対峙
玉座には帝国軍第七伯軍軍将・ケイオニウスが座りながら俺とフランを見下ろしながら話し合っていた。
「突然の来客がまさか貴女様とは驚きましたよ、フランフェルト王女殿下。」
ケイオニウスは本を背広の内側のポケットに仕舞い玉座から立ち上がり俺達の所に少し近づき、そしてわざとらしく二人に向けて拍手する。
「ようこそ我が城へ、と、言いたいところですが生憎客人用の紅茶や菓子は切らしてましてな。」
「悪いがお前の用意した持て成しは御断りさせて頂くぜ。」
そう言って俺はフランの前に入り護るようにケイオニウスに向けて断りだす。
「無礼な鼠だ。私はフラン王女に言っているのだ。直ぐに私の視界から失せろ。」
「断る、と、言ったらどうするんだ?」
「そんな事は決まっている、・・・・・・ここで死ね!!」
ケイオニウスは素早くレイピアを抜刀し俺に圧倒的な速さで斬りかかる、しかし俺は右手の剣で受け止める。ケイオニウスは俺の右手の姿を見て驚きだす。
「危ねぇな・・・。」
「貴様、変わった腕をしているな?私の剣を受け止めるとは。」
ケイオニウスは直ぐ様に後退りジャンプをし俺達から距離を離れ玉座の位置に戻り再び玉座に座りだす。
「単刀直入に言おう、フラン王女、貴女と貴女の所持している白のクリスタルストーンを我等帝国軍の支配下に置く気はないか?我々だってこの国にずっと居座る気は更々無い、ここで巫女の血を引く貴女とこのグリーンハープの王女、ルティーシア姫と二つのクリスタルストーンを手にせば私は直ぐ様に耳長共を殺さずこの国から立ち去る事を約束しようではないか。」
「・・・・・・・・・貴方の言葉を信じる気は一切ありません、直ぐ様に軍を退いてこの国から立ち去りなさい!!」
フランは真剣な眼差しをケイオニウスに向け罵声を放つ。
「フラン。」
「シュートさん、やはり彼を生かす訳にはいきません、ケイオニウス!貴方にこれ以上この国の人達を苦しませはしない、貴方は此処でフランフェルトとシュート=レジスが迎え討つ!!」
「ククククク、アーッハッハッハッハッハ!!!!」
突然とケイオニウスは大声で笑いだす。再びケイオニウスは玉座から立ち上がりレイピアを鞘から抜き前を歩きだす。
「貴女が其処まで言うならば面白い、ならば私も少々強引な手を使ってでも貴女を引きずらせて貰う。」
ケイオニウスは俺達に向けて剣を構え始める。俺は奴の両腕を見る、やはり門腕輪をしていない、バルガスさんの言う通りだ、コイツは今まで戦った貴族騎士とは違う、俺の頭の中の人工知能が感じている。
《敵は強大な魔力反応があります、勝率は大幅的に5%未満です、現在の貴方のLvでは太刀打ち出来ません。》
解ってる、でも、やってみなきゃ解らないだろ、テレビアニメの主人公だってどんなに勝率が低くても勝つ事はある。俺はフランに小さく指示をする。
「俺は真正面から行く、フランは左右から奴から隙を造ってくれ。」
「解りました!」
「行くぞっ!!」
俺は真正面からケイオニウスに向かって剣で斬り込みだす。
「はあっ!!」
しかしケイオニウスはレイピアで受け止めカウンターで俺の左肩目掛けて突きを決め込む。
「むんっ、小賢しいぞ!」
対する俺は素早く左腕でレイピアのガードする、流石は『物理耐性』、Lv8は伊達じゃない。
「ぐうっ!今だ!!」
瞬間、ケイオニウスの真横左からフランが剣で右斜めに斬り込みだす。
「ちいっ!!」
ケイオニウスは直ぐ様に視界をフランに写し変えレイピアでフランの剣を受け止めようとする、互いの剣が触れた瞬間フランは直ぐ様にケイオニウスのレイピアを受け流し後ろに入り込み斬りかかろうとする。
「剣技・流!!」
「甘いぞ!!」
ケイオニウスは身体を回転しフランに向けてレイピアで受け止めだす。
「今です、シュートさん!!」
「むっ!!」
ケイオニウスは右を振り向こうとするが時既に遅し、俺は零距離で右手の剣でケイオニウスに斬りかかりだす。
「うおおおおおおっ!!」
「しまっ!?」
ケイオニウスはフランから離れ直ぐに俺の攻撃を回避しようとするもギリギリに奴の左の頬を切りつける。
「ぐっ!?」
ケイオニウスは直ぐ様に後退りながら二度ジャンプをし俺達から距離をとる。その時、ケイオニウスは何かに気付きだす、どうしたんだアイツ、何か様子が変だぞ?
