2 新聞の一面
朝、朝食を食べているとテレビの中のニュースキャスターが言った
我々はいったい何を見ているのでしょうか?
これは現実なのでしょうか?
我々の世界はいったいどうなってしまうのでしょうか?
海底から水しぶきをあげながら巨大な大陸が浮上してくる映像だった。
専門家らしきコメンテーターが発言していく
未知の岩ですね。
あまのいわと、とでも呼べばいいのでしょうか。
それを言うなら竜宮城でしょう。
それは驚きですねええ!
世の中すごいことがあるものだ。そう思いながら登校する。
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教室に到着すると
おはよう安藤、
ああ土門、今朝のニュースは見たかい?
見たけど?
あれは俺たちが言うとこの、怪物、クリスターの国家だよ。
長い年月虐げられてきたクリスターたちがついに表舞台に出てきたんだ。
く、クリ?なんだって?
クリスターさ。怪物たちの正式名称だよ。怪物をクリスターと呼ばないのは差別だからな。気をつけろよ。
お、おお。
ま、いいさ。これを見てくれ
安藤は机の上に紙を置きペンで書き込んでいく
野球部50人
サッカー45人
バスケ20人
テニス20人
陸上23人
吹奏楽部21人
美術部12人
ギター部12人
読書部7人
漫画研究会3人
学校の一大勢力は野球部とサッカー部だ。
ここを掌握して軍団を作る
軍団?
そう、革命に必要な先兵たちだよ。
ははっ!何それ!おもしろそう!
ああ、もちろんだ。楽しいぞ!
教室に教師が入ってくると言った
お前ら~今日は休校だから帰りなさい~。
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海底から現れた竜宮城の正体はクリスターの国家だった。
それが現れてから数日後、緊急事態につき休校していた学校が再開されるとさっそく俺たちは軍団作りにいそしむことにした
カメラの画面の中で安藤が先陣を切って野球部の部室の扉を開く
たのもー!
砂とほこりくさい部室を開くと野球部員たちが大量にいた。
君たちクリスター軍に参加してもらいたい。
は?なにそれ?
もちろんタダじゃない。
安藤がどこかに電話をかける
はい、はい、頼みます。
それから5分かからずに10人くらいの美女が現れた。
久しぶり安藤くん
美奈子さんお久しぶりです
安藤、この人たちは?
みんな俺の施術を受けた整形美人たちさ
そんなことまでしてたのか!
まあね。
それじゃ、始めるから。
お願いします。
いきなりお姉さんたちが野球部員たちの唇を奪う。
学生たちは大人のエロティックな手腕を前に一方的に口をむさぼられていく
みんな固唾を飲んでその光景に見いっていた
ぷは~。
お姉さんは唇を話すと周囲を見回して言った
君たちもお姉さんたちとエッチなことしたいよね?
突然の申し出だが
みんな無言で首を縦に振る。
それじゃあさ、この子の話聞いてあげて?
それともしお姉さんたちを満足させてくれたらもっといいことできるかもね。
うへええええええええええええええええええい!
みんな盛り上がった。
まだまだ性に旺盛な世代だ。
目の前に高級品をちらつかせれば一発で食いつく
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たのもー!
石灰くさい部屋の扉を開くとサッカー部員たちがいっぱいいた。
さっそくお姉さんたちを使い篭絡しようとすると
や、やめろ!さわんな!
そう言ってお姉さんを押しのける
どうやらキャップテンの彼は性欲だけでは倒せないようだ。
そこで安藤は財布を取り出すと1万円をベンチに置いた。
君、家が貧乏なんだろ?どうだい?お金ほしくないかい?
は?え?
足らない?しかたがないな
さらに札をベンチの上に積み上げていく
1段、2段、3段、4段、5段、6段
キャップテンの彼は膝から崩れ落ち指先を震わせながら札束をつかんだ
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両部活の学生たちを集めた安藤はどう借りたのか建物のオフィスを借り、演説を始めた。
椅子も机もない部屋では体育すわりするくらいしかできないが。学生が建物を借りることがすでに知識と法を超越した天才の振る舞いで、おかしさと矛盾に満ちていた。
君たちは素晴らしい。
安藤は涙ながらに訴え、熱弁していく
その日は何事もなく終わった。
安藤はそれからも演説を続けた
女や金を使い、ある種の首輪をつながれた学生たちは次の回の講演にも、その次の回の講演にも参加した。女と付き合うために、金をもらうために。
最初こそ笑っていた学生たちも演説の回を重ねるごとに熱心に話に聞き入っていった。
そしてついには2人の賛同者たちが現れるまでに至る。
安藤、俺感動しちゃったよ!
