正義の継承
この街の四季は狂っている。
昨日雪が降ったと思ったら、翌日は真夏日になっている。朝、桜が満開だと思っていたら、晩には全て散っている。魔神がきまぐれに天候や植生を変化させているのだろう。
普通の人間がこの街で過ごしていたら常軌を逸した寒暖差で体調を崩しそうだったが、魔法使いの彼女たちは頑丈だった。多少体に不具合が生じても常時肉体の再生が続いているので、全く問題なく活動を続けられる。
「うう、寒いな……」
裏を返せば魔力を失った人間にこの街は過酷だった。柴扉真古刀は駅のホームに設置してあるベンチに腰かけて、自身の体を抱きしめていた。
昨日までは比較的温暖な気候が続いていたが、今朝になって真冬の寒さになっていた。風も強い。ホームは屋外にあり、粗末な屋根がついているだけなので、寒風が彼女の服の隙間を狙って吹き荒んでいた。空高く太陽が照り輝いているが、屋根のせいでここは日陰になっている。
「温めてやろうか? うん?」
そう言ったのはこの街きっての好色家、大禍時聖だった。早くもコートを脱ぎかけている。とはいえ、魔法使いでなくなった人間相手だと加減が難しく、下手すると傷つけてしまうので、彼女も真古刀に触れることはなかった。微妙な距離感で攻めあぐねている大禍時を見て、真古刀はぽんぽんと自分の隣を叩いて座れと指示した。
小動物のような機敏さで大禍時が座る。距離が近い。他にも護衛の魔法使いはいたが、見て見ぬふりをしていた。この街から去る真古刀より、不本意ながら今後も付き合うことになる大禍時の機嫌を優先した形だろう。
「私は十年ほど、この街で過ごしてきた」
「……うん」
真古刀は銀色に輝くレールを見つめながら言った。大禍時は大人しくそれを聞いている。
「真実魔法は強力だった。ミステリー小説を五ページで終わらせるくらいの威力があった。この目で見抜けない犯罪はなかったし、戦闘においてもほぼ無敵と言って良かった」
「ああ。もしかしたら朔望月はミステリー好きだったのかもな。殺されても文句は言えねえ」
そう言う大禍時の声には怒りが混じっていた。茶化しても誤魔化しきれない強い感情がそこにあった。
真古刀は大禍時の肩に触れて落ち着かせた。
「私という存在そのものが犯罪の抑止になっていると夜綱から聞かされたことがある。きみがそれを言うか、とも思ったが、嬉しかったよ。色んな形で魔法使いの子たちと交流したけれど、礼賛派も、遊興派も、誅戮派も、腹を割って話せば、みんないい子だ。ただ魔神と魔法に対するスタンスがちょっと違うだけでさ」
「まあ、真古刀相手には腹を割らざるを得ないというか……」
大禍時は少々呆れた様子だった。真古刀は真実魔法によって他人の思考や感情も読めたから、自分が周囲からどれだけ恐れられていたか知っている。それ以上の信頼があったことも。
「そういえば、私と初めて会ったとき、大禍時はまだ猫をかぶってたな。それはさておき、未解決の事件を二つ残して去ることが気がかりではある。朔望月ミカ……。彼女はいったい何者なんだろうね」
大禍時は腕を組んだ。コート姿の彼女は白い息を吐き、少し考えた後、
「未解決ってのは違うんじゃないか? 鉄道爆破事件と、裁判官殺害事件。犯人は分かっているわけだし」
「私の魔法は砕けて消えてしまったけれど、一度、その朔望月さんに会いたいなあ。真実魔法がないと私はただの知ったかぶりの女だけど、どんな人なのか知りたい」
本当に犯人は朔望月なのか。真古刀が疑っていることを、大禍時は察した。
「やめとけよ。普通の魔法使いなら一般人に手を出さないだろうが、朔望月ミカだけは分からない。容赦なくお前を殺しに来るかも」
