第一話
世界中にダンジョンが現れて1000年、人々を恐怖に陥れたダンジョンは今や冒険者たちの金鉱山である。
冒険者、それは小学生がなりたい職業第一位、世界番付の上位を占め、また低所得者数もトップの職業である。
冒険者学園、15歳になり自身の属性を得た少年少女の能力向上を主な目的とする学校である。
ここにも冒険者を目指し、冒険者学園へと入学する1人の少年がいた。
「柊、まわりがすごくて落ち込んだらいつでも帰ってきていいからね」
「なんで俺が落ちこぼれる前提なんだよ」
「それはあの三帝である長良川高校に通うからね。周りの人は優秀な人ばかりに決まってるじゃない。」
母さんは俺が落ちこぼれて黄昏れると思っているらしい。気持ちはわかる。なんだって日本最高峰の冒険者学園である三帝の1つ、長良川高等学校に入学するのだから。
-岐阜県立長良川高等学校-
そこは毎年10万人以上の15歳が受験する。書類審査も合わせて試験は合計で3つある。
1次試験はレベル審査という書類審査だ。
人類は誰しもαからζまでのレベルを持っている。その中でもβ以上の人のみがこの試験を通過する。そもそも16歳になる年の初め、1月1日に属性を得るため、3ヶ月弱でβに上がることは相当な難易度と言える。
レベルは以下のように世界から勝手に判断され、つけられる。
αは旧人類級。ダンジョンが現れる前の地球と変わらず、属性による特性が使えない人々のことを指す。
βは魔法初心者級。ダンジョンが現れ、溢れ出した魔力を体内にもち、それにより魔法を使うことができる人々のことを指す。
γは魔法中級者級。βよりも高度な魔法が使え、戦力としてはアサルトライフルを持った軍人と同等な人々のことを指す。
δは魔法上級者級。γよりも高度な魔法が使え、戦力としては軍隊1つと同等な人々のことを指す。
εは超能力者級。δよりも高度な魔法が使え、戦力としては国を相手にできる人々のことを指す。
ζは神級。物理法則に囚われず、因果さえも自由に曲げることができる人々のことを指す。しかし、まだこの領域に到達した人類は存在しない。
二次試験は筆記と実技審査である。
この学園の校訓は文武両道。ただ強いだけでなく、高いレベルの学力も求められる。そのため、ただ属性を強化してきた人はここで落ちることになる。
逆にβに上がったは良いものの冒険者として生きていける魔法でない場合や魔力操作がおぼつかない場合はこの試験により落とされる。
三次試験は面接審査。
この試験は冒険者としての資質を判断する。変にプライドが高く、威張り散らし、問題を起こすと判断された人や気がすごく弱く、冒険者に向いていないと判断された人はここで落とされる。
そしてこの3つの試験を突破した100人のみが入学を許可される。
そして俺もこの試験を突破し今日から長良川高校に入学する。
「ついに俺も冒険者への第一歩を踏み出すんだ。」