小さな村のキツネ恋
この作品は物語詩です。
僕はしがないキツネのコ
ある日 キミに恋をした
お社 お供え お団子を
おばあちゃんと持ってきた
小さなカワイイ女の子
コンコンココン コンココン
鎮守の森奥 端の果て 金色葉っぱを見つけたら
頭にのせて ひらりんくるん
人間の子、変化 大成功
里山降りて 会いに行く
偶然装い 遊びの輪
混ぜて貰って かくれんぼ
隠れた茂みが 同じ場所
すぐ横潜める あの子の吐息
くすぐったくて 胸が鳴る
コンコンココン コンココン
楽しく遊んで うっかり日暮れ
山際沈む お日様は 熟柿よりも蕩けそう
あたりを茜に染め上げた
大好きあの子が渡してくれた
手に油揚げ 橙色の 空の上には 蒼い夜
砂糖のような星粒が 降り注ぐよに輝いて
教えてもらった彼女の名前
つぶやくたびに 口の中 幸せ甘く広がった
コンコンココン コンココン
幾夜 幾日 過ぎ去りて
すっかりなじみになった頃
村に禍い 押し寄せた
官吏に追われた盗賊たちが
村に逃げ込み 村人を 脅して捕らえて潜伏中
大好きあの子も捕まった
神様 神様 鎮守の森よ
金の葉 降らせ 僕をたすけて
僕はあの子を守りたい
コンコンココン コンココン
腕いっぱいに葉を集め
いざ出陣だ、負けないぞ
物陰見ていたキツネ友だち
家族に知らせに 走り去る
コンコンココン コンココン!
オバケに妖怪 怪物と なんでもかんでも化けちゃうぞ
僕はあの子を救いたい
次々変化を繰り返し
追い出してやる 悪いヤツ
コンコンココン コンココン!!
いつの間にか 仲間たち
揃って変じて オバケ盛り
百鬼夜行は 山から続き 天にも届く大行列
たまらず悪漢 逃げ出した
コンコンココン コンココン
そうして村は 守られた
盗賊たちは村の外 官吏警察出くわして
捕らえられたと 話聞く
お祭り 宴会 祝宴で
月夜の晩に 歌響く
お社 お供え お団子に
山盛り加わる油揚げ
みんな平和で楽しく暮らす
素敵な山の 村の日々
幾日も過ぎ 心を決めた
神様 神様 鎮守の森よ
今日こそ言うんだ 僕の告白
応援してね 見守って
☆
──えっ、どうして 気づいてた?
それでおみやげ 油揚げ?
夕焼け小焼け 朱い雲
真っ赤な耳を 隠しておくれ
それで肝心もひとつの 返事のほうは どうだろう
ふたつの影が 長く伸び
僕はちょっぴり大人になった
コンコンココン コン ココン♡
お読みいただき、ありがとうございました!!
物語詩の投稿が続いております。
前作を投稿したあと、新しいご企画を知ったから!!
黒森冬炎様主催の【恋のリフレイン企画】より
・リフレイン ・恋 ・詩ジャンル
秋月 忍様主催の【アンドロメダ型企画】より
・ヒーローが囚われのヒロインを助ける ・勧善懲悪 ・ハッピーエンド
唐突に思い立ち、上記条件を盛り込んで書き上げた詩です。
楽しんでいただけましたら幸いです(*´▽`*)/
【ラフ絵いろいろ】
↑ 謎な四角は、油揚げのつもり。ラ、ラフってそんなもんです;;;
数年後、耳と尻尾が隠せるようになったらしい図。
キツネの寿命? 実は鎮守の森の神狐たちなので!(笑)
2日前に『春がくれば、いなくなる』というハピエン恋愛詩も投稿しておりますので、良かったら合わせてお楽しみください!!