「でも、話を聞いた限り、私は変装までして彼女に会いに行ったそうじゃないか。普通じゃないよ。少なくとも、私は過去にそんな無茶をしたことはない」
「それはそうだが……」
大禍時は真古刀が病床に伏せていたとき、教えてくれた。裁判所で真古刀が発した言葉。朔望月を尋問した直後に発した言葉。
――それがね、聞いてくれよ大禍時。本当に驚くぞ、彼女は――
色んな犯罪者、色んな魔法使い、色んな固有魔法を見てきた真古刀が興奮するほどの何かを朔望月の中に見た。それは確かだ。
それが何なのか、真古刀と大禍時はずっと考えている。もしかして本当に冤罪魔法なるものが存在するのだろうか。そう考えることもあるが、鉄道を爆破したのは誰なのか、裁判官を殺したのは誰なのか、と考えていくと、朔望月以外に疑わしい人間がいない。
「……そろそろ電車が来るな」
大禍時は腕時計で時刻を確認して言った。帰りの便は週に一度。ホームには真古刀以外にも、今週脱落が決定した魔法使いが十名ほど待機していた。
真古刀は立ち上がった。彼女のスレンダーな美しい立ち姿を、大禍時は網膜にしっかりと焼き付けようとでもしているのか、身を乗り出した。そして泣きそうになりながらも、
「朔望月は私が責任を持って捕まえてやる。他に心残りはないか? 恋人の私を置いて出て行くのは苦しいだろうが……」
「ふふ。きみと別れるのは寂しいかもな。なんだかんだ言って、一番私と話をしてくれたのはきみだった」
「ま、真古刀ぉ……! 別れのキス、する?」
「しない」
真古刀のにべのない返事に、近くに立っていた大禍時の相棒未央が失笑した。大禍時がツカツカツカと歩み寄る。
「未央ちゃん? キスしてあげよっか? ベロチューだよ?」
「先輩やめてください。できればこの電車で街から去ってください」
「酷いこと言うなあ。本当に私がいなくなったら泣くくせに」
「嬉し泣きはするかもですね……」
大禍時と未央がじゃれ合い始めた。そんな二人を苦笑しながら見ていた真古刀は、ふと不穏な空気を感じ取った。
魔法を失った真古刀の、人間に生来備わった感覚。空気が止まる感覚。風が凪ぎ、にわかに空気に生臭さを感じるようになる。
視線が自然と南のほうを向いた。駅前のがらんとした駐車場にバイクが停まっている。その近くに三人の少女が立っていた。
その内、見慣れている顔は一人だけだった。誅戮派の殺人鬼、四顧雁風亜。真古刀は今日に至るまで、彼女を何度も尋問し多くの殺人事件を明るみにしたが、まともに会話したことはなかった。常に人を見下す目をする女性で、真実魔法がなければ機械のような印象を受けていただろう。実際は寂しがり屋で、枢のことを実の姉のように慕っているが、感情表現が苦手なようだった。
そういうことを知っていると、多少失礼な言動をされても全て許せてしまう。四顧雁が真古刀の視線に気づき、気まずそうに顔を伏せた。
四顧雁の近くにいる少女二人は知らない顔だったが、一人は朔望月ミカだと分かった。聞いていた特徴と見た目が酷似していたからだ。礼賛派の警察ごっこは杜撰なところがあったので、朔望月の写真は残っていなかった。ゆえに顔を見るのは初めてだった。
朔望月の体がふわりと浮き上がる。そしてそのままホームまで飛んできた。四顧雁のジェット魔法だろう。
減速できずに朔望月が突っ込んで来た。ホームのアスファルト舗装の地面に激突し、ぐしゃっという嫌な音が鳴る。ホームにいた人たちがようやくここで彼女に気づいた。
「さ、朔望月!?」
未央が素っ頓狂な声をあげる。大禍時が目を丸くし、護衛についていた魔法使いが構えた。魔法の力を失った少女たちが悲鳴を上げて逃げ始める。
