彼とあたしと、レディファースト
「ねぇ、レディファーストの語源って知ってる?」
柔らかい日差しが照らす街中を歩きながら彼はまたもや突然そう言った。
以前から気になっていた映画を観るために街に出たけれど、映画まではまだ時間がたっぷりある。なので先にお昼ご飯でも食べようかとお店を探しつつウィンドウショッピングを楽しんでいた矢先のことだった。
「レディファーストって言葉は元々中世欧州で生まれたんだけどね、そもそもレディファーストって何か分かる?」
レディファースト。日本では耳にすることなんてほとんどない言葉。自然とレディファーストができる日本人がいったい何人いるだろうか。とりあえず、「先に選んでいいよ。レディファーストだから」なんて半笑いでお菓子をすすめることではないことは確かだ。冗談を口にするときでしか使わない言葉、っていう感じ?けれどそれを口にすることはなく(馬鹿って思われる)、一般的に日本で理解されているレディファーストとやらを言ってみる。
「うーん、あれでしょ?女性のために扉を開いたり、椅子をひいてあげたり?」
あたしがそう答えることを予測していたように、彼は軽く頷いた。
「うん、そうだね。『レディファースト』を行動で示すとそうなるね」
そういうと、彼はあたしの腰を引いて、彼の体に密着させた。一瞬のことで何が起こったか分からなかったけれど、彼の大丈夫?という言葉ではっと我に返る。
「あ、ありがと」
あっぶないなー。猛スピードで通り過ぎる自転車があたしのすぐ傍を通り過ぎようとしたのを、彼が引き寄せてくれたおかげで怪我をせずにすんだ。ほっとした先からもしかしたら轢かれてたかもしれないと思うと心臓がバクバクと鳴って煩い。彼は軽く息切れするあたしの手を引いて、歩みを進める。
「こうやって、道路を歩くときには車道側を男が歩いて、女性を事故や引ったくりから守るのも、レディファースト」
ハニーを守るのは僕の役目ってわけ、と彼はパチンと片眼を瞑った。カァーっと顔に熱が集まって赤くなるのを感じてあたしは繋いでいない方の手で頬を覆った。
「この店でいい?」
大通りを外れて小道に入ったところに、可愛いテラスのあるこじんまりとしたお店を見つけた。葉の青々とした観葉植物がほのかに照らす陽を浴びて生き生きと茂っている。木でできた扉には小さな鈴がついている。開くときっと可愛い音を鳴らして来客を告げるのだろう。毎日変わるのだろうか、黒板をメニュー代わりにした看板は綺麗な文字と可愛いイラストでデコレーションされている。カフェのようなお洒落な外観は女の子が好きそうな柔らかな雰囲気を放っていた。メニューを見ると値段も手ごろで、今日のおすすめはバジルのパスタ。
あたしは悩む隙もなく彼の提案に頷いた。開く扉の邪魔にならないところを計算したかのように丸まって日向ぼっこをする黒猫がとても愛らしい。
「じゃぁ、ここでお昼にしよっか」
あたしがこういうお店を好きなことを彼は知っているし、そもそもあたし達は好みが似ているので、大概の提案を互いが拒否することがない。
「バジルソースのパスタだって。ハニー好きでしょ?」
「ダーリンもね」
互いを見合わせてふふ、と笑う。味の好みも一緒、そして食後の紅茶は勿論チャイ。このお店にはあるかな、と楽しいお喋りをしながら先ほどの看板代わりのメニューを覗いた。店に入るときに、彼は黒猫にごめんね、と声をかけて静かに扉を開く。チリンと鳴った鈴はやっぱり可愛い音がしてあたしの心をうきうきとさせる。彼は扉を開くと、扉を抑えたまま、あたしを先に中へと通す。
「ありがとう」
とあたしが言うと彼は当然のことをしたと言うように静かに微笑んだ。
お店に入ると優しそうな女性が席へと案内してくれる。10人も入ればいっぱいになってしまうだろうという店内はレトロな色調で上品に整えられていて、あたしの乙女心ドストライクだ。思わずふにゃりと笑ってしまったあたしを彼は嬉しそうに見つめる。
奥の席に案内され、着席しようとすると、彼はあたしの椅子を静かに引いて、あたしを座らせてから自らも席についた。あまりに自然に行うものだから照れる間もなくあたしは唖然と席につく。
ほぇ~、なんだなんだ。王子がいる・・・
・・・・・・・・っ!?