手伝わせてくれ!
ああ、みんな、わかりあえてうれしいよ!
幹部として北瀬、木下が仲間になった。
そしてさらに会を重ね、大勢が安藤の話に賛同していった。
自由、平等、権利、我々がいかに不遇されているか。政府は、国民は、世界は、外はどうか、目覚めるべきなのだと理解され染まっていった。
野球部員、サッカー部員、合計95人の一大勢力、学校の3分の1を占める部員たちがクリスター軍の賛同者となった。
す、すごい。正直ドン引きするくらい驚いた。
天才とは言っていたものの。その才能をフルに活用してここまでの業績を見せつけられると認めざる負えない。
それはもちろん、ロストバスターを開発したことも驚きではあるのだが。これはまた別種の、そう人心掌握術、カリスマ性とでも呼べるものなんじゃないかと思った。
安藤すごい!
毎日のビラ配りで学生たちはさらに数を増して行き、こんな具合に減って行った
バスケ20人→残り1人
テニス20人→残り1人
陸上23人→残り1人
吹奏楽部21人→残り1人
美術部12人→残り1人
ギター部12人→残り1人
読書部7人→残り1人
漫画研究会4人→残り1人
余りものの10人が部活の垣根を越えて帰宅部として意気投合するのは必然だろう。
まるでスタン●バイミーだ。
一方で賛同者たちは男女混成の戦闘訓練を受け、武装組織として精鋭化していく。
幹部の木下の指導の下、ナイフの使い方をマスターしていく女子学生たちの姿はシュールすぎる。
首をかっ切る動きだ。destoroi、英語?ローマ字?どっちでもいいが首をかっ切るジェスチャーをしている。
校庭で格闘訓練をしていく学生たちを見下ろしながら安藤はニヤついていた
土門、見ろ。俺たちの軍団だ。
俺は怪物を・・・クリスターを殺してしまった。それは差別、ひいては殺人だったのではないだろうか・・・。
同時にこのころになると俺はちょっと怖くなってきていた。
こ、こんな騒ぎになるだなんて思わなかった。これじゃさすがにやりすぎだ!
お前は何を言っているんだ。承知の上で俺についてきたはずだ。これは革命だよ。最初に言ったじゃないか革命に必要な先兵たちだと
革命って・・・。
冗談かと思ってとらえていたのだ。そしたら本気だった。
罪深い日本人たちを粛清し、俺たちがクリスターに平和をもたらし人間たちのいましめから解放するんだ。
安藤は狂人のように目を血走らせて言っているわけではない。
極普通の感性で平然と言っているのだ。
それが正義で正しいのだと言ってのけた。
新たなロストバスターも開発中だ。我々の軍事力は国家をゆるがすレベルまで成長しつつある。
そ、そんな・・・。
なんだ?怖くなったか?
安藤・・・。俺たち・・・友達だよな?
当たり前だ。裏切るとでも思うのか?そんなことあり得るわけないだろ。
そ、そうだよな。悪い。
取って食うなんてことあり得るわけがない。彼らも俺もお前の仲間だ。そうだろ?
そうだよな!仲間だ!
・・・そうは言いつつも俺は安易な気持ちでとんでもないことを手伝ってしまったのではないだろうかと思った。安藤が俺を仲間だと言っているその言葉も俺を都合よくコマとして動かすための・・・ち、違う!そんなはずない!俺!正気になれ!信じるんだ!大丈夫!大丈夫だ!
俺の撮影した映像が広報映像となって活動はさらに加速していく。
クリスターの国民たち、すなわち怪物たちからのヘイト攻撃が始まるのだった。
日本人と日本の総理大臣が大バッシングされていた。
罵詈雑言の怒り、意志疎通不能な一方的なフラストレーションの発露にされて行った。
もちろんその先陣を切ったのは言うまでもない。俺たちクリスター軍だ。
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ブラアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアア!
クリスターが現れた
道を歩いている人を何度も蹴っている
ジンライ!
