城内にて三人の侵入者
城の中の何処かの部屋の窓に突っ込み破壊した三人の周りには破壊された窓ガラスの破片が散らばっているも三人は何とか無傷でいられた。一分後、三人は直ぐ様に立ち上がる。
「痛てて・・・、何とか城の中に入れたな。」
シュートは頭の埃を振り払いながら言う、リィフェは服の埃を振り払いながら答える。
「ああ、だが今のグリーンハープ城は帝国の手に堕ちてる、恐らく城内の警備も厳重、ここから先は慎重に行動しよう、ですね姫様。」
リィフェはフランの方に振り向き彼女に言う。
「・・・・・・・・・。」
しかしフランは顔を真っ赤にしていた。恐らくシュートのお姫様抱っこの影響により我を忘れるかの様に思考を停止している。
「姫様?」
「・・・・・・はっ!え、ええ、そうね、リィフェの言う通りに慎重に行動しましょう。」
リィフェの声に反応しフランは我に返りだす、シュートは周りを見回す、此処はどうやら廊下の様だ。
「ここは、廊下の様だな。」
「ああ、だが、敵はどうやらいない見たいだな、姫様、今のうちに移動しましょう。」
「ええ。」
リィフェはフランを連れ城の中を移動しようとする、その時だった。
「ちょっと待て。」
シュートが二人を引き留める。シュートは曲がり角をちらっと除きこむ。
「曲がり角に誰かが此方に来る、恐らく帝国の兵士だ。人数は三人、うち真ん中を歩いてる奴は赤い服を着た貴族騎士。残り二人は青服。」
「腕に門腕輪は付けてますか?」
フランがシュートに質問をしシュートは直ぐに答える。
「一瞬だったから、三人共右腕に腕輪らしき物をしている。けど流石にこの通路の広さでは機械人形を呼び出す事は出来ないと思う。」
「成る程な、それなら一瞬で決められるな。」
「ああ、俺が赤服をやる、二人は左右にいる青服を頼む。」
「ああ。」
「解りました。」
フランとリィフェは了承し、その直後シュートは三人の帝国貴族騎士が歩いてる曲がり角を駆け走り三人と対面する。
「なっ!何だ貴様は!?」
「おらあっ!」
「がっ!」
シュートは二等貴族騎士の腹に重い拳を決め込ませ二等貴族騎士は気絶し倒れそうになった二等貴族騎士の体をシュートは優しく押さえ壁際に座るようによらせる。フランとリィフェがシュートの後ろに遅れて来る。
シュートは目線を二人の三等貴族騎士に写りだし二人の三等貴族騎士は驚きだす。
「「ひっ!?」」
驚いた一瞬の隙にフランとリィフェは互いの目でコンタクトを取り目の前の貴族騎士に向かって走り二人の三等貴族騎士の腹目掛けて素手で打ち込む。
「でいっ!」
「はああっ!」
「「ぐわああっ!!」」
二人の攻撃を受け帝国の兵士は床に倒れ気絶する。三人は目の前で気絶してる貴族騎士を見ながら会話する。
「シュート、次はどうするんだ?」
「次はだな・・・・・・。」
悩んだ顔をしながら曲がり角の廊下を目にしようとする、その時三人の後ろから予期せぬ事が起きた。
「おい!何か大きな音がしたぞ!」「此方の方からだ!」「もしかしたら侵入者かもしれない、急いで向かうぞ!」
予期せぬ事とは後ろの通路から別の警備の声が聞こえ三人は気付きあたふたし始める。
「不味い!敵が此方に来るぞ!」
「取り合えず急いで逃げた方が良いな!」
リィフェは焦った状態で二人に伝える。するとフランは近くに部屋へと続く扉を発見し二人に伝える。
「シュートさん、リィフェ、逃げるのは待って下さい、其処の部屋に隠れましょう!」
シュートとリィフェはフランの見てる方向に目線を変え何処かの部屋の扉があるのを気づき部屋の中に急いで入り込み三人は扉に背を乗せながら座り込み警備が素通りするか聞き耳する。
「「「・・・・・・・・・。」」」
「おい!騎士様達が倒れてるぞ!?」「窓が一つ破壊されてる!侵入者か!?嫌でも此処は四階の筈・・・・・・。」「そんな事はどうでもいいだろう!まだ遠くには逃げてない、この事をケイオニウス伯に伝えなければ!」
三人の帝国の警備組がシュート達の隠れてる部屋の扉を素通りし更に足音が早く遠くになった恐らく走ったんだろう。三人は立ち上がり部屋の中心に立つ。