自覚すると一気に羞恥が体中を駆け巡り、あたしはぽかんとした口を見られないようにメニューで顔を覆った。あたし達の一部始終を目撃した店員さんは、あらまぁ、と驚いた顔をした後、とても優しげな顔をして微笑ましそうに笑い、テーブルに水を置いた。それが更にあたしの羞恥を倍増させる。彼はそんなあたしの様子を楽しそうに見て、ふふ、と笑った。
「これでいいでしょ?」
と彼はパスタを注文する。表で見たバジルのパスタを彼は迷うことなく示し、あたしは間髪いれずに頷いた。注文したのは、もちろんバジルのパスタなんだけど、トマトの入っている冷製パスタと、ホウレンソウの入った2種類。どっちも美味しそうで、どちらにするか迷うけれど、彼はあたしの思惑をもちろん理解しているので、2つ注文してシェアする。
「ほら、チャイもあるよ。よかったね」
いつまでも恥ずかしがっているあたしをほっといて彼はさっさと注文をした。店員さんはくすくすと笑って奥に引っ込んだ。
うぁー、全部見られた。バカップルって思われてる絶対・・・。
うゃぁ、なんてわけのわからない声を咽から絞り出すあたしに、彼はあたしの顔を隠すメニューを取り去り、口を開いた。
「さっきの続き」
ん?つづき?・・・・あぁ、レディファースト。って、もしかして
「女性のために扉を開くのも、その扉が閉まらないようにするのも、椅子を引くのもレディファースト。ハニーもこれくらいは知ってるでしょ?」
うぁー、やられた・・・。ていうか明らかに布石置きまくってるのに、なんで気づかないかなぁ、あたし。
彼はレディファーストを行動で示して分かりやすく説明しただけだろうけれど、からかわれてた、と捕えてしまうのは仕方がないことだと察してほしい。そのせいで恥ずかしい思いしたんだから・・・。いや、まぁ、嬉しいけど、でも照れの方が上回って素直に受け取れないのは、日本人なら当然だと思わない?
「あとは、車の乗降では男性がドアを開閉するっていうのもレディファーストだね」
ここまでの彼が言うレディファーストはなんとなく知ってるものと同じ。
「レディファーストを行動で示すとこんな感じだけど、本題はここから。どうしてレディファーストというものができたのか」
分かる?と彼はあたしに尋ねた。なぜレディファーストが生まれたか?んん?なんでだ?
「レディファーストってね、直訳すると『女性を先に』ってことだよね?なぜ『女性を先に』なのか。それは中世欧州の騎士がポイントなんだ」
騎士かぁ、騎士って確かにレディファーストの鑑って感じだよね。紳士?かっこいいし、女の子は誰だって騎士に守られるお姫様に憧れる。鎧をつけ、長剣を帯刀した長身の騎士が白馬に乗っている様子を想像してうっとりとしていると、彼はふふ、と意味ありげに笑った。
「かっこいい騎士様を想像しているところ悪いけれど、騎士ほど自分勝手で傲慢な男はいないよ?」
何言ってるの?主君を守るために戦にでる勇敢な男性じゃない、あたしは眉をひそめて彼を見た。
「勇敢?あはは、騎士ほど臆病で卑怯なやつはいないよ。だってレディファーストって自分を守るためにできたんだよ?自分が死なないためにね」
水を一口含んだ彼の咽喉がこくりと上下に揺れるのがとても色っぽい。
「どういうこと?」
あたしの質問に答える前に料理が運ばれてきた。うわぁ、美味しそう・・・。店員さんはどちらかを待たせないようにか、2つの料理を一度に持ってきてくれた。そしてごく自然に取り皿を2つ持ってきてくれる。うわぁ、店員の鑑だ!お店の外観も雰囲気も店員さんの対応も全部花丸満点!あとは味だけど、まずいわけがないよね!うん、美味しい!!
