覚醒
その頃、フラン達は現在絶体絶命の状況でいた。
ルウィエールの操る機械人形・ゴーレム、対する姫騎士フランとその護衛侍女リィフェがゴーレムに立ちはだかっていた。
リィフェは後ろにいるボロボロになりながらもフランを護りながら剣を握って手から血が流れる程に戦い続けていた。
(私の魔力はもう残り僅か、風槍は後一発しか放つ事が出来ない。)
「■■■■■ーーーーッ!!」
ゴーレムはリィフェに向かって右の拳で殴るかかる。
対するリィフェは最後の風槍を放とうと左手を構え残った魔力全てを代償に最大の風槍を放った。
「風槍!!」
鋭い竜巻がリィフェの手から放たれゴーレムの右手に直撃する。
「くどいぞ貴様、ゴーレム!!弾き返せ!!」
「■■■■■!!!」
ゴーレムは風槍を弾き返し左の岩壁に直撃する。
「くっ・・・、畜生っ!!」
「ここまでだ。ゴーレム、今度こそトドメをさせ!!」
ゴーレムはリィフェに向かって再び右の拳で殴るかかる、リィフェは後ろを振り向き傷付き自身を心配していたフランを見つめ涙を流し微笑む。
(姫様、どうか逃げて・・・。)
「リィフェ!!」
その時だった。突然とゴーレムの右拳が止まった。そしてルウィエールが驚いた。
「どうしたゴーレム!?何故攻撃を止めた!?」
フランとリィフェはゴーレムの右拳を見た。そして二人は驚いた。ゴーレムを攻撃は止まったんじゃない、『彼』受け止められたからだ。
「嘘・・・そんな。」
「馬鹿な、お前が生きてるなんて!?」
「どうしたんだ二人共そんな驚いた顔をしてさ。」
「名無しさん!!」
「待たせたな、フラン、リィフェ、あとはもう大丈夫だ。」
俺は受け止めたゴーレムの右拳を俺の左手で受けとめたまま空いた右手でゴーレムの右拳に殴り掛かる。
(拳のレベルは1、先ずはカウンターで殴る!)
俺は殴った拳でゴーレムの右拳を右腕ごと破壊する。それを見た赤服の男が驚いた。
「■■■■■ーーーッ!!!?」
「馬鹿な、ゴーレムの右腕が・・・・・・!?」
赤服の男が俺の方に気づき驚きだす、まるで幽霊を見た様な表情をして俺に指を指す。
「き、貴様は!あの時、ゴーレムの一撃で死んだ筈だ!?」
「死の淵から甦ったぜ、覚悟は出来てるか?おっさん。」
「ね、鼠が生き返るなどあり得ないっ!ゴーレム!!お前の全力の力で奴を再び体当たりで殺せえええっ!!!」
男は焦りながらゴーレムに指示をする、ゴーレムは全速力で走り出し俺に襲い掛かって来る。
「悪いな・・・、轢かれるのは好きじゃないんでな!!」
俺は全速力で襲い来るゴーレム目掛け突っ込む!
(図体がでかい石像の巨人がただ単に力だけじゃあ勝てない事を教えてやる!)
俺はスライディングをしゴーレムの大きな股を通りだす、ゴーレムは俺が消えた事に気づき左右を見始めだす。
(あの時俺があの石像の巨人の背中に落ちた衝撃で巨人が倒れた事を!)
「今度は、蹴りだ!」
「う、後ろだ!ゴーレム!!」
俺は直ぐ様にゴーレムの背中目掛け飛び蹴りをやる。男が焦りながら指示をするもゴーレムの動きが鈍く遅いそして俺の飛び蹴りがゴーレムの背中に直撃する!!
