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ウエスリア大陸へようこそ  作者: 猫娘
始まりは突然に
7/26

狼が来た

 一晩、森で過ごした。

 不本意ながら。 


 タオルで頬被りをして、タオル靴を履いて、タオルマントをひっかけた私の姿。

 逞し過ぎて涙がでるよ。

 タオルを剥いでみる。

 昨夜豆ができて潰れている箇所もあったのに、消毒して「体力バカー」を唱えると、ぐんぐん回復していった。


 綺麗に治癒しているね。

 完治している足の指を撫でる。

 偉いよ、私の体!

 ガンバレ細胞たち!

 「怪力娘」「体力バカー」「ふわテレ」を装備する。


 ピピピピピー

 キケン、ウルフ、キケン、20km先ウルフ×2


 突然脳内に流れる。

 これが、所謂テレパシー?

 以心伝心ライディーンじゃなくて、察知できる力ってこと?

 初対面がキケンな狼?

 会いたくないよ~。

 だって女の子だもん。

 噛まれたら痛いもん。

 絶対!


 ピピピー

 ウルフ、キケン、ウルフ×2

 脳内を流れる。


 うぅ~。

 わかってるよ。

 ウルフでしょ。

 もっとライトな生き物じゃダメなの?

 ほら、最初は小動物系から。

 徐々に慣れていかないと。

 順番は大切だよ。


 愚痴っている間に、現れましたよ。

 前方目測30メートル先。

 その名もウルフく~ん。

 デカっ!

 面構え悪っ。

 癒し系ゼロの悪顔だね。

 いっそ清々しいよ。

 茶と銀色の悪ヅラトリオが私を、じっと睨んでいる。


 こんな時に、どうして私を隠してくれない木々たちよ。

 狼くんたちが、睨んでいるではないか。

 私の姿が、丸見えでしょうが。

 あんたたち、絶対動いているでしょ。

 さっきまで私の目の前を、覆い繁っていたでしょ。

 歩きにくくさせてたでしょ。

 それがどうして、ササーッとキレイに狼くんまでの、道が開けてるのよ。

 可笑しいでしょーが。

 森も敵なのか?

 私の敵なのか?


 フッ。

 そうであるならば、仕方がない。

 戦いたくはないが、私は怪力娘。

 二匹相手にブイブイ言わせられなくても、目にモノを見せるくらいは……出来るはず。


 よしっ!

 モモ、いきまーっす。


「ムキムキ怪力娘ーっ!」

 ありったけの声で叫びながら、一番近くの大木(直径1m位)を唸りながら引っこ抜き、乙女とは思えぬ形相でウルフくんたちの方へ放り投げる。


「おりゃあーっ!」

 乙女の魂を受けてみよーっ。


 キャンキャンキャーキャーン……。

 狼の声があっという間に遠ざかっていく。

 見た?見た?見た? 

 ウルフくんたちのひきつったお顔。

 逃げ足のすこぶる速さ。


 フッ。

 勝ったな私。

 髪の毛をかきあげようとして、頬被りをしている事に気づく。

 フッ。

 まぁいいさ。

 戦わずして勝つ!

 良かったよ。怪力娘で。


 サーチしてみたが、狼の気配は感じない。

 データも流れて来ない。

 逃げ足速造だね。

 でも、20kmの距離で引っ掛かって、今データが出てこないのは、ウルフくんがよっぽど俊足なのか、敵意あるものしか察知しないのか……?

 ふむ。

 その辺りが、ふわ?のふわたる由縁?

 限界なの?


 怪しい森よ!

 あんたたちの本性はわかったからね!

 もう遠慮はしないからね!

 バンバン、コンビニ出しちゃうからね。

 チクショウメ。





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