宿屋、旅の目的
俺とリィフェはフランが見つけた宿屋の2階の奥の部屋にてフランと合流し、俺は今日起こった事をフランに説明した。
「そうですか、そんな事が・・・・・・。」
「ああ、どうもこのグレイの街の女性は皆、ザラムという二等貴族に捕らわれてるらしいんだ。出来れば直ぐにでも助けたい。」
「・・・・・・シュートさんの言う通りかもしれません、もし私がシュートさんの立場だったら私も彼と同じ事をしていたのかもしれません、暫くこの街に滞在し直ぐにでも街の女性達を助ける準備に入りましょう。」
「有り難う、フラン。」
フランは直ぐ様に俺の意見に賛成してくれた。だが彼女だけは反対し続けていた状態だった。
「待ってください姫様、私はこの件に関しては反対です!」
「まだそんな事を言ってるのかよお前は!お前だって本当は・・・・・・。」
「黙れ!!」
リィフェは俺に怒号を抑え息を切らし一度深呼吸をし冷静な表情になった。
「姫様、私達の旅の目的は帝国軍を倒す事ではありません、どうかお気を変える御決断を・・・・・・。」
「リィフェ・・・。」
さっきからリィフェの奴の言ってる事が気になって来た。そう言えばアイツ食堂で言ってたな、『私達の旅の目的は帝国軍を倒すのが目的ではなくある物を探して旅をしている』と。
・・・・・・『ある物』?そう言えば俺はフランに一度も旅の目的を一言も言ってなかったな。俺はフランに聞き出す、俺達の旅の目的を。
「なあフラン、さっきからリィフェが言っている俺達の旅の目的って一体何なんだ?」
フランとリィフェの動きが一瞬止まる、先にフランが俺に話しだす。
「シュートさんにはまだ言ってませんでしたね私達が何故世界中を旅しているのかを?」
「ああ。」
「・・・・・・分かりました。」
フランは自分の左腰に入ってる袋から物を取り出す、取り出した物、それは雪の様に白く輝き光りだす長六角形の宝石だった。
「綺麗な宝石だ・・・・・・。フラン、この宝石は一体?」
「これはクリスタルストーン、強大なる魔力が秘められた古の時代から続く聖なる宝石です。」
「古の宝石・・・・・・。」
「数百年前、かつて世界に天空から強大なる『災厄』が現れ地に降り注ぎ落ちようと来ました。人々は逃げ惑い、ある者絶望に満ちて涙を流し、ある者は災厄に何も出来ずにいる無能な自分自身を恨み、ある者は自らの命を断とうとも考えていました。
『災厄』とは、世界を滅ぼし『無』にする力を持っていて人々は何も出来ずいました。だけど世界に絶望が現れたとき、7つの宝石を手にした7人の巫女達が現れました。巫女達は宝石を天に翳し7つの光が放たれました。
7つの光は1つになり虹の光へと変わり『災厄』にぶつかり『災厄』は虹の光と共に消滅。
『災厄』の消滅後7人の巫女は自分の国々に帰還、その内の一人、アインライト王国初代王女、私の大お婆様にあたる方から受け継いできました。」
「この宝石、クリスタルストーンにこんな凄い力があるなんて・・・・・・。他の6つのクリスタルストーンの手がかりは無いのか?」
「・・・・・・昔父から聞いた事があります、残り6つのクリスタルストーンは私と同じく巫女の血を引かれた者達に託されたと。私達は現在、そのクリスタルストーンの一つがある緑の国、グリーンハープ王国に向かっている最中なのです。」
「まさか俺達がこんな凄い旅していた何てな。けど何で帝国軍はフランを狙おうとしてたんだ。」
「帝国軍の目的は7つのクリスタルストーンと7人の巫女、つまり姫様も対象としている。」
リィフェが横から入り俺に言う、成る程な・・・・・・。フランを含めた7人の巫女、クリスタルストーンそして帝国軍、そもそも帝国軍は一体何が目的で巫女やクリスタルストーンを手にしのうとしてるんだ?おっと忘れてた。そろそろ本題に入るか。
「フラン、そろそろ本題に入ろう。」
「ええ、まずシュートさんは貴方が話したその食堂の店主様をこの部屋に連れて来て下さい。」
「解った。」
俺は直ぐ様に部屋を出てイワンさんの経営してる食堂にへと向かった。フランとリィフェの二人きり、部屋中に険悪な空気が漂い始めた。フランが先にリィフェに話し出す。
「ねえリィフェ、貴女も本当は解っているでしょう、帝国に支配されたこの街の苦しみを。」
「・・・・・・いえ。」
リィフェはフランに目を剃らす
「嘘吐かないで、一体何年私と貴女は産まれてからの付き合いでしょ。」
「!」
「何年貴女と幼馴染みやってるの?」
そう言いながらフランはリィフェに優しく微笑む。フランの微笑みを見たリィフェは悲しげな表情をしフランから剃らす。そしてリィフェは心から思った。『私は一体どうすればいいんだ』と。
丁度その頃、シュートは食堂にてイワンの頼みを引き受け宿屋にへと戻っていった。食堂の店主であるイワンを連れて。