「■■■■■■ーーーーッ!!!!?」
ゴーレムが左手で背中を押さえ大きく叫びだす、成る程、コイツも『痛み』が感じるんだな。
「ええいっ何をやっているゴーレム!!あの素早い鼠を殺せ!!!」
「■■■■■ーーーーッ!!」
ゴーレムは俺に襲い掛かり攻撃を行う、先ずは左の拳で俺を殴り掛かるしかし俺に当たらない直ぐに避ける。次に左の足で俺を踏みつけようとするだがこれも俺に当たらない直ぐに避ける。ゴーレムは殴る、踏みつけるの攻撃を繰り返す、しかし俺は奴の攻撃を全て避ける。
一方、フランとリィフェは彼の戦いを只呆然と見ていた。
「凄い、あの機械人形の攻撃を全てかわす何て・・・。」
「・・・・・・・・・。」
「リィフェ?」
「(あり得ない・・・、機械人形の体は私の風槍をも貫き通らなかった。だが問題なのはあの男、アイツの力は何なんだ!?右腕を破壊したアイツの放った拳は普通の人間の拳の威力のものじゃない!?変態、いや、お前は一体何者何だ!?)」
「■■■■ーーーっ!?」
するとゴーレムの左足が躓き身体全体を崩して転んでしまう。
「これで・・・。」
俺は走り出し転んだゴーレムの背中目掛け右拳を構える。この攻撃で終わらせる!!
「最後だあぁぁぁっ!!」
「■■■■■■■ーーーーー!!!!!?」
俺の右拳をゴーレムの背中に叩きつける、そして俺の最後の一撃を決めたゴーレムの背中にヒビが現れゴーレムの身体は砕かれ破壊された。
赤服の男は破壊されたゴーレムを見て後す座りだす。
「ば、馬鹿な・・・、皇帝陛下から託された私のゴーレムが・・・。」
すると男が身に付けていた腕輪に埋め込まれていた宝珠が砕かれ腕輪は男の右腕を巻き込ませ爆発する。
「ひぎゃああああっ!?わ、私の右腕があああ!!!」
男は右腕を失った事により激しい痛みと大きな悲鳴を同時に叫びだす。
離れて見ていたフランとリィフェは何かを察しの入るところ彼に向かい走る。
俺は目線を赤服の男に向かって歩きだす、俺に近づいて来る男は俺を見て恐怖する。
「ひ、ひいいいいっ!!?」
「名無しさんっ!」
「・・・・・・。」
俺は地面に両足を崩した赤服の男を睨みながら見る。
「き、貴様、無礼だぞっ、わ、私を誰だと思っている・・・、私は帝国二等貴族ルウィエール・クライネル!!解ってるのか?私に歯向かうという事は帝国に逆らう事だぞ!!」
「・・・お前の言いたい事はそれだけか?」
「な、何だと!?」
「お前のやっている事は許されない行為だ。彼女達をも傷つけ自分の仲間を駒の様に利用する、俺はお前の様な連中を絶対に許さねぇ!!」
俺は左足に思いっきりの力を込め地面を強く踏む。ルウィエールは驚き後すざりだす。
「ひいいっ!」
「・・・・・・見逃してやる、俺の気が変わらないうちにとっとと消え失せろ!!」
「う、うわああああああっ!!?」
ルウィエールはそそくさに逃げ去って行った。俺は二人を方を見る、フランとリィフェは俺を見て驚きを隠さずにいた。俺は直ぐ様に二人の所に歩きながら駆けつける。
《現在エネルギー残量0.1%意識停止マデ残リ1分。》
「えっ?」
俺は突然と地面に倒れてしまう、エネルギー切れ目前ってまだ結構ある筈なのに何でだ・・・。
《体力ノ回復ト肉体自動修復、激シイ光速デノ移動ソシテ攻撃ノ威力制御オーバーノ影響ニヨリ頭部以外ノ制御停止、意識停止マデ残リ20秒》
俺の意識が薄れ始めていく、薄れていく視界にてフランが俺の名前を呼びながら走って駆けつけて来る、またフランが俺の事を『名無しさん』って呼んでいる。御免なフラン、俺はもう『名無し』じゃないんだ。目が覚めたら俺の本当の名前を教えてあげるから・・・・・・。
こうして荒野での戦いはイレギュラーである俺の出現によって幕を閉じた。




