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よろしくおねがいします。
忙しげな夏が過ぎて静かな秋が訪れてきた。今のおじいさんの仕事は落ち着いている。
町の木工工場の職人さん達がおじいさんの真似をして、椅子やテーブル、箪笥や戸棚などに細かい細工を施し出した。
大勢の職人さんたちで作られる木工品は量産が可能だ。
量産される分、値段も安くなる。勿論、安い方が売れる。
それでも、おじいさんの仕事が無くならないのは、おじいさんの細かい手作業を高く評価している人達がいるからだ。
そういう人達は、見た目が同じものでも、おじいさんの作った家具でないと買わない、そんな人達にアミーやおじいさんは支えられながら生きている。
そしてアミーの笛の音も少しずつ町では評判になってきている。
練習のために笛をいつも持ち歩いている。
おじいさんと家具屋さんの主人が話をしている間に店の前などで笛の練習をしている。
もう待ち時間は棒突きキャンディを口にするのではなく、笛を唇にそっと当てて息を入れるようになった。
それぞれの町から応募者が集まってくるコンテストの一次予選会、2次予選会をアミーは通過し、本戦会を残すだけになっている。
予選会場でアミーの笛を聴いた人達は、家具屋、牧場、日用品売り場の前などで笛の音が聴こえてくると、あれはアミーの笛だな、と呟く。
「もしも風の音が声になったなら、ああいう声音になるだろう」
と囁き合う声が町の中で聴かれるようになっていた。
勿論、当の本人もおじいさんも、そんな噂は知らない。
ありがとうございました。




