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よろしくお願いします
ピー太に言われて身体を起こすと、彼が跳ねていく方向へと、背中を追いかけるようにいして歩いた。
不思議と身体の何処にも痛みを感じなかった。
彼の後について歩くと、山の反対側に来たようだった。
山の傾斜から見下ろすと、そこには小さな村と小さな町があった。
「おとうさん、むらのほうをみて。みたいところにしゅうちゅうすると、おおきくみえてくるよ」
村の一箇所から、何か音が聞こえるような気がしたので、そこに視線を集中してみた。
すると、その場所がどんどん近づいてきて石の上に座っている少年を見つける事ができた。少年は笛のような物を吹いている。
多分、この国の楽器なのだろうか。
風に乗って聞こえて来る音は一層大きくなり、その音色の美しさに時の経つのを忘れていましそうになる。
ふと笛の音が止んだと思ったら、少年の傍に少女が佇んでいた。
「やめないで、私、アミーの笛の音、好きだよ」
「有難う、ミュウ、でも練習はこれくらいにしとくよ」
「そう、仕方ないわ、もしかして私のせいかなぁ」
「違うよ、そろそろ家に帰っておじいさんのお手伝いをしなきゃ」
「おじいさんは元気でやってるの?」
「うん、もの凄く元気だよ」
「じゃあ今朝も町へ何か運んで行ったの?」
「そうだよ、今朝は昨日出来たばかりの中くらいの桶を10個ほどね」
「よかったじゃない! で、ムーも元気?」
「うん、おじいさん以上に元気さ」
「会いたいなぁ、またムーに会いに行ってもいい?」
「もちろんだよ、おじいさんも喜ぶよ」
「分かった、今日は近くまで来たら、笛の音が聴こえてきて。この音は絶対アミーだと思ったんだ」
「凄いよ、それ、僕の音かどうかを聞き分けられるなんて」
「そんなの当然よ!あっ、でも笛を吹いてくれないなら戻らなきゃ。アミーまたね、実は向こうに馬車、待たせたまんまなんだ。笛の音を聞きに行ってくるってね」
「うん、ミュウ、またね」
「近いうちに行くからね。お弁当持ってきてあげる。絶対だからね」
「うん、またね」
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