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作者: 天の群雲

この話は多少電波を含むので、読んで頭痛等の症状がでた場合には直ちに休憩しましょう。それでも収まらない場合はかかりつけの医師にご相談くださいなw

初めての作品なんで覚悟してくださいね♪

話を聞くよりも実際に見た方が早いだろう。人によっては羨ましがる様な状況ではあるが、俺にとっては…。


「お兄様ぁ…いっしょにいこうよぉ…」


俺を誘う猫なで声。


「まだ早い!もう少し我慢するんだ!」


「そんなぁ、イジワルしないでよ…さぁや、もう我慢できないよぅ…」


上目遣いの潤んだ瞳。


「だからまだ早いって!!なんでこんな真夏日に市民プールの開店待ちをせにゃならん!?」


…とまぁ、こんな感じで俺、拓人(たくと)は従妹の沙綾(さあや)にせがまれているのだ。


「だって…早く行かなきゃみんな並んでるよぉ??」


「並ぶかっ!!外は何℃だと思ってんだ!?死ぬわ!!」


「プール…いっぱいになっちゃうよぉ??」


「なるかっ!!大体その気持ち悪い口調をやめろ!何なんだ、お兄様ぁ…って!?」


沙綾は子供みたいに口を尖らせてて俺を睨む。


「む〜〜!!お兄ちゃんが隠してる本に書いてあったんだもん!!」


「な…!?」

(なんだ…このお約束な展開は!?)


俺は出来るだけ平静を装いながら素っ気なく話しかける。


「なぁ沙綾…こんな早い時間から並んだってナンセンスだ。そう思わないか?」


「お兄様は妹に甘えられるのが大好きなんだよねぇ♪あっ、それともご主人様の方が良かったかなぁ?」

…聞いちゃいねぇ。


「あっ…そうだ♪さぁやねぇ、お兄ちゃんが喜ぶかと思って…」


そういうと沙綾はおもむろに服を脱ぎだした。


「なっ…!お前何してるんだ!?よせっ!!」


とは言いつつも顔を隠した指の間からしっかりと覗き見る。


「じゃ〜ん♪」


「な…そんな馬鹿な!?」


「どう?似合うでしょ?」


グラビアアイドルのように腰に手をあてたポーズをとったまま自慢げに俺の方をみる。


その沙綾が身につけていたものは……


「スクール水着!?」


「お兄ちゃんの為に着てきたんだよ?何か気の利いたコメントは無いの?」


上目使いで俺を見つめてくる沙綾…。


「B78・W54・H79。身長147cm、体…ぐはぁ!?」


沙綾の渾身の右ストレートが俺の頬に炸裂する!!