「行ったみたいだな・・・・・・。」
「危なかった・・・。」
「二人共、この部屋を見て下さい。」
フランは何かに気付き二人に声をかける、シュートとリィフェはフランの言う通りに部屋を見て驚きだす。
「姫様・・・、此処ってもしや!?」
お金持ちの屋敷とかにあるキングサイズのベッド、豪華な執務机に椅子それにクローゼット、そして壁に飾られている王冠とを身に付け緑のマントを羽織った耳長の老人の絵画が飾られていた。
「此処は恐らく国王の、エルレギオン国王陛下の部屋だと思います。」
リィフェは王の絵画を見ながら二人に言う。
「王様の部屋!?」
シュートは驚き再び国王の部屋を見回す。
「確かに、こんな豪華な部屋なら王様が使っても可笑しくないな・・・。」
そう言いながらシュートは答える。
「・・・・・・そうなると王の間も近いという事になるな、恐らく其処にケイオニウスは居るだろう。」
「ああ、だが、肝心のケイオニウスの力は主に謎だ。バルガス殿はケイオニウスの腕が伸び切り裂いたと言われていたからな。」
リィフェが悩みだした表情で言う。
「それが解らない限りは形成は逆転出来ません。」
フランが答える。するとリィフェが再びエルレギオン王の部屋を見回す。するとリィフェは部屋にある本棚と本棚の間の執務用の机に近づき調べる。
「・・・・・・酷い埃だな、暫く掃除はしていない見たいだな・・・・・・。ん?」
リィフェは執務机を指でツーッと埃を右人差し指で取り口で吹き払うもリィフェは机に置かれていた書き置きの紙を発見し手に取る。
「何だこの紙は?・・・・・・これは!?」
リィフェは書き置きの紙に刻まれてた文字を読み驚いた。リィフェが驚いたのをシュートとフランは気付きリィフェの所に駆けつける。
「どうしました?フラン。」
「姫様、シュート、これを見て下さい・・・・・・。」
リィフェは手にした紙をフランに渡し彼女とシュートは紙を読み上げる。
『この文を見つけた者に告ぐ、私の名はエルレギオン=オベロン=グリーンハープ。グリーンハープ王国の現国王だ。我が王家に代々伝わる『予知夢』の力により今からこれからの事を伝える、三日後この国は帝国軍、ケイオニウス率いる第七伯軍により何も出来ずに支配されるだろう、だが希望は捨てないで欲しい、碧の巫女、我が愛娘にして第二王女ルティーシアと姫が所持する碧のクリスタルストーンを何があっても帝国に護って欲しい其が例え己の命を捨てる覚悟を背負ながらも護って欲しい、これは王としてではなく、耳長の代表としてお願いを申す。再度申す、どうか娘を護って欲しい。』
「「「・・・・・・・・・。」」」
「王陛下は国が支配される事を予測してたのですね・・・。」
フランはエルレギオン王が書いた書き置きを読み上げながら呟かす。
「聞いた事がある、耳長族の中には魔法とは違い特別な力を持った一族がいると、それがオベロン王家か・・・・・・。」
「この国の王様はまさかこの事を知ってた何てな、・・・・・・そう言えばリィフェ、ルティーシア姫って何処に居るのか書かれていないのか?」
「残念ながらルティーシア姫の事は書かれていない、恐らく王陛下殿は帝国に知られない様にわざと書かなかったんだろう。」
「何があってもルティーシア姫と共に王陛下を助けようぜ二人共、俺も直ぐにでもこの国を救いたい、グレイの街の女性達を助ける様に。」
シュートは右手でガッツポーズをし真剣な眼差しでフランとリィフェに向かって言う。
「そうだな、シュートの言う通りだ。必ずしもケイオニウスを討つ、奴にどの様な力があってもだ。ですね、姫様。」
リィフェがフランに目線を変え伝える。フランは真剣な眼差しで二人に伝える。
「ええ、この国を帝国軍の好き勝手にはさせません!」
「フラン・・・・・・、!!」
するとシュート直ぐ様に目線を扉の方を振り向き睨み付け戦闘体制を取る。
《接近する者多数あり、その数20人、その内一人は大きな魔力反応あり。》
「どうしたんですか、シュートさん!?」
「まさか・・・、敵か!?」
「ああ、しかも大勢でだ。来るぞ!」
