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ウエスリア大陸へようこそ  作者: 猫娘
始まりは突然に
3/26

ココは何処?

 ぐるんぐるん転がされて、ほっぽり出された私は、気がつくと冷たい岩山の上に正座していた。

 

 何故正座?

 冷たいよ~お膝が痛いよ~。

 寒さにブルッと身震いして、襟元を合わせようとしてみるが……。

 寝間着だね、コレ確実に。 

 ウサギ柄のピンクのフリースパジャマby丸襟

 モコモコ靴下も履いたままだね。


 現状を把握しよう。

 頭上に広がるのは、まだ薄ら暗い空。

 ハイ。夜明け前ね。

 左右を見渡しても霧がたち込めてよく見えない。

 岩山?しかも山頂付近?

 マジですか?

 ココはドコ?

 ワタシはダレ?


 はい。

 鈴木桃。32才。独身。

 彼氏いない歴5年。

 某化粧品メーカー美容部員。

 まだ、気は確かだ。


『モモ~、コンビニあるからね~。貴女の力を使ってね』

 やさしい声が頭に響く。


 誰よ?誰なの?

 優しい声で言ってるけど、内容がメチャクチャでしょうが。

 待ってよ!もしや、守護霊?

 亡くなった祖母の家系?

 私の力ってどんな力よ。

 コンビニが、山頂にあるわけないでしょーが。

 山小屋じゃないっつーの。

 答えてくれよ~。

 声さんよぉ~。


「コンビニって。全くもう……」

 呟いた瞬間、目の前に文字が浮かぶ。


 ・ムキムキ怪力娘

 ・スーパー体力バカー

 ・ふんわりテレパシー

 ・コンビニーズ


 は?

 複数系?

「……コンビニーズ?」


 ドロン。

 ご登場です。

 山頂に。

 見慣れた看板、仕事帰りにいつも利用しているイイ気分の、あのお店。


 イヤイヤイイヤ、全く全く訳ワカメだけれど、岩の上で蝉の声に滲みいってるより10倍良いでしょ。

 私は入りますよ。

 どんな危険があの中に待ち受けてあろうとも!

 暗闇の中、あるのはきっと救いの光よ。

 吸い込みたまえ~。

 トゥ~。


 あぁ~。あたたかい~。

 危険は無さそうだね。

 誰もいないしね。

 レジに従業員さんもいませんよ。

「誰かいませんかー。こんにちはー。こ・ん・に・ち・はー!」

 叫んでみる。

 返事は無い。

 人の気配は全く、無い。

 光々としたら明りだけが、店内を包んで頂を照らしている。

 静かだね~。


 あ。目眩が・・・。

 私が見ているのは、幻覚?

 幻覚体験イリュージョン?

 ちょっと休んで落ち着こう。

 商品ラインナップはいつもの、私がよく行くお店の感じ。

 食欲はないけれど、あんまんとコーヒーを手にとる。

 ホカホカ湯気がたっている。

「すいません。イタダキマス。」

 イートインコーナーに座る。

 あんまん、甘いよ。

 美味しいよ。

 コーヒーも……香りまでリアルだよ。


 眠ろう。

 ひと眠りして起きたら、私の12畳ワンルームマンションに戻っているはず!

 きっとそうだ。

 明日は販促会議だし、早起きして資料を見直さないといけない。

 早く眠らなきゃ……。


 無理矢理にうつ伏せって私は目を閉じた。




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