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アセシックスル.2

やがて私たちはアセシックスルの中心地、サウスシックルに辿り着いた。ここはかつて、黒龍退治の基地として機能していた場所らしい。現在は、その基地はエセブンディアの隅にあるらしい。それだけ、黒龍を追い詰めたと言う事なんだろう。多分。

「じゃあ、アリサ。俺はここで一旦お別れだ」

「うん、ルディ、ありがとう!」

「おう、何かあったら声をかけろよ。お前の依頼とか護衛は最優先にしといてやるぜ」

「頼りにしてる!」

そう言ってルディはギルドの奥に向かった。依頼を探すのだろう。私は部屋を押さえてから、依頼を見に行った。いくつか収集系の依頼を受けて、アイテムを回収したり魔物退治をしてきた。アイテムはさておき、魔物はそこそこ苦労はした。だが、もうレベルも40を超え、使えないスキルや魔法の方が圧倒的に少なくなった。その為、高度な魔法を使って一気に弱体化して武器でとどめをさすスタイルで、魔物も退治した。少しじっくりレベル上げをしたおかげで、今やレベルは45まで上がっていた。

LV 45

HP 2630

MP 316

攻撃力 393

防御力 354

魔法攻撃力 398

魔法防御力 438

うんうん、強くなったなあ…最初の頃なんてHPなんて2桁だったんだよね、それが2600なんて。ステータス見るのが楽しい。

そうして、周辺の敵に対して問題なく倒せるようになったので、少し情報を集めてみることにした。例の、魂の分割について。

とりあえず、まずは街の本屋で児童書を購入した。借りても良かったのだが、どうせならと思って買ってみた。話としては、ルディに聞いた話がほとんど全部みたいな感じだった。魔法で魂を2つに割って若く生きようとしたら、割った方に恨みを買ってしまった話に、割った魂が1つに戻ろうとしたら気絶してしまった話、逆に戻るのを拒んだ魂が居て、その後生き別れてた双子を名乗って生きていくことにした話などがあった。

特に最後の話が、アリサと有紗を分けるヒントになるのだろう。

4歳と25歳では双子を名乗るどころか、親子だろう。しかし「アリサ」にはお父さんが居るし、お母さんだって…亡くなったけれど存在している。そうすると「有紗」が現れたとしたら、アリサとどういう関係になるんだろう…?現在だって見た目は「アリサ」なのに中身は「有紗」なのだ。どうしたものか。

街をうろうろしていると、何やら「資料記念館」なるものに出くわした。入口の案内文を読むと、そこは、かつて黒龍と戦っていた際の資料を展示する資料の記念館らしい。ここに魂の分割に関する資料があるとも思えないが、とりあえず立ち寄ってみよう。黒龍…アールヴァルについて、何か分かるかもしれない。

そうして入館料を支払い、中を見て回る。黒龍と戦った記録が色々あるが、基本的に黒龍を倒した過去は無いっぽい。何とか退けただけで終わっているようだ。

だが、かつて、金髪の王子の双子の兄にあたる人を「当代のアールヴァル」と言っていたとの事。肉体が古くなるとその肉体を捨てて、条件に合った身体に乗り換え…または転生しているの…かな?倒されると転生して、倒されなくても寿命が来たら転生して。竜の寿命がどれくらいか分からないけれども、人と同じくらいなんだろうか。そう言えば、黄金の竜、アールヴァルの兄弟であるヴァティルは、今はどうしているんだろう。転生しているのか、それとも最初の寿命が尽きた際にそのまま天に召されたんだろうか。守護竜ヴァティル…ここまで冒険してきて、全く話を聞かないなあ。

