表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
25/26

さよならは別れの言葉じゃなくて……。

 ジュウとヨミさんは、テーブルを挟んで長い間見合っていた。


「そろそろ、お茶のお代わりどうかしら?」

 ヨウウさんが何杯目かのお茶を注ぐ。


「オレは、行くから!」

 ジュウがきっぱりと言いきる。

「モモさんに付いて回って楽しいか?それからどうする?彼女に守ってもらうのか?」

「モモとミーナはオレが守る!」

 ヨミさんが、首を横にふる。


「お前は何もわかっちゃいない。口で言うのは簡単だが現実は違うんだ!」

 ジュウは唇を噛み締める。

「これはチャンスだと思う。村にいたら旅に出る機会なんてないよ。オレは、今のホホロを見てみたい。アステリアもドミニクもセントリアも。」

「……」


「いいんじゃない?」

「ヨウウ!お前!」

「だって、白竜様とワヒーラのシロちゃんとモモちゃんが一緒なのよ。正直ジュウは迷惑をかけると思うけど、こんな豪華なパーティないわよ。確かにチャンスだわ」

「かーちゃん!」

 味方を得た、ジュウの顔が輝く。


「ミーナちゃんの面倒をみること。自分のことは自分ですること。出来る?」

「もちろん!出来るさ!」

 ジュウが大きく頷く。

「何でも食べてお腹を壊さない。ちゃんと無事に村まで帰ってくること。約束出来る?」

「や、約束する!」

 ヨウウさんが優しい笑顔でヨミさんとジュウを交互に見つめる。


「わかったよ……。ジュウ、大陸を見てこい!男になれ!」

 ヨミさんの力強い声にジュウは、力一杯頷いた。

 こうして、ジュウの旅立ちは許された。

 

「食べることは重要だからね。ミーナは欠かせないよ」

 朝晩の食事でミーナちゃんにすっかり餌付けされているホトちゃんが、タダノさんを無理矢理説得して、ミーナちゃんの旅立ちも決まった。


「白竜のオレサマが一緒に居るんだぞ!森に帰る時に連れて帰ってやる。大船に乗れ!」

 ホトちゃんのその言葉で、タダノさんも落ちたみたいだけど。

 獅子王様は、戻って来るのは次の変異の三百年後迄に……って言っていたよね。

 うん。秘密にしておこう。 

 ちゃんと連れて帰るよタダノさん。

 私だって村のみんなにまた会いたいもん。

  

 それからジュウは剣や槍を整備し、稽古をつけてもらい、私とミーナちゃんはヨウウさんたちに手伝われて旅支度を始めた。

 乾燥したククの実や果物、干肉、作務衣風の上下服、ワンピース、サンダル、布……必要なものは数限りない。

 それを最小限に選別していく。

 ミーナちゃんの家で皮袋に荷物を詰めていると、アジ婆さんが訪ねてきた。

 

「これを持って行きなさい」

 青い石の周囲に金の細工が施してあるネックレスを手渡された。


「これはホロロ国の宮廷魔力者の証。役に立つこともあるだろう」

 私は慌ててアジ婆さんの手に戻す。

 そんな大切なものは戴けない。


「私はもう、ホロロ国の地を踏むことは無いだろう。だが、国の行く末も、残された者たちの行く末も、ずっと気にかけていた。私はタタ村で朽ち果てる覚悟だ。せめてこのネックレスを一緒に連れて行ってもらえないかい?」

 アジ婆さんが私の手にしっかりとネックレスを握らせる。

 手には熱が込められていた。

「これは私の願いなんだよ」

 私は自然とアジ婆さんと抱き合っていた。


「宮廷魔力者のセダレと言う女がいる。私と同じ水魔力持ちだ。何かあれば、彼女を頼るがいい」

 アジ婆さんの小さな体が私を包み込む。

「ホロロ国を見てきますね。セダレさんにも会って、アジ婆さんに報告しに帰って来ますね」

 胸の奥がツーンとなってたまらなくなる。

 

 私たちの出発の日は、もうすぐそこだった。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