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宜しくお願いします。
気が付くと私は滑落していたらしいことを思い出していた。
ここがその落ちた場所だから。
「そうか、ピー太、天からの質問か」
私は、久しぶりに笑った。
私が起きあがろうとした時、全身に痛みが走った。
「結構、打撲しているようだな」
独り言を呟き、それでも骨折や捻挫がないことを確かめた。
この場所から見上げるとかなり上の方だが木々に間が空いているように見える。
山道かもしれない。
「分かってるよ、ピー太。もうだめだ、じゃなくて、どうするか、だろ。
しかし、お前も、次元の違う世界に居たりと忙しい奴だな。
今度は死後の世界から語りかけてくるんじゃないだろうな。
登ろうとした時、ストックが一本足りないのに気づくには時間は要らなかった。
片手にストックを持ち、余った方の手で何かを抱き寄せるような仕草をしてみた。
あの時、死んだ兎を抱きしめたように。
柔らかい小さな生き物を感じたような気がした。
ポケットに手を入れると、中には数十本のウサギの毛が入っていた。
「ピー太? 嘘だろ」
彼はもう一度斜面の上を見上げた。登り詰めた時、そこに道がなければビバークする手もある。
死んでも良いと登り始めた道で、下山路を探し始めている。
生きる者の本能なのか?
とにかく歩き出さないと景色は変わらない。
「この世界、幸せばかりじゃない、でも不幸ばかりでもないさ。生きてみるよ、アミー、ミユウ。そしてピー太?ムー? 幼い二人に会わせてくれたんだね、ありがとう」
歩いても、走っても、過ぎ去る景色は同じもの。
立ち止まってもいい、考えることは人生の近道。
ただ、動かなければ景色は変わらない。
最後まで読んでくださり、ありがとうございました。




