チャージ。
黙々と、ただひたすら歩いております。
はぁー。
紐が弛んで、スリッパがずり抜ける。
うん。ダメだね、コリャ。
何よりこの岩山、足の裏にガンガン響いてくるし、滑って危険だ。
フェイスタオルを、ぐるぐるに足首から巻きつけていく。
こっちの方が歩きやすいかも。
私は何処に向かっているのでしょか?
もう二時間以上は歩いてるよね。
君のいく道は~。
遠いよ……果てしなく遠いよねぇ。
はぁ。
所々に短い草木しか生えていない岩肌が、キラキラと反射して光っている。
何だろう?
綺麗な光。
真珠色でかざすとちょっと色が変わる。
ちょうど手のひらサイズだ。
固くてちょっとザラザラしてるね。
鱗かな?
山の上に?
おっ、あちこちに点在してるよ。
ヘンデルとグレーテルのお菓子のように辿って行くと、30枚程落ちていた。
宝物発見だ~。
何枚か拾ってリュックに入れる。
登山記念にしよう。
イヤ、下山記念か。
こんなに歩いてるのに、疲れはあまり感じない。
おかしいよね。
何時もの私なら、もう絶対バテて伸びているはず。
あ、私って、16のモモちゃんなのよね。
若さゆえの疲れ知らず?
……イヤ、違うわ。
マラソン大会、いつもビリだったわ。
持久力……なかったわ。
うーん。解せぬ。
ハッ!
コンビニーズと、他にも怪しいフレーズがうかんでた。
確か……怪力?バカヤロー?テレパシー?
他にも、不思議魔法があるって事?
「怪力ーーっ!」
万歳しながら天に向かって、おもいっきり 叫んでみる。
おっ。
目の前に文字が浮かんだ。
・ムキムキ怪力娘
・スーパー体力バカー
・ふんわりテレパシー
・コンビニーズ
ふざけたネーミングだなぁ。
大丈夫か?
そう思いながらも。
「ムキムキ怪力娘~っ!」
魔女っ娘を意識して、くるくるまわりながら叫んでみる。
ん?
体が熱くなっているような。
血湧き肉踊る!みたいな。
スゴイぞ。スゴイぞ。
「スーパー体力バカーっ」
うぉー。
今度はズシンときたよ。ズシン。
チャージ満タン。
お客様~OKです。
満タン~入りましたぁ~。
みなぎってますよ。
ギンギンのバキバキですよ。
中学男子並みですよ!
いってまおか~オラ。
もひとつ。
「ふんわりテレパシー!」
これは、何も感じないなぁ。
ふんわりだから?
設定がユルいってこと?
フッ。
ドーナツとコーヒで休憩にしましょ。
「コンビニーズ」を出して店内をチェックすると、商品はきちんと補充されていた。
タオル山盛り使ったけど洗濯しなくていいんだね。
ありがたいよ。
助かるよ。バイトくん。
誰もいないけど。
なんだかね……みなぎってくるパワーで、一気に下山できそう?
コーヒでホッと和みながら、溢れてくる不思議な力を感じていた。