ホルストの組曲惑星の木星を聞きながら
「なになにー?この曲」
お風呂上がりの亜紅がリビングにきて言いました。
ぴこぴこぴん。
「グスターブ・ホルスト作曲の組曲惑星から木星の部分です」
解説君が言いました。
「大江戸捜査網のオープニングかと思った」
「あなた、年はいくつですか?」
「永遠の16才よ」
「○○はまだ16だから〜♪」
正太郎が調子っぱずれに歌いました。
「しぃー!静かに」
暁が両親をたしなめました。
「どうしたの?」
「明日、杏ちゃんと博物館主催の天文学教室に行くらしいんだ」
亜紅と正太郎はこそこそ話しました。
「……本来、恒星は2つあって、二重連星となり、ぐるぐるお互いを回ります。そして惑星はその周囲を回り、惑星の周りを衛星がまわっているのです。太陽系は、なんらかの原因で恒星の一つが冷えてしまい、木星になりました。そのため、木星は惑星の一つに数えられますが、その大気成分はガスの分厚い層でできています」
解説君が流暢に解説します。
「それから?まだ音楽は続いているよ」
暁がせかしました。
「木星の大赤斑は高気圧の部分だと言われていますが、一時期に比べ、大きさが縮小してきています」
解説君のアンテナがくるくる回ります。
「不思議ねぇ」
亜紅がため息をつきました。
翌日。意気揚々と出かけた暁は、しょんぼりして帰ってきました。
「どうしたの?」
「杏ちゃんのほうが詳しかったらしい」
「ありゃりゃ」
「まぁ、付け焼き刃の知識じゃ、専門家にはかなわんからなぁ」
「私が至らないばかりに……」
解説君もしょんぼりして言いました。
「そんなことないさ。情報はいくらでもあって、その中から選択するのは至難の業だからね。それより新しいことを楽しもう」
望遠鏡を2階のテラスに出して暁を呼びましたが、拗ねているのか、なかなかやって来ません。亜紅と正太郎は降り注ぎそうな星空にうっとりしていました。
「あなた」
「なんだい?亜紅ちゃん」
「星の数ほど人がいるのに、私達はなぜ出会ったの?」
「永遠の謎だね!」
正太郎が亜紅の肩を抱くと、真後ろで咳払いがしました。暁です。両親は一人息子を間に挟んではしゃいでいました。
「1+1が2とは限らないとはこのことかな?」
解説君は正太郎たちを見て考えていました。