「何でお兄ちゃんがさぁやの3サイズしってるの!?っていうか真面目に聞いてるんだからちゃんと答えてよ……」

沙綾の瞳が潤んでいまにも涙がこぼれそうになる。


やれやれ、ちょっとふざけすぎたか…。

真面目に沙綾のことを見てみる。


まず髪型は結構上の方を黒いリボンで結わえてある、いわゆるツインテール。沙綾のトレードマークだ。

そしてまだあどけなさの残る可愛らしい顔。結構モテてるんじゃないかと思う。

最後に身体だが…まぁ今年中学卒業なんだから…期待する方が無理ってもんだな。スクール水着は確かに好きだが、それが更に沙綾の幼児体型を強調している。


「気を落とすなよ」


俺は沙綾の頭を優しくなでてやる。


「お兄ちゃん、なんかメチャクチャ失礼なこと考えてない…??」


「ぜ、ぜんぜん考えてないぞ!むしろ褒めてる!!」


前半だけだが…。


俺の考えを察したのか沙綾は、あからさまに気落ちしている。


「さぁや…魅力ないのかな…??」


うっ、沙綾のこの瞳はヤバい…うるうる光線がチクチクと俺に突き刺さる。


背中に冷たい汗が流れたと同時に、ふと気づく。沙綾の様子がおかしい…。

何かを言いたそうにしているが何度も躊躇しているようにみえる。


「…………」


とうとう決心したのか、おずおずと話しだした。


「……あ、あのね…いきなりこんなこと言ったら…お兄ちゃんびっくりするかもしれないけど…」


沙綾の肩がふるふると震えだす。顔はうつむいて耳まで真っ赤になっている。

……いつかこんな日が来るんじゃないかと思っていた。沙綾の俺を見る目は従兄ではなく…ひとりの男として捉えていたからだ。

この時に備えて自分の中では既に決心がついていた。沙綾が自分の気持ちを伝えてくれたら俺は…


「さ、さぁやね…あの…その…ひっく…うぐ……」


緊張のあまりに泣きだしてしまう沙綾。両手で顔を覆っている。

自分でもキザだなと思いながら軽く笑って、沙綾の肩を抱き寄せる…。


「…うっ…ぐすっ……えっ??」


驚いて泣くのをやめた沙綾の首もとへ顔を近づけて、そっと囁いた…。


「大丈夫だ…」


「そ、それって…どういう意…んっ!?」


皆まで言わせず俺は沙綾の唇を自分の唇でふさぐ。

眼前には瞳をまんまるくさせた沙綾の顔…。


そう…何も心配することなんて無かったんだ…。いつだって沙綾は俺を見ていてくれたし、俺も沙綾のことを見ていた。

もしかしたら、大丈夫という台詞は自分を納得させるために出た言葉なのかもしれない。


自然と唇が離れる。沙綾をまっすぐに見据えて言葉を紡ぐ…。


「沙綾の気持ちはなんとなくだけど気付いてたよ…。ずっと前から…」


沙綾が一瞬驚いたような顔をした。


「俺も沙綾が好きだったから…その気持ちに気付いた時は嬉しかったよ。でも伝えられなかった…」

そう…それはふたりでいる時間が楽しかったから。告白する事で今の関係を失ってしまうのが怖かったんだ…。


「はは…情けないお兄ちゃんだろ…?」


乾いた笑いが出た。そんな俺を沙綾は…何も言わずにそっと抱きしめた。


「沙綾……?」


「さぁやね…怖かったの…。もし自分の気持ちを打ち明けてフラれちゃったら…きっとさぁや、お兄ちゃんのそばに居られなくなっちゃうから……っく…」

沙綾…泣いてるのか…?


「…それならね、さぁやはずっと従妹のままでいようって…そう…したら…ぐす…っ…ずっとお兄ちゃんのそばに居られるって…ひっく…思ったの…!」


気持ちが高ぶったのか、沙綾の俺を抱く手に力が入る。


「でもね…とっても辛かったの…どうしようもないくらいに胸が…ぐすっ…苦しくて…っ!」


…そうだったのか。沙綾も俺と同じように考えていた。変わってしまうのを恐れていたのは俺だけじゃなかったんだ…。それなのに…俺って奴は…!!


「沙綾の気持ちがはっきり分かるまでは自分の気持ちを隠しておこうって…こんなこと考えてたんだ、俺…」


自分の情けなさに涙が出そうになる。



「ありがとう…お兄ちゃん」


えっ…?俺は驚いて沙綾の顔を見る。


「お兄ちゃんがなにを考えてたんだとしても、さぁやの事が好きって気持ちには違いないんだよね…? それならさぁやは…嬉しいよ♪」


えへへっという感じで柔らかく微笑む沙綾。

俺はこみ上げる暖かい気持ちを押さえきれずに思い切り沙綾を抱きしめた。


「沙綾…っ!!」


「あっ!?い、痛いよお兄ちゃん…!」


俺はそのままベッドに倒れ込み、沙綾に激しくキスをした。


「んっ…はぁ…はぁ…お兄ちゃん…!!」


沙綾も夢中で俺の唇を求めてくる。


さっきまでのキスとは違う…本当の恋人同士の濃厚なキス。

ゼロ距離で俺と沙綾の舌が絡み合い、あたりにクチュクチュと水音が響く…。

脳髄までとろけそうな強い刺激が流れ込む。


「…っ…はぁっ…お兄ちゃん…!」


沙綾の濡れた瞳が俺を見つめる…。そこでふと気付く。


「そういや…沙綾、お前水着のままだぞ?いいのか…??」


「えっ…?…はぁ…はぁ…別にいいよ…お兄ちゃんの為に着てきたんだし…」


とろんとした目をしながら答える。


「……お前、さっきのやりとりの間中ずっとスクール水着だったのな」


「そ、そうだけど…なんでそんな顔してるのかな…??」


俺は堪えきれずに吹き出してしまった。


「ぷっ…くっくっ……あっはっはっ!!スクール水着で告白だって!?聞いたことない!!…はっはっは!!」



ポカーンとして沙綾は俺を見る。俺が言ってることを理解したのかその顔に徐々に赤みが差してきて、表情が険しくなる。


「お兄ちゃんの……」


「…くっくっ!!…えっ…?」


「お兄ちゃんの……バカーーッ!!!!」


バキッ…!!ボキッ…!!!


「がはぁっ…!?ぐがっ…!!」


右ストレートと左フックのコンビネーションがそれぞれ顔面とレバーを的確に捉える。っていうか…今、肋骨…が…。


「ふ……良いもの持ってんじゃねーか…姉ちゃん…」



ドサッ…。俺は沙綾の上に覆い被さるように崩れ落ちた。

「…えっ!?お兄ちゃん!そんなっ…起きてよ、お兄ちゃん!お兄ちゃんってばぁ!!」



薄れゆく意識の中…沙綾の体温を感じながら俺は思っていた。

やっとここまで来たんだ…。焦ることはないさ。時間はまだまだある…。


「さぁやこんなオチ嫌だよ!!目を覚ましてよぅ…なんで満足そうな顔してるの!?」


満足そう…?満足したんだよ。だって…やっとふたりでスタートをきれたんだからな…。

ここで俺の意識は心地よくまどろみの中に落ちていった。


おめでとうございます☆ここまで読めたと言うことは、あなたと私は友達になれるということです。全然嬉しくないですって?またまた…遠慮なさらずにw

どうでしたか?ふたりの進展は?そんなに大袈裟なものではないと思いますが、少しでも共感された方がいたら嬉しいですね。付き合って下さりありがとうございました。

感想、リクエスト等あればメッセージをお願いします('-^*)

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― 新着の感想 ―
[一言] 私がどうやら最初の評価者になったようですね・・・・・・。 私も普段は執筆者側の立場にあるのですが、今回は読者側的視点から恐れながらコメントをさせて戴きます。 内容的には何も言うところがあり…
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