「(何だ?私の頬から『痛み』が感じているだと・・・・・・、まさか!?)」
ケイオニウスは自分の左手で左の頬をゆっくりと触れだし直ぐ様に自分の左手を見て驚きだす、何故ならばシュートの攻撃が直撃し左の頬に小さくて長い切り傷が出来ていた。其所から再び血が流れ出し怒りの目線をシュートにぶつけだす。
「鼠の・・・屑の分際で、この私の美しい顔に傷を作るとは死刑に反する!!」
ケイオニウスはレイピアを床に投げ捨てる。その直後彼は玉座の隣に立つ杖を持った耳長の女の方に振り向く。
「貴様も戦え、私の人形ならあの鼠を片付けろ。」
「・・・・・・・・・。」
耳長の女は無言でケイオニウスの命令に従い俺とフランの所に歩き駆けつける。すると女は杖を横に軽く振り何か呟きだす。
「二双風の息吹」
「「!?」」
耳長の女は冷たい声で何と攻撃魔法を唱えだした。女の杖の先から二つの魔方陣が現れ其所から二つの突風が現れシュートとフランに襲いかかり直撃し大扉の左右隣の壁に衝突する。
「ぐわあっ!?」
「きゃあっ!!」
「見事な攻撃魔法だ。流石はこの国にてエルレギオン王に次ぎし強者にして上級魔術師と言われる実力者だ。」
「ぐっ・・・。」
「ううっ・・・。」
シュートとフランは大きなダメージを受けた状態でありながらも直ぐ様に立ち上がりだす。二人が立ち上がるのをケイオニウスは気付きだす。
「ほほう、まだ立ち上がるか、面白い。」
「大丈夫かフラン?」
俺は直ぐ様にフランに声をかける。
「はい、壁にぶつかっただけです、問題なく戦えます。」
フランは激痛に耐えながら立ち上がりだす。
「コイツの攻撃魔法を受けてもまだ立ち上がるとはな」
「・・・・・・こりゃ、不味いな。」
《肉体破損確認、頭部・胸部共に正常、左腕小破、両足共に小破、魔力回路六四番から八十番破損、更に九十番から百三番破損。》
それにしても俺の方が結構不味いな、さっきの風属性の攻撃魔法で身体の一部一部が破損してやがる、だが。
《能力・『風耐性Lv1』を習得しました。》
《『風耐性』のLvが2に上がりました。》
《『風耐性』のLvが3に上がりました。》
さっきの風の魔法のお陰で新たな能力・『風耐性』が追加された。これで少しはダメージを減らせる事が出来るだろう。だが問題は此処からだ。奴は自分の武器を捨ててる、何だ?嫌な予感しかしない、俺は直ぐにでも次の行動に写し出す。
「フラン、お前はあの耳長の魔術師を、アイツが俺が何とかする。」
「・・・・・・・・・シュートさん、ケイオニウスは今まで貴方が戦った貴族騎士とは違います、どうか気を付けて下さい。」
「ああ、フランも気を付けろよ。」
「はい、シュートさんも。」
シュートとフランは互い息合うように其々の相手に向かって走り出す。シュートはケイオニウスを、フランは謎の耳長の女を相手に。
「うおおおおおおっ!!!!」
俺は右手を再び剣に変えケイオニウスに向かって走り出し斬り込もうとする、だが、奴は微笑んでいた。何故笑っている!?
「鼠が、器の小さい貴様に良いことを教えてやる、この帝国軍特級十人将が何故『機械人形』を使用しないのかを・・・。」
するとケイオニウスは両腕を90度上げる。
「教えてやろう!!『機械人形』を超越したこの『力』を!!」
ケイオニウスの両腕が振動しだし突如両腕の姿形が大きく変わり始まる、奴の背広の両腕部分が破られる、それだけじゃないケイオニウスの胸辺りが少しだが筋肉が増量している。
「がああああああっ!!!!」
「(これは・・・まさか・・・、!?)」
「死ぬがいい、溝鼠。」
次の瞬間、俺は全身から強烈な痛みが走り出し再びぶっ飛び扉脇の左の壁に衝突する。
「シュートさん!!」
フランは直ぐ様にシュートの方に振り向きだす。
「火球。」
耳長の女は余所見をしてるフランに目掛けて火球を放ちフランに直撃し床に転がり倒れ込む。
「きゃあっ!」
「戦いの最中に余所見はいけませんな、フラン王女。」
ケイオニウスはフランの所に歩きながら話し掛ける、フランは驚きだす、ケイオニウスの身体、特に『両腕』の形を。
「貴方、その『身体』は・・・。」
フランは立ち上がりながらケイオニウス答える、そしてケイオニウスは笑いながら答えだす。
「これが『機械人形』を超越した力!!帝国の最高技術、その名は『機械化』!!そしてこれが私の力、その名は『熊鉤爪』!!」
「『機械化』・・・・・・。」
「・・・・・・・・・。」
俺達二人は気付いた。目の前に居る強靭的な力を持ったこの男と戦ってた事を、そして俺達は再び新たなる脅威が突き走り出し絶体絶命のピンチが迫られていた。
習得した能力
『風耐性』Lv3
●自分に風属性の物理・魔法攻撃を受ける/風属性の攻撃を受ける度に経験値入手。
○風属性の物理・魔法攻撃が少なくなる/Lvが上がる度にダメージが少なくなる。
習得した技
『突進』Lv1 属性・無
●Lvが上がった事により習得/攻撃成功ごとに経験値入手。
○肩または全身を武器とし体当りを仕掛ける/Lvが上がる事により威力が上がる。