場内を見て回っていると、警備員らしき人が立つ区間があった。「関係者立ち入り禁止」ってところだろうか。警備員の前を通りかかったら、声をかけられた。

「このような幼い子が見ているとは珍しい」

「え、そうですか?」

こういうところって、前世ではだいたい遠足とかで一度は来る場所な気がするが。

「まあ、子供が来るような場所ではないからな。戦いの記録を子供に見せるのはな…」

「…分かるような」

「分かるのに何だってこんな所に来るかね」

「あー…私、冒険者なんですよ」

「こんな幼子が?嘘だろう」

「嘘じゃありませんよ、ほらっ」

胸元から冒険者カードが込められたペンダントを取り出し、そこからカードを取り出して見せた。しかし警備員の視線はカードには行かず、ペンダントを凝視していた。

「そのペンダントは…何故、こんな子供が…」

「知ってるんですか?このペンダント」

「ああ…いえ、はい」

「?」

「そのペンダントは、王が直々に、功績のあった冒険者に渡すものと言われています。私もそれは書物の絵でしか見た事がありませんでした。まさか、本当に実在していたなどと…」

「警備員さん?話し方が…」

「そんな、王が直々に認められた方に砕けた口調でなど、話せません!」

「別にいいのに…子供なんだし」

「いえ、それでも!」

そうして急に態度を改められてしまって困ったが、この「関係者立ち入り禁止」の区間には研究室があり、一般の人が近付くことの出来ない書物などがあるのだそうだ。しかし、このペンダントを持つ者は、必要とあらば、その書物を見ることを、このペンダントにかけて閲覧が出来るのだそうだ。何か、今より詳しい事が分かるかもしれない。

「書物、見てみたいです」

「案内します」

警備員に連れられて、研究室へと案内された。そしてそこには、一人の男性が立っていた。

「おやぁ、小さいお客さんだぁ」

何だか間延びする話し方をするその人は、ここの研究所の所長なのだそうだ。


「で、小さいお客さんが、なんだってこんな所にぃ?」

見た目は線が細く、髪が長く、片側に流している。ゆったりしたローブを纏い、垂れた目がこちらを見ている。浮世離れしている感じがするな。

「所長。この方は王のペンダントを持っております」

「王のぉ?こんな子が本当にぃ?」

「…冒険者殿、あのペンダントを見せてあげてください」

私は黙って、ペンダントを取り出した。

「うわあ、本物だぁ。本物中の本物じゃん!」

しゃがみこみ、指でツンツンとペンダントをつつく。

「これってさぁ、たーくさんあるレプリカの中で、たった1つの本物なんだよねぇ。本来は、功績を挙げた冒険者に王様が『王様が認めた冒険者だよ』って、ご褒美に渡すのって、いくつか精巧に作られたレプリカなんだけどなぁ…」