沢山の素早い足音が王の部屋にへと近づいて来る。足音達は止み、三秒後、扉は強く開かれ中から大勢の帝国兵士達が剣やら槍やらを装備しシュート達三人前に立ちはだかる。
「早速お出ましってわけか。」
シュートは言う。
「こうも見つかると」
リィフェは言う。
「道を開けなさいアンタ達!邪魔よ!」
一人の男の声により兵士達は左右に退かせ真ん中に道を空ける、そこへ高校球児の様な短髪をした桃髪をした赤服背広の男が帝国兵達の真ん中に横入りツカツカと歩き俺達の前に現れ、俺達に向けて微笑まし話しかけだす。
「ウフフ、貴女がフランフェルト姫殿下ね、白の国ミリウス王家第一王女の?まさかこんな所に隠れていた何てね。」
「「「・・・・・・・・・。」」」
「何者だ貴様・・・。」
リィフェが言う。
「お初にお目にかかりますわ、あたくしは帝国軍、ケイオニウス様率いる第七伯軍二等貴族騎士、アリエ=バラモッサ=ルリエールと申しますわ。」
オネェ言葉を話す貴族騎士、アリエは三人、主にフランに向かって貴族らしく真面目に自己紹介をする。
「侵入者の正体が貴女とその従者だなんて、まさかのあたしやケイオニウス様も驚いてるわ。」
「そうですか、申し訳ありませんが貴殿方と戦う気は一切ありません、何も言わずに道を空けて下さい。」
「残念ながらそれは出来ないわ、ケイオニウス様の命令で貴女を捕まえて王の間に連れて来なさいと言われてるのよ、それにさ、後ろの二人の方は要らないけどね。」
アリエは鋭い目をフランの後ろに居る二人に向ける。
「「くっ!」」
シュートは素手を構え、リィフェは剣を鞘から抜きアリエに目掛け戦闘体制を構え始める。アリエは笑いながら二人を挑発的な発言をする。
「あらあら、そんな目付きでアタシを睨ます何て怖いわぁ、フケるわよ。」
「黙れ!」
「黙ってれば可愛い娘だけど残念、何故ならアタシ、女に興味無いのよ。」
「要するに男しか興味ないオカマ野郎って事でいいんだな。」
「何とでも言いなさい。兎に角フラン姫殿下、さっさとアタシと共に来なさいな、これ以上ケイオニウス様を待たせる訳にはいかないからね。」
「・・・・・・仕方がありません。」
フランは自分の剣を抜き剣先をアリエに向ける。
「!?、・・・・・・何の真似かしら、姫様?」
「貴殿方を倒して先に進みます、一刻も早くグリーンハープを救う為にケイオニウスを討ちます!」
「フラン・・・。」
「ウフフフフ、ア~ッハッハッハ!!」
するとアリエは突然と笑い叫びだす、笑い終えるとアリエは腰のケースから鞭を素早く取りだす。
「ケイオニウス様には貴女を傷つけてはいけないと言われてるけど貴女が抵抗するのなら仕方ないわね、アンタ達!」
兵達は三人の周囲を囲ませ、二人の兵士は王の部屋の扉を閉め鍵をかける。
「『ケイオニウス様を討つ』って言ったっけ姫様?アンタ達が勝てる訳がないでしょう!あの方には皇帝陛下から授かれた『あの力』が有るんだから!」
「『あの力』?何だそれは!?」
リィフェは質問するもアリエは黙秘する。
「教える訳がないでしょう!アンタ達二人はこの耳長の国で死に、姫様は皇帝の元に引き渡せばアタシは一等貴族に就任、一石二鳥よ!」
「悪いが、お前の未来の出世コースは無い、お前が行くのは地獄だからな!」
シュートは拳をアリエに向け構える。
「鼠の分際で調子に乗るのも今のうちよ、アンタ達!姫様だからって手加減はすんじゃないわよ!」
「「「「「はっ!!」」」」」
兵士達は剣と槍をシュート達に向けて構え始める。
「それじゃあアンタ達、思う存分殺りなさい!!」
「「「「「うおおおおおおっ!!!」」」」」
十をも越える帝国兵士しそれぞれ武器を構え囲んだシュート達に襲い掛かる。
「散り散りで行くぞ!」
リィフェは剣を素早く抜刀し目の前の帝国兵士二人を居合い斬りで斬り込む。
「「ぐわああっ!!」」
リィフェに斬られた帝国兵士二人は胸を斬られ床に倒れ込む、シュートは左足を引かせ集中力を高め目の前の帝国兵士三人に目掛けて攻撃を仕掛ける。
「リィフェの修行の成果・・・、今、此処で見せてやる!!」
(新技、『突進』!!)
