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宜しくお願いします。
短い秋は足早に過ぎ去っていく。
その日は、本格的な冬の到来を知らせるようにチラチラと初雪が降った。
アミーは笛を温めるために、しっかりと両手で包み、控室の隅で出番を待っていた。
舞台からは、微かに笛の音が聞こえてくる。
「今、演奏しているのは、あの綺麗な巻毛をした女の人だな」
アミーは思う。
「みんな綺麗な服だなぁ」
アミーは普段着をフロックコートで包んでいるだけだ。本戦会まで残った子供達は、それぞれが音楽教室に通っていたり、家庭教師に付いて習ったりしている。
年齢もまちまちで少年というよりも青年と呼べるような出演者もいる。
そして、ほとんどの奏者が、その衣装に負けないくらいの技術を持って連符を難なくこなしていたり、感情豊かに音色に強弱を付けて演奏していた。
「みんな凄いや、これじゃ入賞もできやしないよ」
そう思っているところへ、アミーの演奏の順番が回って来た。
「どうしよう、なんで僕なんかがここまで来れたんだろう」
ありがとうございました。