真古刀は逃げなかった。目の前で無様に転がった少女に悪意を感じなかったからだ。真実魔法で人となりを確認できる真古刀は、自分の勘との答え合わせを即座にできる立場だった。だから自分の勘は根拠のある勘だと豪語していた。
「いてて……。これなら自力で跳んできたほうが良かったな……」
鼻血が出ていないか確認しつつ立ち上がった朔望月は、真古刀に笑いかけた。真古刀は笑みを返す。
「朔望月ミカだ! 確保しろ!」
護衛の魔法使いが戦闘態勢に入った。それを制したのは大禍時だった。
「阿呆が! 控えろ! 真古刀や他の脱落者が怪我をしたらどうする!」
大禍時の一喝に、護衛たちは戸惑ったように顔を見合わせた。大禍時は真古刀の横に並び立ち、睨みつける。
「どういう了見だ、朔望月ミカ。ここでの戦闘は避けたい。それとも真古刀を殺しに来たのか?」
「いえ。まさか。今日旅立たれると聞いて、挨拶を、と」
大禍時の額に青筋が浮かび上がる。怒りで我を忘れそうになるところを、必死に抑え込んでいる。
「誰のせいで、真古刀がこの街を去ることになったと……!」
「そうですよね。すみません。間違いなく、私が真古刀さんを殺しました」
あっけらかんと言った朔望月に違和感を覚えた。開き直っている? 犯罪者としての顔をついに明らかにしたのだろうか?
「てめえ……」
大禍時がらしからぬ憤怒モードになっているのを見て、まあまあ、と大禍時をなだめた。そして他の魔法使いにも大丈夫だと目配せした。魔法を失っても、魔法使いたちの真古刀への信頼は絶大だった。誰もが大人しく事態を見守る体勢になる。
「……朔望月ミカさん。わざわざこんなところまで来るなんて。用件はただの挨拶だけじゃないだろう?」
真古刀の問いかけに、朔望月は気まずそうに、
「いえ、本当に挨拶だけです。私、真古刀さんに恩があるので」
「恩? それでいくときみは恩人を殺して街から追い出したことになるんだけど……」
「わざとではありませんが、結果的にそうなってしまいましたね。ごめんなさい」
あっさりと頭を下げた朔望月に真古刀は戸惑ってしまった。他の魔法使いも意表を突かれてみんな変な顔をしている。
「あ、うん……」
「何を言っているんだと思われるかもしれませんが、聞いてください。あなたを殺したのは私ですが、電車を爆破したのは私ではありません。真犯人は必ず私が捕まえます」
「え?」
あまりの発言に真古刀はきょとんとした。横で聞いていた大禍時が我慢できずに前に進み出る。
「また切り刻まれたいか? あのとき私は現場にいたんだ。お前以外に怪しい人間はいなかった。犯人はお前しかありえない。他に容疑者候補がいるなら今言え」
朔望月は、大禍時に殺された記憶に苦しんでいるのか、彼女を見て少し苦しそうにした。魔法で痛覚は遮断できるが、それでも全身バラバラにされる体験は不愉快の極みだろう。
「それはまだです。私もこれから調べるので」
「話にならねえ。お前、マジで何をしに来たんだ。おちょくりに来たのかよ」
ここで朔望月は困った顔をした。傍から見たら大柄な女に絡まれる可哀想な女の子のようだ。真古刀は大禍時の背中に触れて下がらせた。
「まあまあ。きみが真犯人を捕まえてくれるって?」
「はい」
真古刀は改めて朔望月を見る。素朴な顔立ちをしている少女。なぜ自分でもそう思うのか不思議だが、悪党にしか見えない。吐く言葉が嘘に満ちている気がする。あまりに見え透いていて、必死に無実を主張する彼女が滑稽ですらあった。
「正直、きみをこの目で見て、犯人っぽいなとしか思えないんだ。私の勘がそう言ってる。とはいえ、真実魔法はこれまでも驚くべき事実を暴いてきた。人間の感覚なんて当てにならないことを経験則として知っている。だから、本当に真犯人というものがいるのなら、きみに託すよ。きみ以外の人間はきみが犯人だと思っているのだから、真犯人を暴くとしたらきみしかいない」
