鳥パーティ。
「モモさんの歓迎会をしよう」
アジ婆さんの鶴のひと声で、パーティが開かれることになった。
ヨウウさんを筆頭に鬼教官の奥さんのウルさんや、その息子嫁のマオさん。キヨさんにターナさんにミーナちゃんと私。
女衆が集まって料理をつくる。
玉ねぎとトマト風の野菜と鶏肉を煮込む。
この鳥は、いやみ鳥という。
"キーキー"と、五月蝿い金切り声をあげて鳴くので、すぐに居所を知られて射られる。
おバカさん鳥だ。
おバカさんだけど、味は良い。
優秀な動物性タンパク質だ。
髭もじゃタダノさんが、分厚い大胸筋を反らせて仕留めた時は、カッコよさに痺れてしまったよ。
鳥マジックだね。
ミーナちゃんが石打で火を起こそうとしているが、なかなか点火しない。
火を起こすには、力技とコツが必要なようだ。
ライター……。
いいよね。
リュックからライターを取り出す。
「ミーナちゃん、これ使ってみて」
「これは何ですか?」
「指の腹で擦ってみて。火が点くから」
「え?あ。つ、点きました」
「それは魔道具?」
ヨウウさんが、覗き込んでくる。
「皆さんもどうぞ、使ってみて下さい」
ライターを配ると彼方此方から、シュッシュッと音がし始める。
「すごい。これは便利ね」
「簡単に点くわ」
「永遠に使える魔道具じゃないんです。中に入っている液体が無くなると使えなくなります。火打ち石が使えない時に使って下さい」
火を起こすのが不便そうなのを見てて、ライターを紹介したが、私がいつまで村に居るかはわからない。
ライターに依存してしまったら、大変な事になる。
便利だけど……いずれその便利は尽きる。
矛盾だ。
「火が起こせない時に使うわね。モモちゃんありがとう」
私の意を汲んでくれたヨウウさんの、魅力的な胸元のぷるるんが……。
イヤ、魅力的な笑顔が眩しいよ。
素敵な大人だなぁ。
ジュウのかーちゃんカッコいいよ。
「ありがとうね」
「大切に使うわね」
みんなにお礼を言われながら料理を作る。
鶏肉と野菜を挟んだバーベキューを焼く。
大量の芋を蒸かす。
ジュウジュウと焼ける香ばしい音と匂いが、本当に旨そうだ。
脂がしたたり落ちている。
アジ婆さんの指示で、キラさんやジュウたちが、テーブルやイスを野外にセッティングしている。
白いテーブルクロスを掛ける。
ピンクと白の可愛い草花をテーブルの中央に飾る。
さぁ、パーティ会場の完成だ。
取り皿と料理を並べる。
皆のグラスにレモン水を注いでいく。
「皆ご苦労様。モモさんとシロがタタ村を訪れてくれた。村初めてのお客様だ。歓迎しよう。ようこそタタ村へ!」
「ようこそタタ村へ!」
「カンパーイ」
「かんぱーい」
それからは、無礼講だ。
ガツガツと焼かれていくお肉めがけて食らいつく。
バーベキュー焼き係のヨウウさんとマオさんが「私たちのも、残しておいてよね~」と、叫んでいる。
肉を焼くのは男子の仕事なのにね。
「モモ、イッパイ食えよ」
「モモちゃん美味しいです。ボクお肉好きです」
両手に串を持ったジュウが口一杯にほうばっている。
シロは何でも好きだよね。
「モモ、沢山食べろよ。明日からまた修行だからな」
鬼教官が私の隣にやって来た。
「はい……ガンバリマス」
「お前にはきっと、俺には計り知れない位の魔力が眠っているんだろう。自分の力で使いこなせるようになれ。惑わされるなよ」
前髪をくしゃくしゃにされる。
ダイさん……。
私、頑張るよ。
この面白魔力を極めてみるよ。
「宜しくお願いします。師匠!」
私は深々と頭を下げた。