叫ぶことで音声認証キーが反応俺の体を機械の体へと変身させていく
鋭角的なフォルムのメタリックブルーの戦士へと変貌する。
飛び掛かり
はあ!
拳を拳で受ける
はあ!
左手を挙げると手の甲に相手の拳がかすめる
はあ!
ゴロンと右から転がり
はあ!
チョップする
ブラアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアア!
はあ!
さらに足払いで蹴り転ばせる
はあ!
飛び乗り
はあああああああああ!はあああああああああ!
頭を何度も叩いた。
これは正しいのか・・・とりあえず変身して・・・とりあえず戦ってしまったが・・・これは正しいのか?
俺はいままでクリスターを追い払って来た。
戦わなければ殺人を見過ごすからだ。
だがそれは正当な権利であり、正当なはずであり、正しかったのか確信が持てない・・・。
はあ!
俺はジャンプして距離を取ると
腰の特殊弾丸を右腕のシリンダーに1発、装填。
そして腕のジョイントパーツを引くとスライドしエネルギーゲージがフルチャージされる。
電子的な音声が言った。
ストライク・スティング!
技名を復唱、二重セーフティーを解除する。
ストライク・スティング!
うおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおお!
大きく振りかぶりパイルバンカーパンチを・・・・・・。
振るえなかった・・・。
く・・・うう・・・撃てない!
振りかぶった拳をおろすと
ブラアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアア!
うああああああああああ!ぶあ!ぐはっ!うあ!あああ!
何度も殴られてしまう
クリスターはそのまま行ってしまった。
傷ついた体をかばいながら立ち上がると俺は・・・。
事件の現場を見れば人が蹴られてはいたが殺されてはいなかった。
俺が殺す必要も正当性もないのだ。やつは暴れただけだ。警察に任せよう。任せるしかない。任せなければ殺害していたかもしれない。差別していたかもしれない。
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安藤が外に集まった皆を前に叫ぶ
決起のときは来た!総理をここに!
幹部の北瀬が総理大臣の顔がプリントされた旗を持ってくる
俺も撮影していく
いまここに天誅をくだす!
総理の顔が燃え盛る!
ぼわわわ!
凱旋するぞ!
「「おおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおお!」」
大勢の集団を引き連れ
安藤が大規模なデモ行進を開始する。
目指すは国会議事堂、これはもちろん不法なデモ活動だ。だがそのことに俺は気が付いていない。
安藤だけが事態を把握し、武器類を持たないことを徹底させていた。
クリスターに謝罪しろ!
「「クリスターに謝罪しろ!」」
差別を許すな!
「「差別を許すな!」」
クリスターを解放しろ!
「「クリスターをかいほーしろ!」」
クリスターは自由だ!
「「クリスターはじゆーだ!」」
解放しろよ!
「「解放しろよ!」」
クリスター解放!
「「クリスター解放!」」
幹部の木下が音頭を取り、集団がデモ活動を訴える
見物人たちがちらほら現れ、
数キロも歩くと議事堂が見えてくる。
そして警官隊たちが大勢待機していた。
マスコミもあちこちからカメラを向けている。
街路樹の光が集団を明るく照らしていた
警察が拡声器片手に言った
速やかに解散しなさい。君たちの行為は不法なデモ行為です。従わない場合、強制執行をする。
うるせえええええええええええええええええええ!
おおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおお!
あああああああああああああああああああああああああああああああああああああああ!
誰もかれもがうなり声をあげ罵声をあびせる。
自由を寄越せええええええええええええええええ!
解放しろおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおお!
しかし、安藤は冷静だった。
解散!
・・・・・・は?
解散?
解散だってよ。
解散と、そう一言、言えば皆が戸惑いながらも従う。そしてデモは終わった。
ただこれは始まりにすぎない。
各地の学校から安藤に続けとばかりに学生勢力が生まれていく
クリスター戦線、クリスター革命、クリスター保守など、安藤のクリスター軍と合流していった。それは成人した大人たちの中にも現れ同じように安藤へと集まっていく
クリスター軍は研究施設を抱え粗悪品ではあるが武器製造まで可能となった。
いまや安藤は日本のチェ・ゲバラ。革命児として認識され政治家たちからもダブルAクラスの危険視をされていく。
幹部の北瀬、木下はもちろんのこと、俺も安藤の右腕テロリスト候補としてマークされていると思われるがその辺はうまく隠しているつもりだ。隠せてるよね?ねえ!?
