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妹に負け名家から追放された俺は【雷神】となり高みへと昇る  作者: 雑魚宮
第二章 フィラウティアが足りないの
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儚い使い共の終宴 2

 そう、その天使はどこか気安く、俺たちに問う。


(さっきの奴とは、全く違うな)


 あくまで、こちらを対等な存在として見ているような口振り。嫌、それとも違うか。恐らく、芯の髄からの戦闘狂。今の一撃で俺たちを値踏みした彼は、対等に話すに値する存在と見做した。ただそれだけのこと。性質としては、ナインハルト先輩に近い。

 異形でもないこの天使の精神性は、むしろ異形の天使たちよりも異質なものなのかもしれない。そう、俺が推察していると、あくびを噛み殺しながら、その天使は続けた。


「まあ、誰が相手だろうが、良いんだけどよ。あんたら、あの蟲使いのお仲間だろ?なら、さっさと決めたほうが良いんじゃね」

「…!」


 ルーデンの表情が強ばる。それを見て、天使はくつくつと笑った。

 不味いな。今、この時点でスカベラは何らかの天使と相対している。前線での戦闘も出来なくはないとは言え、スカベラの本職はあくまで、補助役(サポーター)だ。あの時の様な、光速で移動する化物が相手だった場合、勝ち目は薄い。


 もう既に、戦闘が開始して、それなりの時が経っているはずだ。ここで迷っている暇はないが、誰を残すべきだ?この相手は明らかに強者。誰を残すにしろ、単独では駄目だ。複数人で当たらなければ勝ち目はない。


「悩んでる暇はないでしょ、ブロンズくん」


 そんな、俺の思考をウィルが止めた。そして、二人の名を挙げ指差した。


「アイアンくん、ルファちゃん、残ってくれる?」

「良いぜ。どうせさっきの奴のせいで、キレかけてんだ」

「少しは頭冷やしてくださいね?先走って、大怪我なんてごめんですから」


 ウィルが指差したアイアンとルファも異論はないようで、前に出た。

 先輩と同等程度の実力を持つウィルに加えて勝手知ったる二人を消化してしまうのは痛いが、そうでなければこいつは倒せないことは分かる。幸い、ウィルに足りないタフさと速度があるアイアン、ウィルとシナジーが見込めるルファだ。相性は良い。

 

「三人かよ」

「卑怯かな?」

「嫌、丁度いいハンデだろ」


 天使は笑って、俺たちを進むように促す。あくまで、楽しみを優先する気質。幸い、と思うべきだ。


「名乗りがまだだったな」


 俺たちが進んでいく中、天使が名乗りを上げる声だけが聞こえてきた。


「名もなき一般天使だ。よろしく」



「来ましたか」


 進んだ先では既に、一人の天使が俺たちを待ち受けていた。

 鋼鉄の義手義足を持った、女の天使。どこか、アルティナに似ているような、その天使は大きくため息を吐きながら、話し始めた。


「少々、あなた方に問いたいことがあります」


 剣を片手に、その天使は俺たちに聞いた。


「あなた方、あの蟲使いの仲間でしょう?蟲使い、生存者がいるとは聞いていましたが、何故このミクトにいるのか」

「…さて、俺たちも偶然出会っただけなんでね」


 そんな天使の問いに、俺は明言を避けた。どうやら、蟲使いが滅ぼされた際に敵対した情報は共有されているようだが、顔写真などの共有はされていないのだろう。幸い、と言うべきか、少なくともこちらの手は隠せてる。あの時の様に、黒雷纏(シュヴァルツ・ドーン)が有効かもしれない。


「最も、お察しの通り、その蟲使いの援軍ではある。彼女は、どこにいる?」

「答える必要はない」


 俺の問いに、彼女は冷ややかな瞳と共に答える。

 その時、大きな爆音が後方で鳴った。同時に、木々が軋み倒れる音も。


「馬鹿が…」


 その音を聞いて、天使が忌々しそうに吐き捨てた。

 恐らく戦闘音、そしてこの天使がこうも反応したのなら、それはそこにスカベラがいるという推測が立つ。


「すみません兄さん、ここは、頼みます!」


 俺同様の結論に至ったらしいルーデンがそう言い残して、白雷纏(ヴァイス・ドーン)を起動し、その音が聞こえる方に奔っていった。


「…はぁ」


 天使は進むルーデンをただ見送って、ため息を吐くに留めた。


「追わなくて良いのか?」

「…ええ、別に、構いません。馬鹿どもに愛想は付きましたがね。だって、そもそも」


 そこで天使は言葉を切り、俺たちに剣を向けた。


「所詮、乱入者程度、いざとなれば私一人で足りますから」



「―やはり、雑魚だったか」


 笑いもせずに、侮蔑したように言う、サタナエル。スカベラは、彼女に傷ひとつ与えられず、地に叩きつけられていた。


 この結果には、理由がある。そもそも、現時点で使える蟲の数自体が少なすぎた。女王蟻ともう一つの切り札が使えない以上、剣蟲、盾蟲、飛行用の大型の蝶の三つで、尚且つその内の一つを初手で失ったのでは戦い様がない。


「死ね」


 何か、闘気の様な見えない何かが纏った拳で、サタナエルはスカベラにとどめを刺そうとした。

 が、その拳を受け止める、剣があった。


「…貴様、何者だよ」

「名乗る必要はありませんが、お答えしましょう。私はルーデン・アドヴァルト」


 困惑するサタナエルを、ただ静かに、凍るような瞳で睨みつけながら、ルーデンは名乗り、言った。


「貴方のような矮小な弱者を、殺す者ですよ」

明日から2週間くらい入院するのでお休みしますね。

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