シュートは全力で駆け走りラグビー選手じみた突進の構えを取り目の前の帝国兵士三人に向かって突進攻撃を決め込む。
「「「ぐわあああっ!!?」」」
「まだだ!はああああっ!!」
シュートは右手を『剣』に変え帝国兵士を次々と斬り込む。
「(『剣』Lv6!!)」
「ぐはあっ!」「がああっ!?」「ぎゃあああ!?」
「(グレイの街の出来事を終えてからシュートさんは私と一緒に剣の稽古をしたんです、私だって負けない!)」
フランは力を込めた突きで帝国兵士の腹を貫き倒す。続くフランは目の前の二人の敵兵目掛けて駆け走り斬り込みだす。
「はあああっ!!」
「「ぐわあああっ!!」」
「ちょっとアンタ達!何やってんのよ!!鼠も頭があるんだよ、頭を使いなさい!連携して叩き込むのよ!!」
アリエは今の戦況を見て驚き部下達に命令する。しかし兵士達はアリエの言葉は耳に届かずシュート達三人と戦っている。
「風槍!!」
リィフェは左手に魔力を集中させ風槍を前方の敵兵達に向けて放つ。
「「「「「ぐわあああっ!!!」」」」」
敵兵達はリィフェの風槍を受け吹き飛ばされ王の部屋にある本棚に直撃し床に倒れ気絶する。三人の圧倒した戦闘を光景したアリエは苛立たせ自分の左人差し指の爪を噛みながら歯で削り混む。
「くっ、鼠の癖に生意気よ!!かくなる上は・・・・・・。」
門腕輪を身に付けた左腕を敵兵達と戦ってるシュート達三人に向け機械人形を呼ぼうとする、しかし一人の帝国兵士がアリエを引き留める
「お待ち下さいアリエ卿!この様な狭い場所で機械人形を呼ぶのは!!」
しかしアリエは部下の兵の忠告を無視し鞭を兵の左頬に向けて叩き込む。
「お黙り!!」
「ぐわあっ!!」
部下の兵士は床に倒れ込み自分の左頬の痛みを右手で押さえ込んでいる。
「門開門!来なさい、アタシのラプターちゃん!!」
王の部屋の出入り口の扉真上に次元門が現れ其処から翼竜型機械人形・ラプターが飛び越えシュート達の前に現れる、シュート達はアリエのラプターに気付き上を向く。
「■■■■■ーーーーッ!!!!」
「あれは確か、西の砦でザラムが操っていた機械人形か!!」
リィフェはラプターを見て大きく呟く。
「リィフェの稽古で鍛えられた俺にコイツはもう敵じゃねぇ!!」
「忌々しいわ!ラプターちゃん、火球よ!!」
「■■■■■ーーーーッ!!」
「そうはいくかよ!!」
シュートはラプターに向かってジャンプし火球を放とうとする開いた嘴目掛けて右の拳を決め込みラプターの嘴を破壊する。
「熱っつ!?」
《『炎耐性』のLvが3に上がりました。》
シュートはラプターの爆発したラプターの嘴から右手を引っこ抜き炎を振り払う。
「■■■■■!!!?」
「なっ!?アタシのラプターちゃんの嘴が!!」
シュートはラプターの嘴を破壊した直後空中を一回転し床に着地する、するとアリエはシュートに苛立ち自分の武器である鞭をシュートに向けて振り叩き込もうとする。
「よっと。」
しかしシュートはアリエの鞭攻撃をしゃがみながら回避し同時にアリエに向かって少し前進する。
「このっ!このっ!鼠の癖に生意気よ!!」
焦ったアリエは鞭を連続で縦横布陣に振るい込む、しかしシュートは鞭での攻撃をかわし続けながらアリエに近づいて来る、縦の攻撃を横に横の攻撃をジャンプでかわす、シュートはアリエを扉越しに寄せる、シュートとアリエの距離は約2メートル近くになりアリエの額に汗が流れる。
「(くっ、鼠の分際でこの小僧・・・、!)」
するとアリエは何かに気付き微笑みだす、シュートの後ろには嘴を破壊されたラプターが体制を立て直し浮遊、フランは自分の部下の兵士達を相手にし戦っている。アリエはこれを好機と見なしラプターをシュートにぶつけようと大きな声で命令する。
