支配された国の現状
グリーンハープ王国へと到着したシュート、フラン、リィフェの三人はフード付きローブを羽織り、見回り中の帝国の兵士に勘づかれないように周りを見渡しながら歩いていた。
「結構街中は不気味過ぎるな・・・。」
「まあな、ケイオニウス率いる第七伯軍の兵力と機械人形の数は強大だ。私達も慎重に行動するぞ。」
「・・・・・・・・・。」
フランは心配げな表情をし、彼女の様子が可笑しいと気付いたシュートは声をかける。
「どうした。フラン?」
「セリアさんの事が少し心配になってきまして・・・・・・。」
「セリアさんか・・・・・・。」
確か森でセリアさんと出会った時帝国軍に追われてたからな、また帝国軍に見つからずに追われなきゃいいけど、俺も少し心配だ。俺は少し意地を張って
「大丈夫だよ、セリアさん別れ際に言ったじゃないか『またお会い出来ますので』ってさ。」
「そうですね、きっとまた会えますよね、有り難うシュートさん。」
フランは目線をシュートに向け笑顔で微笑む。フランの微笑んだ顔を見たシュートは少し照れだす。
「あ、ああ。」
「オホン!」
リィフェがわざとらしく咳き込み二人の空気を討ち破る。
「「!」」
「お二人共、私達は遊びに来たんじゃないんです、これ以上は御自身も解ってますね。」
「「すみません。」」
シュートとフランは息を合わせるようにリィフェに謝る。するとリィフェは一人ボソッと呟く。
「全く、こういう事は姫様ではなく私にしろ馬鹿者が・・・・・・。」
「何か言ったか?」
シュートがリィフェの横に入り声をかける。
「な、何でもない!!」
リィフェが顔を真っ赤にしながらシュートに怒鳴る。すると目の前の見回りをしてる二人の帝国兵士がシュート達三人の騒ぎにより気付き歩きながら駆けつけて来る、近づいて来る事を三人は気付き小言で会話する。
「(不味い、帝国の兵士が此方に来るぞ!)」
リィフェが焦りながらシュートに言う。
「(話しかけたら厄介だ。フラン、どうする?)」
「(一先ず何処かに逃げましょう。)」
「(それもそうだな、行くぞ!)」
シュート達三人は走り出す、二人の帝国兵士は勘づかれた様に驚き慌て三人を追いかけ始める。
「待て!」
「そこの三人、止まれ!」
俺達三人は街道を曲がり通り目の前を全力で走り続ける、このまま走り続けていたらいずれ捕まる可能性もある、何とかしなければ。すると建物と建物の合間に路地裏を通る道がある。此処に隠れるしかない。
「フラン、リィフェ、其処の路地裏に隠れよう!」
「はい!」
「了解した!」
俺達三人は直ぐ様に路地裏に奥に隠れリィフェは帝国兵士の様子を見る。
「糞っ!何処に行った!?」「まだ近くに居る可能性もある、此方に行くぞ!」
二人の帝国兵士は路地裏に潜んでるシュートら三人に気付かずそのまま通り去っていった。帝国兵士達が通り去るのを見た三人はホッと小さく息をする。
「「「ホッ。」」」
「何とか難を逃れましたね・・・・・・。」
「ああ、だが、この街の状況は把握したな。」
「店一つもやってない、街中は帝国兵士が見回って外出する者は殆どいない、支配されてる雰囲気って感じだな。」
「だが、此処からが問題だな。先ずケイオニウス率いる第七伯軍の情報を入手しなければならない、敵を知るには先ず敵の事を知らなければならない。」
「リィフェの言う通りに情報も必要ね、ですがこの街は現在帝国軍の兵達の厳重な警備によって固められてます。」
「う~ん、そこが問題だよな。」
シュート、フラン、リィフェの三人は悩み考え込む。すると突然と三人の周囲が暗くなるだす。
「お前達、こんな所で何をしている?」
「「「!?」」」
三人は声の方に振り向く、後ろだ、其所には鎧を着込んだ大柄な男が立ちはだかっていた。この男も耳長族の様だ。
「人間?何故人間がこの国に居るんだ?」
しかも俺達が人間だってバレている!不味い、もしかしたら帝国軍を呼ぶ可能性もある、この状況をどうすればいいのかと思ったその時、男は後ろにある建物の扉を開け俺達三人に中に入れと頭を右に振る。
「まあいい、お前達帝国に追われてるんだろ、取り合えず中に入れ。」
「「「えっ?は、はい。」」」
そう言って俺達三人は謎の男の言う通りに建物の中に入り込む、それにしてもこのエルフのおっさんは一体何者なんだ?と、俺は心から呟いた。