ところで最近安藤が本部を留守にすることが多い。
本部と言っても野球部とサッカー部に説教をしたあの殺風景な建物なのだが、内部はいまやよく清掃、手入れされ、
壁には高名な芸術絵画のコピー品や花、資金力こそないが教養を重視した装飾品。収納しやすくかつ整備された椅子が置かれていた。
女のメンバーたちの中にも主に幹部連中と肉体関係を持つものたちが現れ典型的な活動勢力へと急成長していった。
さて問題の安藤はと言えば、ある日、平然とした顔で帰ってくると世論を大きく変更させていった。
テレビのコメンテーターは言った
彼らは我々の被害者ですよ
終始この論調が続き、多くのコメンテーターがクリスターを擁護した。
すでに戦いは始まっていた。
クリスター国と手を結んだ安藤は無尽蔵の財力を得た。
安藤の魔の手によってマスメディア、芸能人、宗教団体、政治家、財界人、反社会勢力、いくつかの勢力が部分的にではあるが掌握されていった。
それは俺が恐怖を自覚するには十分すぎる行為だった。
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新たなデモの日、大勢が炎天下の元に集まるといつものように行進を開始する
組織が巨大化しすぎている。
このままではいずれ国家転覆罪で処刑される日もそう遠くないだろう。
付き合いきれない!逃げなければ・・・。
しかし最悪を想定するなら俺の顔も名前もすでに政府公安側に漏れていると見たほうがいいだろう。ただ逃げただけでは俺の汚名はそそげないかもしれない。
そこで安藤の研究している軍事兵器を撮影しその映像を手土産に警察もしくは政府に亡命することにした。
これは比喩などではない。本当に亡命なのだ。裏切りが発覚すればよくてリンチ、悪ければ内内に処刑されかねない。
俺はカメラ片手にいつもの通路を歩いていく。
おはようございます!
いつもなら部下のように思っていた軍団員たちだが今や全員敵でしかない。
挨拶され俺もぎこちなく返事をしていく
そして問題の武器工場に来た。
粗悪な銃火器だが、人を殺傷するにはかろうじで耐えうる程度の性能を確保できている。
フルオート射撃は不可能でもセミオート射撃なら可能なライフル、
当初こそ不発が多かったが研究と実験を重ねるうち安定性を得た鉄パイプでできた手製の手りゅう弾、巨額の投資ができない民間がここまでのものを作れるなら上出来だろう。
しかしそれも今だけだ。クリスター国と結託した今、この組織にも活動資金と純正の兵器が荷下ろしされることだろう。
工場内の作業員たちに気が付かれないようすべて映像に納め、次にロストバスターを探す。
この場にいる作業員たちですら安藤のロストバスターの存在は知らないはずだ。
安藤の姿を見つける。
隠し扉だった。
あんな場所に部屋があるのか?
あとを追うと背面の扉が自動で閉まった
進むしかないか。
経過しながら奥へと向かうとロストバスターが安置されていた。
安藤はひとりごとをつぶやいている
陰に身を隠す
このロストバスターセカンドシリーズがあれば警察など殲滅できるはずだ。ふふふ、楽しみだな。
安藤がその場を去る
これが新しいロストバスターか、
こいつを手土産にすれば亡命できるはずだ
ふと、視線をさまよわせれば小さな機械を見つける
それに何だこの装置は?ついでにもらっておこう。
俺はロストバスターを背負うと外へと急いだ。
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警察署の前まで来ると両手をあげて警察署へと入って行った。
亡命を希望する!
そう言って背中のロストバスターをちらつかせれば
何だあれ?
誰もが驚きの声をあげる
数分後、えらい人が現れた。
亡命希望とのことだが。どういう意味かな?
はい。
それなら内部の構造を話したまえ
俺は洗いざらいすべてを吐き出した。
建物の構造、構成員、兵器工場、ロストバスターについてもだ。
信じられない話だが、あれを見れば納得もできる。
そんな超兵器があるだなんてとても信じられない話だが
壁に寄り掛かったロストバスターを見る。
よし、君の身柄は我々が保護しよう
そのときだった。
大変です!
議事堂前で暴動が起きています!
なんだと!
クリスター軍です!