大禍時が真古刀を二度見した。発言内容が信じられないようだった。
「おいおい、真古刀。本気で言ってるのか」
「真犯人がいるとしたら、だよ。簡単な論理の話だ」
この場にいる人間全てが、朔望月が犯人だと考えていた。真古刀ですらそうだ。
しかし朔望月はこの空気の中で深々と頭を下げる。
「ありがとうございます。頑張ります」
「うん」
朔望月は頭を少し持ち上げ、上目遣いで真古刀を見つめた。
「……私も新参ですが、柴扉真古刀さんはこの街の良心であったと聞きました。一明灯さんが泣きながらあなたを助けようと必死になっていました。慕われていたんですね」
「そうなんだ。クールな彼女が……」
「ですから、これからは私がこの街の悪を暴きます。あなたに代わって、この街の正義を守ります」
朔望月がそう発言したとき、取り巻きの魔法使いたちがハァ? と怒りの表情を見せた。
「――お前っ!」
大禍時が我慢できずに朔望月の胸倉を掴んだ。小柄な彼女の足の先が地面から離れそうになる。朔望月はこうなることを覚悟していたか、全く動じなかった。
「お前だけは、そんな言葉を吐いちゃいけねえ……。なにをいけしゃあしゃあとぬかしやがる。私は無類の女好きだが、お前だけは全くそそらねえ……。今ここでぶち殺してやろうか」
高まる戦闘の気配。見かねた未央が大禍時の背中に飛びついて下がらせようとした。
「先輩! ここにいるのは朔望月だけじゃないですよ! 四顧雁がいます! 彼女が暴れたら魔法を失った真古刀さんたちはタダでは済みません! ここは穏便に!」
「分かってんだよそんなことぁ!」
大禍時が未央をふりほどき、朔望月を突き飛ばす。
朔望月はなんとか踏ん張り、姿勢を正した。怒りも悲しみも押し殺した、堂々とした振る舞いだった。真古刀はそんな彼女を見て、胸に疼くものがあった。
「きみだけに託すことはない。私は何年もかけて、この街の人々と交流してきた。普通に考えれば、正義の意思を継いでくれるのはきみ以外の誰かだ」
心なしか魔法使いたちが朔望月との距離を縮めている。これ以上不遜なことを言えば飛び掛かっていきそうだった。真古刀は一同を落ち着かせるために笑む。最後まで面倒のかかる子たちだ。
朔望月だけは最初から落ち着いていた。ただし真古刀の言葉に不服そうにしている。
「はい。ですが……」
「私にはきみが悪党に見える。どうしようもなく、信じたくなくなる。こんなことは初めてだ。だからこそ、何かおかしなことが起こっている気がしないでもない」
真古刀のこの発言で、この場の誰もが黙り込んだ。次の真古刀の言葉がどんなものなのか、息を呑んで耳を澄ませた。
「……敢えてこの言葉をきみに贈ろう。グッドラック! この街を盛り上げてくれ」
このタイミングで電車が近づいてきた。近くの遮断機の警報が鳴り始める。朔望月は一礼すると、ふわりと体が浮いた。そしてそのままホームから駐車場へと飛んでいく。今度も着地がうまくいかず、駐車場のアスファルトの上を転がっていた。四顧雁がくすくす笑っているのが見える。
「お、おい、真古刀。あんな奴応援したらダメだろ」
大禍時がおろおろしながら言う。真古刀は微笑していた。
「もう私は去る。関係ないさ。これから政府が用意した官職か、民間で就職活動するか考えないといけない。自分のことで精一杯だ」
あえて突き放すことを言ってみる。大禍時がボリボリと頭を掻いた。
「つれねえなあ……。たぶんあの女、一か月後にはこの街から去ることになるぜ。私だけじゃねえ、礼賛派全員であの女を狙ってる。一度私に殺されて、復帰するのに魔力を消費してるから、あと一度か二度大怪我したらそのまま脱落するだろうし」