「ラプターちゃん!目の前の鼠をアタシごと突っ込みなさい!!」
「・・・・・・・・・。」
だがラプターはアリエの命令を無視され浮遊していた。
「・・・あれ?どうしたのラプターちゃん!何故アタシの言う事を聞かないの!?」
するとシュートは微笑みながら小さく呟く。
「ナイスだぜ、リィフェ。」
ラプターは浮遊したままの状態で突然縦に真っ二つになり部屋内で爆発した。爆発から一人の人影が現れ床に着地する、人影の正体はリィフェが剣を鞘に納めこむ。
「機械人形風情が、簡単にやられる私だと思うなよ。」
「そ、そんな!?アタシのラプターちゃんが!!」
アリエは驚く、するとアリエの右腕に装着した門腕輪に埋め込まれていた紫の宝珠にヒビが入り腕輪はアリエの右腕ごと爆発しその衝撃と同時に部屋の扉が破壊され城内の廊下の壁へとぶつかる
。
「うあああああああ!?アタシの、アタシの腕があああ!!!?」
アリエは泣きじゃくりながら床を這いつくばりながら逃げ出す。
「ひ、ひいいっだ、誰か、誰かアタシを助けっ!!?」
アリエの目の前にはシュートが立ち塞がっていた。シュートを見たアリエは後退りだす。
「・・・・・・な、何よアンタ!?アタシを殺すならさっさと殺りなさいよ!」
シュートは突然とアリエの服の胸柄を左手で掴み城の壁に強く叩き出す。
「ぐはあっ!?な、何を!?」
するとシュートの後ろからリィフェが駆けつけアリエの首に剣先を突きつけケイオニウスの事を聞き出す。
「聞きたい事がある、お前も第七伯軍の人間ならケイオニウスの実力は知ってる筈だ。教えてもらうぞ、ケイオニウスの『あの力』とは一体何だ!!」
リィフェの剣先をアリエの首に突きつけ触れさす。
「・・・・・・・・・フフフ、アハハハハハハ!!」
するとアリエは突然と大きな高笑いをしだす。
「貴様、何が可笑しい!?」
「いい気にならないでちょうだい、アンタ達は今帝国軍の支配下に居るのよ、それにアタシを倒したところで他の増援が駆けつけて来るわフフフ。」
「くっ!」
「・・・・・・・・・。」
リィフェは歯切りしシュートは無言にアリエの服の胸柄を掴んでいる。
「一つこれだけは教えておくわ、アンタ達は絶対ケイオニウス様には勝てはしないわ、あの方は皇帝陛下の選ばれた方、絶対に勝てはしないわ!!」
「・・・そうか、なら其処で寝てろ!!」
「ぶへらっ!?」
シュートはアリエの服の胸柄を掴みながら右の拳でアリエの頬を思いっきり殴り床を二度バウンドし倒れ込み気絶する。
「死んだのか?」
「いや、生きている、だけど右腕からかなりの出血しているからな、恐らく手遅れだろう。」
「そうですか、・・・・・・可哀想ですねあの方も。」
フランは悲しげな表情をしシュートに言う。するとシュートは直ぐに後ろを振り向く。
《前方に敵多数移動、此方に遭遇まであと10秒。》
「敵の増援が来るぞ!」
「「!」」
シュートの予想通りに10秒後、前方から二人の三等貴族騎士率いた部隊がシュート達三人の所に駆けつけて来る。一人の貴族騎士が走りながら倒れてるアリエに気付く。
「彼処に倒れてるのはあれはアリエ卿!?国王の部屋辺りに大きな音がしたと駆けつけて来たらまさか侵入者が現れるとは!!」
「だが賊はたった三人!うち一人のフラン王女を捕らえれば二等いや一等に昇格もありうるぞ!!」
も貴族騎士がそう言うと走りながらの状態で右腕を90度上げ門腕輪を使用し機械人形を呼ぼうとする、同じくもう一人の貴族騎士も右腕を90度上げ門腕輪を作動する。
「「門・開門、現れよゴーレム!!」」
