴーレムの攻撃は止まらない。
「ゴーレム!結界を粉砕しろ!!」
「くっ!」
「■■■■■ーーーーッ!!!!!」
「きゃあっ!」
「ぐああっ!」
ゴーレムは拳で結界を殴り結界を破壊し私達もろとも吹き飛ばす。私達はゴーレムの攻撃の衝撃で強く地面に倒れる。
「ううっ・・・。」
「ぐっ・・・。」
私達は何とか立ち上がる、だけどリィフェは先程の攻撃で大きく攻撃を受けてしまっている。
「ククク、如何ですかこの機械人形・ゴーレムの力は?白の国、アインライト王国エリウス王家第一王女『姫騎士』フランフェルト=エリウス=アインライト姫殿下。」
「・・・・・・貴女の目的はこの私フランフェルトと白のクリスタルストーンですか?」
私は首に身に付けていた白く輝くクリスタルを取りだしルウィエールに見せる。
「・・・ええ、その通りで御座いますフラン姫。ですがもし貴女が断ったら・・・・・・。」
するとルウィエールは指を鳴らす、同時にゴーレムは右手でリィフェを捕らえる。
「ぐっ!」
「リィフェ!!」
「もし断れば貴女の家臣の命はありませんよ、ですがご安心を、クリスタルストーンと貴女自身を引き換えに貴女の家臣を解放させましょう。」
「・・・・・・。」
突然私の前に立ちはだかる苦渋の選択、けど私はリィフェを護る為ならこの私の身はどうなって構わない!
「姫様なりませんそんな事は!!貴女がそんな事をしたらアインライト王国は帝国の物に・・・。」
「五月蝿い女騎士だ。黙っていろ!!」
ルウィエールは少し苛立たせ右腕を上げる、それと同時にゴーレムは右手の力を少しずつ上昇させ理由をを苦しませる。
「うぐあああああっ!!!」
「フェリスっ!!」
「フハハハハ!さあ姫様!直ぐに我等と共に来るかこのまま貴女の家臣の命かどちらかを選んでもらいましょうか!!早くしなければ我がゴーレムの力が上昇しすぎで貴女の家臣は早くも命が尽きますよ!!」
「・・・・・・私は。」
リィフェの命?それとも私とクリスタルストーン、駄目、選べない。私には選べられないよ!お父様、お母様、アイリス、私は・・・。
その時だった。突然空から何かが落ちてゴーレムの背中に直撃し地面から大きな土煙が現れ私達の周りの視界を塞ぎ混む。
「なっ、何だ!?うわああっ!!」
ルウィエールがゴーレムの倒れた衝撃で馬から落下、それと同時に馬は衝撃で走り去って行った。
私はゴーレムの手から放されたフェリスを担いで土煙から抜け出す。
リィフェは意識は失ってるけど無事、だけどもう戦えない状態休ませよう。
土煙が晴れて行く、すると私は気付いた。そこには人影が立っていた。私はその人影の形を何故か知っていた。7日間共に過ごした筈の彼の姿を!
「そんな、どうして・・・。」
土煙の中から現れたのは此処に入る筈のない彼だった・・・。
フランside out
↓
???side