いてもたってもいられないので急いで出口に走った
手がさえぎろうと迫るが変身前とは言えロストバスターである俺の脚力を止められる者はそうはいない。間をぬうように走り抜けてしまう
土門くん!待ちなさい!
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駆け付けた軍団員の一人が言った
軍団長!デモ隊を検挙しようと警察が応戦してきています。
それだけではありません。本部にも警官隊が押し寄せています!
よし、読み通りだ。木下!お前は本部を
はい!
北瀬!団員たちはお前たちに任せるぞ!
はい!
俺はロストバスターで出る!
へ?
ジンライ!
叫ぶことで音声認証キーが反応、安藤の体を機械の体へと変身させていく
鋭角的なフォルムのメタリックレッドの戦士へと変貌する。
うわ!
2人とも驚き腰を抜かす
お前たちにこの姿を見せるのは初めてだったな。俺はこの力で警察を相手取る。お前たちはその間に議事堂に攻め込め!いいな!
「「は、はい!」」
さあ、世界を変えるぞ!
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クリスター解放!
「「クリスター解放!」」
差別をするなー!
「「差別をするなー!」」
ただ今の時刻午後6時33分
デモ行進に出立した君たちに神田警察署庁から通告する
ただいまから警察は君たちの行進をこの先の円滑な交通の
流れを確保するため部隊で整理をしながら・・・
整理に当たる警察官の指示に従い道路
道路指示者責任者からも呼びかけ指導しなさい
広がるなー!
戦いが始まった。
火炎瓶が宙を舞い、警察官が燃やされた
うぎゃあああああああああああああああああああああああああああああああああ!
悲鳴が上がる
検挙ーーーー!警官隊のかけ声が響いてくる
大勢の警官隊たちが軍団員に突撃をかけ始めた
そんなデモのど真ん中を悠然と歩いていく
安藤の姿を見た警官たちは度肝を抜かれた
何だ・・・あれは・・・!
コスプレ、そう言ってしまえばそうだろう。だがそんなものではない。
ふん!
安藤が拳を振るえば停車してあったバイクが警官たちの上から降り注いだ
うああああああああああああああああああああああああああああああああああああああ!
な、なんだあれは!化け物!
暴れまわる安藤のロストバスター
警察の装甲車が届くと大量の銃火器を持った部隊が投入された
・・・撃てえ!撃てえええええええええええええええ!
火炎瓶が宙を舞い、すでに警官たちの中には負傷者が出ている。銃弾使用が許可されていた
いくつもの発砲を受けながら平然と歩くその姿は戦車をほうふつとさせる。
はあ!
両手足を振り、全速力で走ってくる。乱反射するボディがまぶしく光った
はあ!
ドゴオ!
タックルが警官たち10人を吹っ飛ばす
わああああああああああああああああああああ!
警官たちが後ずさる
いかに鍛え上げた警官たちと言えどブルドーザーも同然の存在が40km近くの高速で目の前に迫ってくれば退いてしまうのは当然だ。
パンチ一発、一発が警察たちの持つライオット・シールドのポリカーボネート製をくの字に叩き折り、殺害していく
うらあああああああああああああああああ!
安藤がうなり声を上げ、軍団員たちですら異様な光景に腰を抜かす
パンチを大振りに振り回す
銃弾の弾が切れ警棒片手に果敢に戦いを挑む警官たち、警棒がむなしく体を打ち付け叩き折れて行った
ロストバスターの装甲車以上の装甲を前にまるで無意味だ。
別方向から誰かが叫んだ
撃て!撃てええええ!
パン!パン!パン!パン!パン!パン!パン!パン!パン!パン!パン!パン!
パン!パン!パン!パン!パン!パン!パン!パン!パン!パン!パン!パン!
パン!パン!パン!パン!パン!パン!パン!パン!パン!パン!パン!パン!
発砲は跳弾するだけで関係ない人に銃弾が被弾していく。
体を金属が弾き、弾雨の中を重量感ある肉体がドスドスと前進していく。
右フック
ふん!
左フック
はあ!
右フック
ふん!
警官たちが次々と殺害されていった
やめろおおおおおおおおお!
強烈な拳が安藤のほほを殴った。
一瞬、時が静止したような錯覚を起こす。
土門だった。
裏切るのか!
もうやめろ!安藤!
ふざけるなあああああああああ!クリスターは俺が守る!
激しい殴り合いが始まった。