優しい声。
深い闇の中で、
誰かが私を呼んでいる。
『……モモ~。モモ~』
とても優しい声で、やわらかな気配で。
私の意識は、するするともっていかれる。
『貴女にお願いがあるの』
眠っているはずの私は、意識だけでヘラリと答える。
「いいですよ~~」
だって、とてもイイ気持ちなの。
グミの山の上で、ゆーっくり寝転がってゴロンゴロンしてるみたいな・・・。
そこはかとなく、バニラエッセンスと菫蜂蜜の甘~い香りもするし。
『ありがとう。モモ。
貴女がむこうでも楽しく生活出来るように、スキルを与えて、おくわね。貴女ならきっと、私の願いを果たしてくれるはずよ』
やわらかい声が私をつつむ。
ああ…、残業続きで脚パンパンのアラサー女を包む癒しのお声・・・。
ヒ・ト・タ・マ・リ・モ、ありませぬぅ~。
「OK牧場なり~」
おっと!ぐるんぐるんの、回転速度が速くなってきたぞ。
ん?
んんん?
なんじゃ~コリャ~。
目が、目がまわるーっ。
助けてーっ、声さんーっ。
なっ!なんじゃこりゃ~。
マブシイ!
光の玉が弾けて、渦の中に吸い込まれて行く。
あぁぁぁぁ~。
引っ張られていく。
アッ~レ~ェ~~。
そうして私の意識は完全に落ちていった。