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part3
色々な物が焦げる匂いが空気の中を漂う。
それは破壊された建築物や装甲車の鉄屑などの無機物が焦げる匂いであり、有機物、とくに死体等の蛋白質が焦げる匂いであった。
官邸へと続く大通りへと出る。
そこでは我が軍の機甲戦闘団の戦車が、歩兵戦闘車が、それに追従する歩兵が官邸への道を守る急造の塹壕にこもった敵残存兵力を、その圧倒的な戦力で無慈悲なまでに殲滅していき、装甲車が浅い塹壕を死体ごと踏み潰して渡っていく。
対空砲火は無きに等しかった。
その代わり的は沢山あった。
ヘリの両脇にいる機付長が備え付けのドアガンで必死に前方の戦車から逃げる敵兵の背中を撃った。隣にいた相棒も自前の小銃で発砲している。前後にいる輸送ヘリも撃っていた。
もちろん僕も、だ。
本来これらは無用なことである筈だ。
任務とは関係ないことだ。僕達はこの革命の首脳を捕まえようとしている。そのために今撃つ理由はない。
でも。