パスタを口に入れてにこにこと笑うあたしを見て、彼もパスタを口にする。
「あのね、騎士って華やかなイメージがあるけど、その裏では歩けば刺客が切りかかり、食事をすれば毒が盛られる。毎日死と隣り合わせだったんだ」
パスタを口に入れたまま、ふんふんと頷くあたしを彼は楽しそうに見つめる。あぁ、この絶妙なバジルの配分。美味しすぎる。
「戦争や決闘で死ぬなら本望だけど、暗殺なんてとっても不名誉なことなんだって」
戦争ならいいけど、不意打ちで殺されるのは嫌ってこと?ていうか死ぬのにいいも悪いもないと思うけど、それが誇りってやつ?うーん、あたしにはまったく理解できない。
「ハニーなら暗殺する時、どうする?」
暗殺、ねぇ・・・。
「こっそり隠れて、敵が角を曲がるときに、ぐさって刺すとか?」
あたしの返答に彼は満足げに頷いた。
「さっすがハニー。超卑怯」
くすくすと笑う彼にあたしはむっとする。
「ていうか暗殺なんだから卑怯でいいのよ。そもそも暗殺自体が卑怯以外の何物でもないわ」
「うん、その意見には同調。ていうか僕も暗殺するならハニーと一緒の手口かな」
じゃぁ、人のこと卑怯とか言うんじゃないよ、まったく。
「この質問ね、別の人にしたら、『遠くから銃で撃つ』だって。馬鹿だよねぇ。中世だって言ってるのに。中世に銃なんて浸透してないよ」
銃で撃つとか、もっと卑怯だよね。自分は安全なところにいて、遠くから引き金引くだけで人を殺せる。しかも刀や剣と違って、直接その体を壊す感覚が手にないから、殺すという命を奪う行為さえも罪の意識は薄れてしまうのかもしれない。
「そうそう、それでね。ハニーが言った通り、暗殺の時は、角から不意打ちを喰らわしたり建物にターゲットが入った時を狙うんだ」
あたしは自分の答えが当たってたことに満足して、食事に集中する。それにしてもここは静かで落ち着いていていいなぁ。店員さんも女性一人しかいなくてせかせかしてないし、流れる音楽は会話の邪魔にならず、ふと気付いた時にほんわかできるそんなカフェミュージック。いいところ見つけたな。
なんてふわふわしてるあたしの気分をぶち壊すかのように彼は話を続ける。
「騎士にとっては暗殺なんかで殺されるわけにはいかない。そこで騎士は考えた」
なんて?水を飲んで一息つくあたしに彼は何やら含みのある表情で笑った。
「『連れ合いの女性を先に部屋に入れれば、自分の盾になる』ってね」
・・・・はぁ!?信じられない!どこのどいつがそんなことを言いだしたんだ!ここに連れてこい!!と言ったところで中世を生きた騎士を連れてくることは勿論叶うはずもなく、そもそも騎士なんて連れてこられたらあたし一発で死ぬ。うん間違いなく。
あたしの憤慨に彼はパスタをくるくるとフォークに巻き付けてあたしの口に入れた。
「おいし?」と尋ねる彼にコクコクと頷くけど、これっていわゆる「あーん」ってやつだよね。・・・・・いやいや、うん。気にならないよ。店員さんの楽しげな視線なんて、・・・・ぅう。
「つまり自分が殺されないために、先に部屋に女性を入れて、不意打ちを食らっても自分が死なないようにしたんだ。椅子に先に座らせたのもその机に何か仕掛けがしてあった場合に自分はすぐに逃げられるようにということだし、食事に毒を入れられることもあったからフォークやスプーンなんかの食器は全て銀製にして、女性に先に勧めることで毒見をさせてたんだよ。毒は銀食器を曇らせるからすぐに分かったしね」
うわぁ、えげつな・・・。
・・・・・・あれ?ちょっと待てよ。思い出せ、あたし。ダーリンはさっきから何をしている?
