プロローグ
RPGっぽいお話しです。恋愛もちょっぴり絡めてみたり。…4歳ですけど。(あくまでも見た目だけです、中身は違います)
私は今、王の目の前に立っていた。
「アリサ・カワギシ…そなたのおかげで、長きにわたる我らの悲願が達成された」
威厳のある声で王は告げる。
私は川岸有紗。RPGの世界に転生した、25歳の元OL。やりこんだゲームの世界に転生したのは嬉しいが、大変な毎日だったな。
「……」
そんな私の横に、私のスカートの裾をぎゅっと握りながら立つ少女…いや、幼女といった方が良いだろう、私の胸より低い身長の少女は、ぷるぷる震えている。
「そして、アリサ・カワギシの依代となった、アリサよ」
「!」
王に声をかけられて、ぴゃっと私の後ろに隠れてしまった少女アリサ。彼女は私の依代だった。私は彼女の身体の中に転生したのだ。それに気付いたのはまだ彼女、アリサが4歳になった頃の話。あるきっかけで、私はアリサの中で目覚めた。いや、気付いたらアリサを乗っ取っていた。
そんな私を会場の末席で見ているのは、優しい笑顔を浮かべる細身の男性。王のそばに立つのはアリサを優しく見つめる男性だ。私とアリサに深く関わるこの二人の向こうに、金の髪をなびかせて立つ青年の姿も見えた。
この世界に私を導いた、その金の髪の青年の表情は、むくれていた。
『相変わらずね』
心の中でそっと微笑み、私はアリサと共に王に向き合った。
そう。
これは「有紗」と「アリサ」の物語。
RPGの世界に転生した、ただのゲームをやりこんでいたはずの私、有紗と、この世界に産まれた少女アリサとの