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この世はフィクションでできている  作者: マイケルっちょ
3/3

凪 沙織

凪 沙織とは1年の時に同じクラスだった。

私立の学校の為、わりと遠方からも通っている生徒もいるので通学経路が結構分散している。その中で俺は電車で1時間程の距離を通っているのだが、よく帰りの電車で凪と遭遇していた。

俺は毎日クラスの男子数人と帰っていたのだが、皆電車で30分くらいの距離までに降りていってしまう。そうなると残りの30分はどうしても暇になっていた。

そんな時に同じ車両に乗っていた凪を見つけた。1年のまだ2週間くらいしかたっていない時期だったのでクラスメイトを見つけたけど、声をかけずらい気持ちだった。そんな中、こっちに気づいた凪はなんの躊躇いもなく声をかけてきた。


聞けば凪は俺が降りる駅の手前の駅で降りるらしい。そして、彼女も途中までクラスメイトと一緒に帰っているが皆途中の駅で降りて、最後はいつも1人なんだという。それから1年の終わり頃までは一緒に帰っていたが、最近は見なくなっていた。それから会話の機会も減り、2年に進級してからはクラスも別々になり全く顔を合わせていなかった。


思えばその頃から俺は凪のことが頭から離れなくなっていた。


そんな俺だが現在は何故かその凪と一緒に帰りの電車の中にいた。


「それにしても久しぶりだね、松永くんと一緒に帰るの」


凪はいつもの明るい調子で話しかけてきた。


「そうだな、12月くらいから見なくなったと思ってたけど演劇部に入ってたんだな」


「うん、そればっかりでもなかったんだけど…概ねそんな感じかな」


凪は珍しく愛想笑いのようなひょうじょうで言った。


「でも驚いたよ、美帆が近々新メンバーを連れて来るって言ってたけどそれが松永くんだったなんて でもごめんね巻き込んじゃって」


凪が部室に現れてからとりあえず今日のところは釈放され、帰ることを許された。演劇部も同時に今日の活動はないらしく久しぶりに凪と一緒に帰ることになり、今に至る。


「まぁ凪さんが謝ることじゃないって、今回の行動も広隆寺の独断なんだろ? 謝るならあいつだろ、もう別にどうでもいいけどさ」


本当はまだ頭にきてるが凪のいる演劇部の奴のことをこれ以上言うのもなんか凪に悪い


「あんまり美帆のこと悪く思わないであげてね」


その言葉を言った凪の表情は真剣そのものだった。


「美帆はいつも周りの期待に応えようと必死なの。明日美帆から直接話があると思うけど、できれば力になってほしいな」

凪はそう言って開いた電車の扉を出て行った。


「こっちの返答を聞かないで帰るって、言い逃げだろ」


そう言いつつも俺は少し嬉しかった。

どういう理由かは分からないが凪が俺のことを頼ってくれていることが


「明日の話の内容にもよるけど、前向きに検討してみようかな」

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