天井から次元門が出現し二体のゴーレムが現れシュート達に襲い掛かる様に突進する。
「」
「・・・・・・・・・やむを得ないな。」
「えっ?」
するとリィフェはシュートとフランを護るように立ち襲い来る増援達に目掛けて剣を構え自身の魔力を剣先に集中させる。
「シュート、姫様の事を頼むぞ。」
剣先に緑色の魔方陣が現れ増援の部隊目掛けて自身の技を放つ。
「真・風槍!!!」
縦振りと同時に剣先に付いてた魔方陣から大きな竜巻が帝国兵士の軍勢と二体のゴーレムを巻き込ませ無数の鎌鼬が
帝国兵士とゴーレムの身体を切りつけだす。
「「「「「ぐわあああああああっ!!!!」」」」」
「「■■■■■ーーーーッ!!!!」」
帝国兵士達は真・風槍の鎌鼬で切りつけやられて、ゴーレムは倒れ大爆発を起こし二人の三等貴族の右腕が門腕輪の爆発に巻き込まれ激痛に耐えきれずに意識を失い倒れだす。
「くっ・・・。」
するとリィフェは体制を崩し剣を床に突き刺し立ち上がる。
「リィフェ!」
「早くしろ!次の増援が来るぞ!」
リィフェの罵声がシュートの耳に響きだす、シュートは真剣な表情でフランに伝える。
「先を行こう、フラン。」
「ですがシュートさん!リィフェが!!」
「リィフェの造った道だ。絶対に無駄にはしたくない。」
「・・・・・・解りました。リィフェ、無事でいて下さい。」
「はい!姫様もどうか御無事で。」
シュートとフランはリィフェを素通りし王の間にへと向かって走った。その後リィフェの後ろから新たな帝国軍の増援が現れリィフェは直ぐ様に後ろを向き増援に向けて剣を構えだす。
「来い!貴様等の相手は私だ!!」
その頃、グリーンハープ城、王の間では。
白い玉座に一人の男が座っていた。しかし彼はエルフ等ではなく人間、金色のライン線と白の長袖の背広を着込んだポニーテールと横長髪の男、帝国軍第七伯軍軍将・皇帝直属十人将第七位特級貴族騎士、ケイオニウス=バハム=ディランダルフスがエルレギオン王が座る王の玉座を平然と座り趣味である本を愛読し、彼の隣には杖を持ち二本角を生やした冠を頭に身に付けた金髪長髪のエルフの女が立っていた。
「フム・・・。」
新たな一ページを開き文字を右人差し指で引きながら読んでいた。すると王の間の大扉が突然と開き一人の帝国兵士が息を切らせて駆けつけて来た。
「ハァ・・・ハァ・・・。」
ケイオニウスは突然と現れた帝国兵士に気付き今読んでる本のページに栞を挟み本を閉じる。
「私の唯一の楽しみである読書の時間に割り込むとは屑の分際で早くも死にたいのか?」
ケイオニウスは目線を兵士に向けて睨ませ兵士を怯ませる。
「ひいいっ!!も、申し訳ありません、非常事態の為でありましてケイオニウス伯に報告をお伝えせよとマルクス卿の御命令でして・・・・・・・・・。」
「・・・・・・・・・良いだろう、申せ」
ケイオニウスは了承する。
「はっ!実は城内にて・・・。」
兵士はケイオニウスにシュート達が侵入したことを報告を言おうとするその時兵士の口が止まり無言になる。
「・・・・・・どうした、何故黙る?早く申せ?」
「・・・・・・ぐはっ!!?」
次の瞬間兵士は突然口から血を吐きだし床に倒れる、兵士の後ろには黒と灰色の服を着込んだ男と鎧を着込んだ赤髪の少女がケイオニウスの前に立ちはだかる。
「成る程、報告とはこういう事か、なあ。」
「・・・・・・・・・。」
ケイオニウスは面白げそうな表情で二人を見つめ隣に立っているエルフの女に向けて微笑みながら言う、二人は真剣な眼差しで帝国軍第七伯軍軍将・ケイオニウスと対峙する、シュートは右手を剣に変えフランも剣を構えだす。グリーンハープ城の王の間にて一つの大きな戦いが始まる。