魔神に魔力を吸われ続けているこの街の住民は何もしなければ半年ほどで魔力を失う。朔望月の場合、一度派手に死んだのであと一ヶ月分くらいの魔力しか残っていないだろう。補給するタイミングもなかったはずだ。誅戮派が新参の彼女にいきなり大量の魔力を供給するとも思えない。確かにやるなら今だ。
「それじゃあ、きみが魔力を補給してあげなよ」
「は!? どうして私が」
「きみが性的に興奮しない、数少ない女の子なんだろう? 仕事のパートナーとしては最適じゃないか」
大禍時は自分の胸をドンと叩いた。
「あいつは誅戮派の悪党で、私は礼賛派の穢れなきヒロインだ。無理だよ」
「派閥を超えた協力関係ってことになるかな」
「冗談じゃねえ」
本気で嫌悪した顔の大禍時に真古刀は笑いかけた。
電車がホームに入ってくる。風圧で互いの髪がなびいた。
遮断機の音のせいで互いの声量を自然と上げていたが、ここでそれが止んだ。真古刀は笑いかける。
「……じゃ、行ってくる。世話になったね」
「お前の正義を継ぐのは私だ」
「悪童のきみが? 似合わないよ」
大禍時は不服そうに、
「あんな悪党にお前が託すからだ。私にも、何か言ってくれよ」
「グッドラック。私がいないからって、浮気したら許さないからな」
「え。それって……、ふへ?」
真古刀は笑いながら電車に乗り込んだ。大禍時が一緒に乗り込もうとするのを未央が必死に止めていた。
魔力を失い、魔神に用済みだと判断されたかつての魔法使いたちが、外の世界に帰っていく。
真実魔法によって多くの人間の犯罪を暴き、思考を読んできた。その気になれば、その人が誰が好きか、外の世界に残してきた家族の構成は、誰にも話したことのない秘密は、といったことも全て分かる。だからこそ、何も用事がなければ誰も真古刀に近付こうとはしてこなかった。
だからこそ積極的に話しかけてくれる大禍時と自然と仲良くなった。彼女が本物の変態だということは分かっている。自分への好意が本物だということも。そして、さっきの言葉が本気だということが、真実魔法がなくとも分かってしまった。
――お前の正義を継ぐのは私だ。
自分の意思を街に残すなんてクサイことをするつもりはなかったが、まさかよりにもよって大犯罪者と変態女が正義の継承に手を挙げてくるとは。この街はきっとこれから面白くなる。その場に自分が居合わせないことがちょっと不満だが、外から見守るとしよう。
電車は復旧した橋の上を粛々と進む。橋の下、バイクが停まっていて、そこから例の少女三人が手を振ってお見送りをしてくれていた。同乗の脱落者はそれを見て怯えており、真古刀は苦笑してしまった。
仏頂面で小さく手を振る四顧雁、笑顔で大きく手を振る朔望月。二人を見て微笑んだ真古刀だったが、残る一人の少女に目をやった途端、怖気が走った。
白いワンピースの可愛らしい金髪の少女。まっすぐ真古刀がいるほうを見据えて控えめに手を振っている。真古刀は長い時間その少女を見ることができなかった。すぐに視線を外す。
「どうしました、柴扉さん」
同乗していた一人が尋ねる。真古刀は手を振って、何でもないとジェスチャーした。
あの少女は……。見覚えはないが分かってしまった。真実魔法の使い手としての経験が警鐘を鳴らしている。しかし、どうして、あの少女がそこにいる?
誅戮派はとんでもない爆弾を抱えてしまったな……。そしてその隣に朔望月というもう一つの爆弾がある。この街は面白いことが起こる前に木端微塵に爆発四散してしまうかも。真古刀は小さくため息をついた後、ハハハと笑い転げてしまった。
『正義が死んだ日』
終わり
『爆熱爆弾心臓爆々』
に続く