「・・・・だーりん」
「なぁに、ハニー?」
彼は悪戯が見つかったかのように楽しげに微笑んであたしを見つめた。
「先にお店に入ったのも、先に座ったのも、先にご飯を食べたのも・・・・あたしだよね?」
ふふ、と笑う彼が憎らしい。なに、そういうこと?レディファーストの語源を話すとか言って先に行動で示して後からそれを話す?なんて巧妙な手口!!くぅ~~、くやしいぃいい!!
むすっとするあたしに彼は眉を下げて困った顔で笑う。
「そんな顔をしないでハニー。もちろん、話はここでは終わらないよ?」
最後まで聞いて、と優しく囁く。パスタを食べ終わり、一息ついたところで、タイミングよく店員さんが食後の紅茶よろしくチャイを運んでくれたので、それを口にする。ふはぁ、美味しい。すぐに食べ物に感情を左右されるあたしに彼は可笑しそうに笑う。ふん、どうせ子供ですよーだ。
「あのね、そんなことしてたら女性だって気づくんだよ。『なにこいつ、あたし達を盾にしてるわけ?』ってね。でもそれを承知した上でレディファーストを受け入れていたんだ」
どうして?自分を殺害の盾にされるのを分かっていて寛容するなんて、中世の女性の考え方は分からない。
好きな人のためなら死ねるって?あたしは嫌。ていうか好きな人のために死ぬなら本望かもしれないけど、好きな人のせいで死ぬなんて絶対に許せない。本当に好きなら暗殺なんて卑怯な手で死ぬことがあっても守るべきだ。名誉よりもなによりも大切な人を守ることの方がなによりの名誉と誇りではないの?
そんなあたしのなんとも言えない表情を見て彼はあたしにチャイを飲むようにすすめる。そして同じように自分も飲んで、落ち着いたあたしを見て話を進めた。
「そのときの女性の考えはこうだよ。『あたし達を盾にしないと自分を守れないなんて馬鹿な男。あたし達がいないと歩くこともできないのね。いいわ、あんたたちがそういうつもりなら、その情けない図体さらして歩くがいいわ』ってね」
うわー、超かっこいい!
「つまり女性たちは、騎士が自分の身を守るために行っていることを理解した上で、騎士を見下しながらそれを受け入れていたんだ。『あたし達があんたを守ってあげるわ』ってね。騎士は女性に気づかれていることは知らないから余計に女性にとっては滑稽だっただろうね、ふふ」
なんて言うんだろう、こういうの。どっこいどっこい?お互い様?うーん、違うな。女性蔑視の時代だからこその考え方なんだろうけど、いかに男性が女性のことを蔑ろにしていたのかが窺われるよね。それにしても、いくら『男は馬鹿ね』なんて思ってもそんな男のために命を捨てるなんて嫌だわー。もしダーリンのために死ねなんて言われたら、
『はぁ?おまえが死ね』
なーんて言っちゃってるかも。ていうかそんなことあたしに言った時点で命がないものと思わなきゃね。あたしを傷つけた時のダーリンはしつこい。
「いつの時代も女性の方が強いんだよ?もちろん僕もハニーには敵わない。ま、僕はハニーを盾にするなんて馬鹿なことはしないけれどね?」
・・・・盾にはしなくても拷問にかけたいと言う考え方はいかがなものかと思われますがね。ていうか女性を盾にした騎士よりも暗殺しようとする人よりも、鉄の処女にあたしを入れたいと望むダーリンの思考回路が一番怖いんですけど。
うーん、きっとあたしが殺されたら殺した相手は想像することもできないほどの恐怖を味わうことになるだろうな。・・・・うわぁ、さっきの自転車の人危機一髪だったね・・・。今ある命を大切に。また会ったときは二度と表を歩けなくなってるかも?
