真夜中の城内侵入・後編
グリーンハープ城の正門近くに到着したシュート達三人は正門辺りにある草むらに隠れていた。
「やっぱり入口は見張りがいるか。」
シュートは答える、彼は正門前の左右の壁際に二人の帝国兵士が見張ってるのを目にする。。
「本来なら真っ向から突入して向かいたいのは山々だが気づかれない様に行動したい。」
「リィフェの言う通りです、ですが」
フランは言う、俺はグリーンハープ城をじっと全体を見回す。
「う~む。」
この城をビルで例えるなら推定10~11階ぐらいかだな、それに城の屋根の先がくねくねと左右に曲がってる、耳長族の拘りか何かか?だが問題はどうやって侵入するかだ。
「問題はどうやって侵入するかですね。」
フランは言う。
「正門前には見張りの兵、仮に通過しても入口周囲の警備も厳重、戦ったとしても現在のグリーンハープ城は帝国第七伯軍の巣窟、増援は現れる可能性も確実。」
と、リィフェは悩みながら答える。
「じゃあどうする?仮に空でも飛ばない限り侵入は無理だぞ。」
シュートは答える。
「確かに、シュートさんの言う通りに空でも飛ばない限り侵入は無理ですね。」
フランは答える。
「空か、まあ確かにシュートの言う通りに空を飛べたら・・・・・・・・・。ん?」
するとリィフェは何かを思い出し目線を俺に向ける、何だ、いきなり?するとリィフェが俺に向かって呟きだす。
「そういえば飛べたんだったな。」
「へ?」
「は?・・・・・・あっ!」
そうだ。俺は思い出した。自分が空を飛べる事が出来るのを。
俺は今とんでもない状態になっている、フランをお姫様抱っこしリィフェを背中に背負う、因みに言っておくが俺にこんな趣味は無い、一応もう一度言っておくが俺にこんな趣味は無い。
『音速噴射』、別名『人間ロケット』、専用能力の一つ。俺の両踵から小さな魔法陣が現れ発動十秒後一定の間だけ空を飛ぶ事が出来る。他にも敵への突撃、戦闘からの離脱とかにも役に立つ、そして俺は今『音速噴射』を使い城の中にへと侵入する。
「本当にこの方法でやるのか!?」
「それしか方法は無い、シュート、後は解ってるな。」
「えっ!?あの、シュートさん!これは一体!?それに何故私がシュートに!?」
フランは顔を真っ赤にしながらあたふたする。
「ちょっ、フランじっとしてろって!」
「姫様、暫く我慢して下さい!恥ずかしいのは解りますが兎に角我慢して下さい!」
「ちょっ二人共さっきから五月蝿いぞ!能力が発動出来ない!」
「ご、御免なさい。」
「す、すまん。」
フランとリィフェはシュートに謝る、シュートは専用能力『音速噴射』を心の中で発動する。
「(『音速噴射』!)」
《『音速噴射』発動、カウント10・・・9・・・8・・・7・・・。》
よし、カウントが始まった!このままの体制だが城の中に乗り込む。
「「「・・・・・・・・・ゴクリ。」」」
三人は息を飲む、シュートは周囲を見渡し敵の兵士がいないか確認する。
《5・・・4・・・3・・・2・・・。》
「さて、鬼が出るか蛇が出るかまあ其処は気にせずーー」
《1・・・0、噴射開始》
「突っ込みますか!!」チュドオオオオン!!
「きゃあああああっ!」
「くっ!」
シュートは二人を抱えながらロケットの様に噴射し空を飛び、数秒後城の上にある窓に向かって激突した。
「ん?」
その頃、正門の前を見張っていた帝国兵士の一人が音に気付き音が出た方角を振り向く。
「どうした?」
もう一人の帝国兵士が声をかける。
「いや、何かあっちの方から音がしたんだが・・・。」
「音?俺には何も聴こえなかったぞ?お前の気のせいじゃないのか?」
「そうか?」
音に気付いた帝国兵士が再び音の方を振り向く。
「・・・・・・俺の気のせいだったかな?」
かくしてシュート達三人はグリーンハープ城の中に侵入成功した。