じーっとペンダントを見られる。なんだか居たたまれない。

「そんな本物を、なーんで君がぁ?」

「…えっと、王子様が言うには…レプリカに輝きが劣るから間違えたんじゃないかって…」

「王様、ずーいぶんと、おトボケなんだねぇ…」

呆れかえった表情をしていたが、するりと立ち上がった。

「で?小さい冒険者さん~?何か知りたい事があって、ここに来たんでしょぉ?」

ゆったりと笑う所長さん。不思議極まりない雰囲気だ。どこからどう見ても大人だが、喋り方が子供っぽいと言うか…。

「ええと、はい…その…」

ちらりと警備員さんを見る。何となく、大勢に知られたくなかった。

「ん。君ぃ、持ち場に戻ってねぇ~」

バイバイ、と警備員に手を振る。

「はい、何かあったらお申し付けを」

そう言って警備員さんは去って行った。

「で、何を知りたいのぉ?」

にっこり笑って聞いてくる。言うまで逃がさない、って態度だ。別に言わないなんてつもりは無いが。

「あの…魂を分ける方法を知りたいんです」

そう言うと、所長さんの雰囲気がピリっと変わった。

「…あれを、知りたいのぉ…?」

口調は変わらないが、雰囲気が重くなった。聞いてはいけない事なんだろうか。

「はい…とは言っても、別に不老不死とか目指している訳じゃないんです」

「ふぅーん…?」

「私…の中に、2つ魂があって、それを分けたいんです」

「2つ、魂ぃ?本当にぃ?」

じいっと見られると緊張する。

「…ホントだ、何だか色の違うオーラが2つあるぅ…」

「へ」

「オーラって言うかぁ…魔力の塊って言った方がいいかなぁ…僕、そういう魔力の塊を見る事が出来るんだぁ」

「魔力の塊…」

「そうなんだよねぇ」

ふわりと笑われると、きれいな顔はしているのだ、ちょっとドキっとする。

「魂に結びついている魔力ってあってねぇ…人によって、大きさや色や、そう言った違いってあるんだけどぉ」

「…はい」

「少なくとも、どんな人でも、どんな生き物でも、魔物でも、魔力ってたとえどんなに強くて大きくても塊は1つしか持っていないんだよねぇ」

「はあ」

「でも、君にはそれが2つあるんだよねぇ。大きくて赤い魔力の塊に隠れて見えにくいんだけども、小さくて緑色の魔力の塊があるんだよねぇ」

「有紗」の後ろに追いやられてしまっている「アリサ」そのものだね。反対色なのも、何だかそれっぽい。

魔力の塊を見るスキルは、所長さんのユニークスキル「魔力視覚」と言うものなのだが、どんな存在も多かれ少なかれ持つ魔力は隠す事が自力では不可能なので、暗殺者がこっそり隠れているのを見つけたり、魔物を発見したりするのに有用なのだとか。なので、かつては王の護衛として傍に仕えたり、戦場に出ていた事もあったらしい。だが相手を発見出来ても、それに対処するほどの戦力が無かったために、発見した暗殺者に逆に襲われ怪我をして、王の側仕えが出来なくなったらしい。

「で、まあ、今はこうして学者してる訳。元々、学者志望だったんだよぉ」

「はあ…」

「で、そうそう。魂の分割についての本かなぁ?」

「はい」

やっと本題に入れたとほっとした。

「ん~、あるにはあるんだけどぉ…」

そう言うと、本を1冊取り出した。見た感じ、鍵がかかっているようだ。昔、ちょっと憧れた鍵付きの日記帳を連想する見た目をしている。

「これなんだよぉ。実は、禁書扱いになっているんだよねぇ。本当は王様しか読めないんだよねぇ…本当はねぇ」

「?」

「実はねぇ、これの鍵ってぇ」

そう言うとしゃがみ込み、私の胸元を指差す。

「これっ」

「これ?」

王様にもらったペンダント?

「レプリカでは開かないくらいの完全な禁書扱いなのにぃ…王様、もう~…」

ブツブツ言いだした所長さんをどうしようかと見ていたが、とりあえず、鍵穴にペンダントを差し込んでみた。

「ん?ああっ」

「え?」

ブツブツ言ってた所長さんは驚いていた。私が勝手に鍵を開けるなんて思っていなかったのだろう。

「あああ~…コレって開けるのに魔力300くらい吸い取るんだよぉ…魔力持ってなかったら生命力から吸い取っちゃうから、ものすごく注意必要なのにぃ…」

「魔力…つまりMP300?」

「そうそう」

レベル45にしておいて良かった…そうでなければ生命力、つまりHP吸われてた。吸われたところで0にならなければ休めばそのうち回復するが、急激な減少は喪失感を感じる。実際にMPの残りが16なので、ひどく精神的に消耗している気がする。

「MP300あったんだねぇ。そんな人、この国にそう何人も居ないのになぁ」

「あはは…」

鍵の開いてしまった本は、なかなか豪華な装丁をしている。表紙は飾りだけでタイトルも何も無い。そっと本を開いてみると、表紙にただ一言、「魂の分割」と書いてあった。

「ちょっと読むには厚いから、骨が折れるかも」

椅子と机を借りて、その本を読むことにした。

最初の設定では所長さん、普通の人だったのに第一声のせいでこんな間延びした喋り方に…。

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