「僕はハニーを害する全てのものの盾になるよ。あぁ、でもハニーからの暗殺なら僕は喜んで受け入れるけどね?ふふ、」
いつでもかかってきてね?と微笑むと彼は立ち上がって、あたしに手を差し伸べる。あたしは何かをされるのではないかと、びくりと体を揺らした。
「さ、そろそろ映画の時間だよ」
そう言った彼の楽しそうな顔に、ただ手を差し出しただけと分かると、ほっと息をついて彼の手をとり、そっと立ち上がる。
一瞬殺されるかと思ったよ・・・・。
レジに向かうと店員さんがにっこりと笑ってお会計をしてくれる。また来ます、と声をかけると、店員さんは嬉しそうに笑ったあとでレジで販売しているハーブ入りのクッキーをくれた。
「とっても素敵なものを見せてくれたお礼。また来てね」
とあたしに囁いてウインクをした。思わず赤くなるあたしに店員さんはくすくすと笑ってありがとうございました、と今度は彼にも聞こえるように言って綺麗にお辞儀をする。
30代くらいのとっても素敵な店員さんの目は面白いものを見たという好奇心を隠し切れていない目であたし達を見送った。清楚な見た目をしているけれど結構茶目っけの強い人のようだ。けれど嫌味なところなんて全くないし、あたしはお店の雰囲気も店員さんも気にいった。きっと彼もそうだと思う。
もう一度あたし達は店員さんにお礼を言って、店を出た。彼は当たり前のように二人分の会計を済ませ、扉を開け、あたしが外に出るのを待ってから自らも外にでた。レディファーストの語源を聞いたばかりだけど、彼のこの行動が女性蔑視から来ているわけではないことを勿論あたしは理解しているし、むしろあたしを大切にしてくれている上での現代で理解されているレディファーストを実施してくれていることも分かっている。
でもかといって彼があたしの分のお金まで払うのが当然とは思わないので、そこは抗議しておく。奢られて当然なんて考えはあいにく持ち合せてはいないし、むしろ彼とフィフティー・フィフティーでいたいからケジメはつけないとね。けれど彼はお金を払うというあたしの言葉をつっぱねる。
「食事代を男性が払うのも立派なレディファースト、だからね」
でもそんなことを言ったって今は中世欧州ではないのだから、そんな考えは却下です。損得のでるレディファーストは受け入れられません!
そう言うと、彼はくすくすと笑って、あたしの手を握り、映画館へと歩みをすすめる。
「そうだなぁ・・・。映画の後はすぐ帰る?」
話を反らそうとしているのか、彼の言動にムスっとしながらも「うーん、カフェに寄ってから帰る」と返答する。
「じゃぁ、カフェではハニーがご馳走してね?男性が食事代を払うのはレディファーストとしての基本だけど女性から招待を受けた場合は別なんだ」
うーん、これはあたしから食事代をもらうのは頑として拒否するけどあまりにあたしが頑固だからカフェでのお茶代を払うことで五分五分にしようってこと?上手く言いくるめられたような気がしないでもないけど・・・。ていうかいつも帰りにカフェに寄るのは分かってたはずだから、あたしから誘ったことにならないけれど・・・・うぅーん・・・?
「ほらほら、はじまっちゃうよ」
そう言って彼は立ち止りそうなあたしの手を引いて先を促す。けれどちゃんとあたしの歩調に合わせて。なんか腑に落ちない・・・。ダーリンはあたしの尖らせた口に指を当てて、にっこり笑った。
『大丈夫。お金よりもっと良いモノをハニーからもらうから、ね?』
ふふふ、と笑った彼の声は街中に消えて云った。
え?良いモノが何か?
それはご想像にお任せ・・・・
今回の教訓
『レディファーストは命がけ』
最近残虐性が薄れていますが、大丈夫(?)です。ちゃんとそういったものも執筆中です(笑)