10
よろしくお願いします。
町からの帰りは下り坂が多い。
町は村から離れた小高い丘に集中している。
見晴らしが良く、風がよく通る場所だ。
村の若者たちの憧れであり、アミーの唯一の友達ミュウもこの町の寄宿舎からこの町の学校へ通っている。
ミュウの父はアミーたちが住んでいる村の山を所有していて、そこから伐採された材木を売っている。
アミーの父は、そこで木樵として働いていた。
数年前に作業中の事故で命を落としてしまった。
それからは母と3人で暮らしていたが、母は水汲みの帰りに馬車に轢かれて亡くなっている。
馬車の所有者は分からない。
慎ましい暮らしの中での暖かく楽しい生活であった。
町からの帰りはアミーが先頭になって荷車を引いて行く。
おじいさんは後ろから押してはいるが下り坂で荷車が走り出さないように引っ張るのが専らの仕事だ。
ムーは荷車の上。
二人は牧場の前まで来た。
「アミー、ヨーグルトも買っておいで」
家具が売れたときや、大きな仕事が入ると、その小さな牧場に寄り道し、牛乳以外のものを買い求める時がある。
「やったー、でも僕一人だけならいいよ。おじいさんもチーズを買いなよ」
「そうかい、お前がそういうなら、チーズも買ってきて貰おうか」
「じゃ、行ってくるよ。ムーをよろしくね」
「ああ、大丈夫だ」
暫くしてアミーが荷車に戻ってきた。
「おじいさん、これ荷車に乗せるね」
「ああ」
アミーは、小さな包みふたつと牛乳の入った小さなケースを乗せた。
「おじいさん?」
「なんだい」
「牧場のおじさんが、おじいさんは元気かい?って聞いてたよ」
「そうかい」
「久しぶりに会う人はみんな言うんだよ。おじいさんは元気かいって。だから僕はいつも、とっても元気だよって言うんだ」
「ああその通りさ」
今度は、アミーは荷車に向かって声を掛けた。
「ムー、今夜はご馳走だよ。チーズにヨーグルト、ちゃんと分けてあげるからね!」
ありがとうございました。




