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ウエスリア大陸へようこそ  作者: 猫娘
森を抜けて
12/26

タタ村の人たち

 さぁ、いざタタ村入村へ!

 とは、いかなかった。


 私は今、槍を突きつけられている。

 ヤリですよヤり。

 穂先の長い槍ですよ。

 刺されたら痛いでしょ。

 キャー。


 その槍を両手で握って構えているのは、幼い少年だ。

 私をキッと睨んでいる。


「やめてよ!ジュウ」

「ミーナを離せ!怪しいヤツめ!」


 いや。ミーナちゃんを捕まえてはいないからね。

 確かに怪しい姿ではあるけどね。

 タオルマントの下は、Tシャツにウサギ柄のパジャマ姿で、タオルをぐるぐる足に巻き付けている女。

 それが私、スズキモモだ!

 ハッハッハッハッハー。


「ひどいよジュウ。モモさんは、なめくじ男から助けてくれたんだよー」

「ミーナ、なめくじ男に襲われたのか?毒は大丈夫なのか?」

 ジュウが慌てる。

 え?あのなめくじ、そんな危険生物だったの?


「モモさんがいないと危なかったよ。膝のケガもモモさんが治療してくれたんだよ。それなのに……ひどいよジュウ!」

 ミーナちゃんの剣幕に、ようやくジュウ少年が、槍を持った手を下げてくれた。


「まぁ。塩があって良かったよ」

「え?モモさんが投げつけたのは塩だったんですか?なめくじ男は耐性があるから、ふつうの塩は効きませんよ。魔法の塩なんですか?モモさんは、魔力者なんですか?」

 え?なめくじ男には塩は効かないの?

 でも溶けてたじゃない。

 デレデレ~ンって。


「妖犬を連れてるし。やっぱりモモさんは、魔力者なんですか?」

「オマエ魔力者なのか?本当に魔力者なら、その力を見せてみろ!」

 上から目線でジュウが言う。

 ボウズ。年上に対する尊敬の念がミクロも感じられないぞ。


「どうしたんだ」

「ジュウ、ミーナ。その人は誰だ」

 騒ぎをききつけて、村人たちが集まってきた。


「こいつ、怪しいヤツなんだ!」

「怪しくないもん。ミーナを助けてくれたスゴイ魔力者様だもん」

 う~ん。ミーナちゃん、ハードルあげないでね。


「ミーナを助けてくれた礼を言う。私はミーナの父親のタダノだ」

 村人の中から出てきた髭もじゃ大男が、頭を下げる。


「私はスズキモモと言います。シロと一緒に旅をしている途中です」

「シロです。ヨロシクね」

 シロが尻尾をフリフリ愛想をふりまく。

 いいぞ!シロ。もっとやれ。


「喋る犬だ」

「小さいが妖犬か?」

 村人たちが、ざわつき始める。


「魔力者だとお見受けする。よければどんな力か教えてもらえるか?この村で魔力者は貴重なんだ」


 魔力ねぇ……。

 果たして私の面白力が、魔力なんだろうか?

 コンビニーズは、説明するのが難しいし、何よりこの村にはそぐわない気がする。

 テレパシーと体力強化と……。


「力持ち?」

 あえて披露するなら、怪力娘かな。


「力持ち?そんな魔力あるのかよ」

「なんじや、それは?」

 明らかに落胆したような村人たち。


 私は小屋の近くに積まれている石の山に近づく。

「ムキムキ怪力娘ーっ」

 叫びながら髭もじゃ大男さんの体重くらいはあろう石を、まずは重量上げの手順で頭上に持ち上げる。


「うぉーっ!」

 叫びながら、それをはるか東の空の彼方へ砲丸投げする。

 おぉ~。飛んでいったねぇ。

 た・ま・やぁ~。


「……」

 ギャラリーは静まり返っていた。


「アジばぁさんの所へ連れていこう。アジばぁさんも魔力者だ」

「そうだな、魔力はともかく。旅人がいるというのは、我々にも希望になる」

 ともかくかよっ。


「アジ婆ちゃんの所へ案内しますね」

 ミーナちゃんがニコッと笑って私の手をとる。

「オマエ、スゲー力持ちだな」

 ジュウも横に並んで着いてくる。

「私の名前はモモ!モ・モ、わかる?」

「わかってるよ。モモとシロだろ」


 どうやら、私は槍使いの少年にも入村を認められたようだ。







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