ジャングル・ジャングル
ご報告致します。
無事に下山は出来ました。
体力チャージして、ジャンプしながら加速すると難所である岩の谷間も、ピョーンピョーンと、三段跳びのように飛び越えて。
その勢いで、楽々にできたのです。
でもねぇ。その後に、更なる難所が待ち構えていたよ。
怪しいオーラ満載の鬱蒼と繁った森。
癒される森じゃないからね。
森ガールも生息してないからね。
獣道すらないからね。
すれ違ってないからね、獣。
それが私の歩行を苦しめる。
しかし!
しかし!諸君!
ワタクシは、ムキムキ怪力娘。
「ムキムキ怪力娘ーっ」
両手拳を突き上げて叫ぶと、パワーがみなぎってきましたよ。
これ、段々癖になってくる。
ちょいと邪魔な枝を掴んで、むんずと放り投げる。
スッポーンと根っこごと抜けて、ふっ飛んでいきましたよ。
彼方の木々にぶつかりあい、ものすごい粉塵が巻き上がった。
ゲホゲホとむせかえる。
ごめんなさい森の精たちよ。
怪力娘。
凄すぎです。
ほんのちょこっと枝先をつまんで、軽く横に流す。
おぉー。
これだけで道が開けるよ。
怪力娘パワーのお陰で、ターザンがいそうなジャングルをどんどんと進み行く。
快調。快調。
よく動くから。
快腸快便です。会長。
スミマセン。
忘れてください。
寂しさが、私をこうさせるんです。
ジャングルでも?ジャングルだから?ジャングルなのに?
誰にも会わないんです。
猿も雉も虎もライオンも羊も、羊飼いも見当たりません。
カラフルな人喰い花も見当たりません。
ただ……。
この森、変なんです。
たまに枝がうねって面白ポーズをとったり、踊って見せてくれるような気がするのは……きっと目の錯覚でしょう。
ソウニチガイナイ。
はるか頭上に黄色の実を発見しました。
ここに降りたって初めて目にするカラフルな色です。
私の、本能が反応します。
ウホウホと、ゴリラのマネをしてその木の周辺を徘徊してみたのですが……どうなる訳でもありません。
ところが、そんな哀れな姿を晒した成果かご褒美か。
なんと、黄金の実が落ちているのを発見しました。
落ちたバナナ擬き。
勿論、拾いましたとも。
即座に食らいつく?
ダメダメ。
この怪しやジャングルの食べ物よ!
後でじっくり観察してからに決まってるじゃない。
このバナナ擬き、密かに光ってるんだよね。
とりあえず、リュックに入れとこう。
あぁ。この森を早く脱出したい。
ジャングルでひとりぼっち。
お腹も空いてきたよ。
今頃本当だと、会議も終わっている頃かなぁ。
その後の親睦会で飲むビールが、旨いんだよね。
コレがっ!
統括に連れて行ってもらった高級寿司屋さんもうまかったなぁ~。
どんどんと食べなさいと言ってくれたのを真に受けて、トロとホタテと焼き穴子追加で注文しちゃったよ。
自腹じゃ絶対行かない店だったよ。
あぁ。もう辛抱たまらん!
森の中であるというのを考慮して。
コンビニを出すのを、一応我慢していた。
あれだけの建物をこの密林に出せばどうなるかは想像に易い。
う~。
エコリストじゃないでしょ、モモちゃん。
旨いビールだよ、冷えてるんだよ。
悪魔の声と闘いながら、リュックに入れた水を飲んだ。
チョコをかじる。
チクショー。
はやく森を抜けるんだ!
急ぐんだ!急ぐんだ、モモ!