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ウエスリア大陸へようこそ  作者: 猫娘
始まりは突然に
8/26

可愛い仔。

 トボトボと、お山のてっぺんから歩き始めて早三日。

 突然目の前に、湖が現れた。


 やったー!

 あぁ。オアシスに辿り着いた気分だよ。

 森の怪しい息苦しさから、解放される。

 何しようかな~。

 湖の畔で、日向ぼっこ?

 ネッシー探索?

 NON NON 。

 ピクニックをするなら。

 今でしょ!


 お弁当を食べましょう~♪

 湖の畔で食べましょう~♪

 メロンソーダにチリドーック!

 いっちゃう?


 鼻歌を歌いながら、ご機嫌で「コンビニーズ」を登場させる。

 既に、この不思議力に馴染んでいる事が恐ろしいよ。 

 でも、なければ死活問題。

 便利魔法には違いない。

 ハンバーグ弁当と、チリドック代わりのアメリカンドックと、コーヒーをテイクアウトする。


 水の音って癒されるなぁ~。

 水面が流れていくのを、のんびりと眺めながら、お弁当をパクつく。


 モグモグ。

 モグモグモグ。ぴょこ。

 モグモグモグモグ。ぴょこ。

 モグ・・・。

 ぴょこ。ぴょこ。ぴょこぴょこ。


 おぉーっと!

 前方に注目ぅ~。

 なんだぁ、あの保護意欲を掻き立てる。

 全身で愛らしさを表現している生物は!


 仔犬だぁーっ!

 柴犬?

 ちびだよ。ちび。


 ふんわりテレパシーで、サーチをかける。

 敵対ナシ、生後一才、仔犬。

 敵意がないと脳内にデーターは流れてこないの?

 世界は謎でみちてるねぇ。


 まっ、いいや。

 それより目の前の仔犬だ。

 多分この仔、匂いに釣られてきたんだわ。

 ハンバーグソースの濃厚な香りは、嗅覚を刺激するものね。


「お食べ」

 私は、お弁当の蓋にアメリカンドックを小さく千切って、ちびの前に置く。


 ク~ン。

 確か味の濃いものはダメなんだよね。

 くんくんと匂いを嗅いだ後、ガツガツ食べ始める。

 尻尾を振りながら、あっという間に全部たいらげる。


 ハッハッと舌を出して、つぶらな瞳で私を見上げる。


 ク~ン。

 お腹すいてるんだね。

 チビちゃん、ガリだもんね。

「ちょっと待って!お座り。ステイ。今食べるもの用意するからね」 


 待ち望んだ小動物に胸踊らせつつ、まだ消えていない店内へつっ走る。

 最近学習したの。

 意識が無くなると、コンビニは消える。

 消えろと念じると、コンビニは消える。

 コンビニーズは、私の意志とリンクしている。


 凄い発見でしょ?

 ウフ。


 牛乳とシフォンケーキをチョイスする。

 おでん容器に移しかえて、人肌位にチンをする。


「お待たせ~」

 あぁ良かったよ。 

 ちょこんと座ったまま待ってるよ。

 可愛いなぁ~。

 賢いなぁ~。


 痛みに耐えてよく頑張った!感動した!

 イヤ……イタかぁないと思うけどね。


 チビの前に、牛乳を置く。

 ペロペロと、夢中で舐めはじめる。


「はい。これもどうぞ」

 器の中にシフォンケーキを浮かべるともう……おチビの尻尾は千切れんばかりだ。


 うまいかい?

 良かったね~。

 尻尾フリフリマンだねぇ。

 ピカピカに嘗め終わった器の前で、チビがクテーっと寝転ぶ。


「ふふっ。お腹いっぱいで眠くなったのかな?おちびちゃん、撫でていい?」


 ウトウトし始めたチビが逃げないのを良いことに、モフモフを楽しむ。


「毛並みが悪くなってるね~。体もガリガリだよ。色も本当は何色かなぁ?茶色ちゃんじゃなさそうですね~。ママは何処にいるんですかねぇ」


 クゥ~ン

 小さく鳴いて、そのまま眠り始めた。

 私はチビを抱き上げて、再び店内に入る。

タオルを敷いて、その上にそっと寝かせる。

 起きたら、シャンプーさせてくれるかな?


 あぁ、何だか私も眠くなってきたよ。

 疲れたよ……パトラッシュ……。











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