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◀電子書籍配信中▶乙女ゲームの破滅フラグをへし折る無自覚聖女は、難攻不落の攻略キャラに溺愛される。言っておきますが私、悪役令嬢です  作者: 瑞貴
第一幕

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1-27花の祭典②~rewriting~

 花の祭典に向かうため、ブライアン様がバーンズ侯爵家の我が家へ迎えにきた。

 今日の彼は、祭りに溶け込めるように、飾り気のないシャツ一枚と黒いスラックス、といったラフな服装だ。


「アリアナ。今日のあなたは一段と美しいね。もしかして、私とのデートを心待ちにしていたと期待してもいいだろうか」


 流石、乙女ゲームの世界。

 私の顔を見た瞬間、ブライアン様はキラキラと輝く笑顔を向けて、私を口説き始めた。


「一段と美しい」と言われて少し照れた私は、僅かに口角が上がったのは間違いない。


 ……この直前まで、エリーと繰り広げたワンピースの色問題。


 一歩も引かないエリーとの真っ向勝負を諦めた私は、恋の駆け引きについて熱く語ってみることにした。経験値ゼロのくせに。

「彼の色に、染まり切らないもどかしさが、恋を熱くする」と、全く知りもしない御託を並べ、諭すこと三十分。


 エリーとの戦いに勝利し、ブライアン様の瞳を連想させる、深い青のワンピースを退けるのに見事成功した。


 だが、おかげでますます熱くなるエリー。

 謎の恋愛談義を重ねた私は、鼻歌混じりに私の髪を結う侍女から、逃げる術はなく……。


 その結果、自分で言うのはおかしいが、元から人目を引く美女の私は、エリーの手に掛かり、私自身が鏡の前で呆けるほど、美しく仕上がった認識はある。


 暴走する侍女のエリーが、緑のワンピースだけでは味気ないと、私の金髪を丹念に編み込んでくれたのだ。

 エリーが編み込みにした理由は、花がいくつも挿せるからという単純な話。


「お褒めいただき光栄ですが、残念ながら違います。私の侍女が勝手に張り切っただけで、ブライアン様のためではありませんから」

 罪悪感はありつつも、彼にそっけなく返した。

 一点の曇りも感じない彼からの言葉は、素直に言えば嬉しいに決まっている。

 だけど、そんなことは絶対に言うものかと、ふいっと顔を横へ向けた。


 あれ。

 ……もしかして、努力の方向を変えたらいいんじゃないかしら。

 うん、そうだわ。

 悪役令嬢だけど、私が嫌われないために、嫌われフラグをへし折れば、「ざまぁ」を回避できるかもしれない。どうして今まで思いつかなかったんだろう。


「何か考えごと? 随分と上の空だけど」

 気遣わし気なブライアン様が、私の顔を覗き込む。


「あの~、一つ聞いても良いですか?」

「もちろん何でも聞いて。アリアナが私に興味を持ってくれるとは、嬉しいな」


「私の、どこが嫌いですか?」

 この答えに私の人生がかかっている。嫌いなところは是正する。

 もったいぶらずに教えてよと、至って真剣に調査を始めた。

 ブレない視線を向けて問えば、目をパチパチするブライアン様が、のけ反った。


「えっ? 私は『愛してる』とは言ったが、嫌いと言った覚えはないけど」

 ええ、知っていますとも。こちらも聞いた覚えはない。

 私だって、自分のことを、やればできる女だと思っている。


 そもそも悪役令嬢だし、性格に難ありなのは否めない。そのため、あなたの嫌いな所は、改善する姿勢。ただそれだけ。元婚約者へ無駄に尽くした私には、容易いことだ。


 だがしかし。答えが一つにまとまらない様子のブライアン様は、目を見開き、ぽかんと固まっている。


「一つじゃなくていいですよ。私の嫌いなところを全部教えてください」

「嫌いなところなど、一つもない。アリアナの我が儘であれば、何でも叶えてあげたいしね。次のデートは、『演劇を観たい』と言えば、貸し切りにするし、それで満足できないのであれば、団員を私の城へ招き、二人きりで観ることもできるけど」


 それでは、ちっとも答えになっていないから!

 その回答では、嫌われフラグのへし折り方が、さっぱり見当がつかない。

 私にヒントをくれと、藁にもすがる私は、請るような顔で彼を見つめる。


「恋人でもあるまいブライアン様と、観劇はいたしませんよ」

「やはりアリアナには、愛の告白が足りなかったようだね。渾身の言葉に、そっけない反応だけだったから、薄々そんな気がしていたんだ」


「えっ。申し訳ありません。よく分かっていませんでした」

 まずい。

 前回会った時に、彼との会話で重要なところを根こそぎ聞き漏らしたんだ。

 だからかっ⁉

 突然「ブライアン様呼び」を命じられたのは!

 あの日。謀らずとも無言の承認をした何かに、危険がはらんでいませんようにと、願うしかない。


「聖女のようなアリアナの、勇敢なところも、真っ直ぐなところも、美し過ぎるところも、存在の全てが愛おしいから、恋人と名乗る権利を与えて欲しいと申し出たんだけど」


お読みいただきありがとうございます。

長くなり過ぎたので、一度切りました。

本日中に、もう一話をとうこうしたいなと、思っております。

★、ブックマーク登録、いいねで反応をいただき、大変嬉しいです。

引き続き、よろしくおねがいします。

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