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第一話:すべての始まり

 夏の暑い日差しの中、僕は顔をあげた。

「っ! はぁ……」

 照りつける太陽の光。腕で目へ届く刺すような光を遮る。ため息が出る。

 今は夏休み。僕は高校生。一年生だ。最近、部活が忙しくて、疲れてしょうがない。

「おかしいなぁ……」

 僕は、春、コンピュータ部に入った。商業高校の情報科に入ったので、それは当然の流れだと思う。運動苦手だし。でも……

「まさか夏休み中も毎日あるとは……」

 どこの商業高校もそうだと思うが、僕の高校も部活動が活発なのだ。夏休み中も、土日以外は毎日あるし、9時から3時まで、昼をはさんで部活をする。それなのにパソコンには二日に一度、触るか触らないかだ。ずっとコンピュータの仕組みや、プログラミング言語について、机に向かって授業の様に説明を受けるだけ。こんなはずじゃなかった。なんで僕はこんな部活を選んでしまったんだろう。

「……暑っ……」

 今は学校からの帰り道。照りつける太陽の下、駅まで歩いている最中だ。学校からはバスも出ているのだが、今朝あることに気がついた。……アホといわれても仕方ないかもしれない。定期の期限が過ぎていた。昨日で期限切れ。今日は月曜日。8月1日。気がつかなかった……。ということでがんばって歩いている。今朝はそのせいで遅刻してしまった。顧問にこってり叱られた。仕方ない。でも、幸いなことに、電車の定期は10月までだから、まだ大丈夫だった。

 歩く。ただひたすらに。照りつける日差しの中、汗を流しながら、重たい足を一歩、また一歩、前へ進める。そのうち小さくLOFTが見えてきた。駅の隣に立っている、その大きな商業施設にはよく、お世話になっている。中は涼しい。ダイヤの間隔は、ほんの数分だが、その数分だけでも涼んでいたい。僕はそう思って、ゆっくり走り出した。駅近くのスクランブル交差点が見えてくる。青信号だ。道路を斜めに切る。自動ドアが見えてくる。少しずつ、少しずつ近づいてくる。もう少し。開いた!

「……えっっ!」

 ――――ここはどこだろうか。目の前が真っ暗だ。背中が冷たい……。あれ?僕、横になってる?あ、目も閉じてたんだ……。ゆっくりと目をあける。

「っ!」

 照りつける太陽の光。左手で体を起こしつつも、腕で目に届く刺すような光を遮る。ちょっとだけ、気絶していたようだ。そのせいか頭が痛い。変な倒れ方をしたんだろう。その時始めて声に気がついた。

「大丈夫ですか? おーい! 大丈夫?」

 あわてて返事をした。

「あ! すみません、すみません!」

 返事というより、謝ったというべきか。多分この人がぶつかった相手だろう。……あれ? 笑われてる……。そう、笑い声が聞こえるのだ。それも、可愛らしい笑い方の。頭をあげ、その人の顔を見る。

(しょー)ちゃん、人通りの多い所で走っちゃだめだよ?」

(れい)さん!」

 ぶつかった相手は同じクラスの村瀬麗、その人だった。特に親しいわけではない。あまり話したこともないし。今「翔ちゃん」と呼ばれたけど、クラスの皆が僕をそう呼ぶから、特別な事じゃない。しかし、同じクラスの子だったとは、恥ずかしいな……。

 彼女も同じ部活をやっている。隣町に住んでいるから、同じ電車になることが多いが、彼女はいつも本を読んでいる。だから、あまり話せないでいる。友人である隼人(はやと)によると、彼女は成績優秀、運動そこそこ、容姿は上の中らしい。隼人は女好きだから、よくクラスの女子の話をしてくる。……そんなことはどうでもいいんだよ。謝んなきゃ。いや、謝ったけど、もう一度さ。

「ごめん、涼むことで頭がいっぱいで……。あ、そっちは大丈夫だった?」

 彼女は、また可愛らしく笑う。

「そっかぁ、でも、今度からは危ないことしちゃダメだよ? それに、ぶつかったのは、私じゃなくて、大きな女の人。ところで、もう帰るところ?」

 ふと腕時計を見る。あ、あと二分で電車が来るじゃないか。帰んなきゃ。

「うん。あと二分で電車も来るし」

「じゃあ、帰り、少し話そうよ。あまり話したことないでしょ?」

 嬉しかった。……なんでかよくわからないけど、嬉しかった。

「うん。いいよ。じゃあ急ごっか」

「その前に、立とっか」

 ぼくは、座り込んだままだった。急いで立ち上がり、笑ってごまかした。よく見ると、周りからは痛い視線が降り注がれていた。

「じゃ……」

 行こうかと言おうとしたその時、救急車の音が聞こえた。

「なんだろうね」

 僕は、彼女に対して言った。その時、彼女は、思い出したように、

「あ、そういえば、さっきまで翔ちゃんのぶつかった女の人も近くにいたんだ。時計見るなり、慌ててすぐ駅行っちゃったんだけど……。その人が救急車呼んだんだった……。あはは」

 ……あはは、じゃないよ。どうするの、僕もう元気なのに。にしても、その女の人も、僕が目を覚ますまで近くにいてくれたっていいのに。救急車がすぐそこで止まる。

「意識不明の男性はどこですか!」

 ははは……どうしよう。

――――僕は、対応に追われることになった。その間も、彼女はしっかり待っていてくれた。結局、二本あとの電車で帰ることになったのだった。

この小説サイトへの初投稿作品です。

なので、温かい目で見守ってほしいです、はい。

色々ご指摘なども頂きたいと思います。

これからも、よろしくお願いいたします。

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