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ウエスリア大陸へようこそ  作者: 猫娘
森を抜けて
16/26

敗北とあたたかさと。

 男女に分かれた公衆浴場は、簡素な作りなまでも、十分に清潔に体を温める要素を満たしていた。

 お風呂場に立ち込もる湯気の中では、ジュウのお母さんであるヨウウさんに、圧巻されていた。

 コレハ、完全なる敗北。

 敗者は多くは語らぬモノだよ……。

 ク~ッ。 

 ナイスバディ過ぎるよ、ヨウウさん。

 ボンキュッボンだよ。

 明らかに手のひらに余るサイズだよ。


 そんな空しさを噛み締めている私に、ぷるるんヨウウさんが話しかけてくる。

「モモちゃんは10代よね。一人で旅をしているの?」

「はぁ。一応16です。旅のお供はシロとです」

 一応なの?

 可笑しそうにヨウウさんが笑う。

「ボクがモモちゃんのお供をしてるの。すご~く仲良しなの。モモちゃんは優しいの」

 シロの力説にミーナちゃんがウンウン頷いている。

「ふふ。ジュウも言ってたわ。"変わったヤツだけど、いいヤツっぽいから母さんの洋服をモモにやってくれ"って」

 あのガキ~。

 でもまぁ、許す。

 口添えしてくれたんだもんね。

「あの子乱暴なところあるけど、モモさんに懐いてるみたい。ジュウとも仲良くしてね。あ、勿論わたしとも」

「こ、こちらこそ」

 湯船に浸かりながら、ペコペコと頭を下げる。

 

 たっぷり温まって、ククの実の皮で体も磨いた私は、ヨウウさんが用意してくれた、茶色のワンピースに着替える。

 予備にも二着頂いた。

 シンプルな下着もある。

 靴はミーナちゃんとお揃いの皮編み型のサンダルだ。

 あぁ。やっと人心地ついた気分だ。

 ブルブルと体を震わせて水気を弾いていたシロを、厚手の布でごしごしと拭く。

 手拭いに似てるかな。

 タオルのような素材は、無いのかもしれない。

 「帰ってご飯にしませんか?」

 ミーナちゃんの提案に一も二も無く頷く。

 「ゴハン。ゴハン~」

 シロがはしゃぐ。


 女湯の建物の前で、ジュウが待っていた。

「オレも今日はミーナの家で食べる」

「そう?ミーナちゃん大丈夫かしら?」

「はい。にぎやかで嬉しいです」

 ヨウウさんにお礼を言って、ミーナちゃんの家に戻る。


「お風呂。想像以上に良かったよ」

「ダイさんが造成の魔力で作ってくれたんです。アジ婆ちゃんの水魔力もあるから助かっています。火の魔力を使える人がいたらいいのですが……」

「ミーナちゃんは魔力は無いの?」

「フツーは、ねぇよ。この村でも魔力持ちは、アジ婆ちゃんの一家だけだぜ。大体魔力は伝承されるんだ」

「そうなんだ」

「だから、力持ちの魔力でも卑下することないぜ。魔力持ちはそれだけで凄いんだ」

 

 どうやら私は、慰められているようだ。

 それにしても……。

「あんた、ワルガキかと思ったけど、いいヤツだね。ありがとう」

 ジュウに笑ってお礼を言うと。

「バカ!そんなんじゃねーよ」

 耳まで赤くして怒られた。 

 どんなんじゃねーんだろう?

 難しい年頃だ。

 

 ミーナちゃんと一緒に作った、ククの実とキノコのスープと蒸かし芋。

 ヨウウさんが差し入れてくれた鶏肉の丸焼きが食卓に並ぶ。

「これは、御馳走だな」

「ウマソ~。食べるぞ~」

「シロも食べるの」

 みんなで囲んだ夕食は、美味しくて楽しくて、お腹がはち切れるほど食べた。

 

 その夜はミーナちゃんと同じベットで、一緒に眠った。

「モモさん。明日はククの実と薬草を取りに行きましょうね」

 ククの実は、皮は擦れば垢がとれる石鹸代わりに、その実はホクホクと美味く頂ける万能選手だ。

「りょーかい」

 約束をしながら二人で眠った。

 今夜はぐっすり眠れそうだ。

 

 あ。足下には、シロもいた。

 忘れてたわけじゃないからね、シロ。

 

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