終章ー逃げた男の結末ー
その頃、黒の国ジークバルト帝国、帝国城・皇帝の間。
皇帝の間、ジークバルト帝国の頂点に立つ『皇帝』が只単に呆然と玉座に座るための場所ではない。
軍の進軍状況や進軍報告を部下である貴族騎士達が伝えだす。
そして時間は現在にへと遡る、若い黒髪の男が玉座に座っていた。
彼こそは黒の国ジークバルト帝国皇帝デオドランド=ゼヴリアス=ラ=ジークバルトである。
皇帝である彼の前にはシュートに自分のゴーレムを壊され右腕を失った二等貴族騎士ルウィエール=クライネルが額に冷や汗を流しながら方膝を崩した状態で皇帝に現状報告を伝える。
「い、以上が私ルウィエールの報告全てで御座います・・・・・・。」
「・・・・・・。」
皇帝は無言のままの状態だ。皇帝隣に居る重装甲の鎧を纏った巨体の重騎士が皇帝に耳打ちをする、鎧の者の名はエンプティ、因みに彼は機械人形だ。
すると皇帝は無言のままの口を開き始める。
「成る程、只の人間が貴様の操るゴーレムを破壊された。しかもその人間は一度死に生き返ったと・・・。」
「は、はい。そうで御座います、嘘偽りはありません。」
ルウィエールは震える、何せ仕方がない、報告する相手が帝国の頂点である皇帝だからだ。
「そうか・・・。もうよい。」
「へ?」
「もうよいと言ったのだ。皇帝である余に三度目を言わせる気か貴様は?」
「は、ははっ!有難うございます!!」
ルウィエールは顔を皇帝に見せずに自分の表情は助かったという顔になる。だが助かるのも束の間、彼にとっての真の恐怖はここからだった。
「だが、貴様はフラン王女と白のクリスタルストーンを手に入らずに失敗に終わった。その失敗はどう責任とるつもりだ?」
「!!?」
「貴様も知っているだろ、帝国の人間なら撤退も死、失敗も死、そして敗北も死、貴様は直ぐに死ななければならない。」
「ひいいっ!?」
ルウィエールは震えながらレッドカーペットを張った城のタイル床に尻餅をつけ後すざりながら怯え始め皇帝に慈悲を求める。
「お、御許し下さい皇帝陛下!次こそは、次こそは必ずしも私がフラン王女とクリスタルを!!どうか慈悲を・・・、私に慈悲を!!」
「エンプティ、余の名において命ずる、殺せ。」
『仰せのままに。』
「う、うああああああああっ!!!」
エンプティが右腕をルウィエールの方に向け魔力を集中し始める。ルウィエールはエンプティの攻撃から逃げようと皇帝の間を急いで出ようとする。
だが時既に遅しエンプティの右手が射出しルウィエールの胸を素早く貫き心臓を破壊する。その後エンプティの射出した右手が右腕と接続する。
「ぎゃあああああっ!!!?」
胸を貫かれたルウィエールは扉に直撃し引きずり倒れ絶命する。皇帝は近くにいる兵士達に声をかけ命令する。
「おい。そこの倒れているゴミを処分しろ、それと奴の親類に戦死報告と国の追放を行え。」
「「はっ!!」」
帝国の兵士達はルウィエールの遺体を運びだし何処かへと向かい皇帝の間から去った。すると皇帝は自分の右手を顎に触れながら微笑む。
「人間が機械人形を倒したか・・・・・・。もう少し聞いておけば良かったな、まあいい、少しはこの世界も面白い世になったものだ。」
そして皇帝は現代の世の現状を見て睨み微笑みだす。




