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伝説の戦士キングガン  作者: 安息の地
4/4

後編(2/2)

「お……お前は! キングガン!?」


 体勢を立て直したパピヨンノワールが、自分を攻撃した相手を見てうろたえた。

 両手に金の剣と銀の剣を持ったブロンズの戦士がそこにいた。


「キングガンだって!?」


 宇宙昆虫の言葉を聞いたキングウォーターガンたちも驚いた。


「キングガンだって? こいつがあのおっちゃんか?」

「いや、別人のようだ」


 レールガンが見抜いたとおり、キングガンと呼ばれたブロンズの戦士は、キングガンと名乗ったあの巨人ではなかった。


「では、お前もキングガンに選ばれたのか?」

「いや、私がキングガンだ」


 ウイングガンの問いかけに、ブロンズの戦士は初めて言葉を発した。


「じゃああのおっちゃんは誰だったんだ?」

「彼は間違いなくキングガンだった」

「話が見えんな」


 キングウォーターガンの問いかけにもブロンズの戦士は答えたが、ウイングガンでも話を理解することができなかった。


「そこまでだー!」

「まっ待てパピヨンブラック!」


 その時、パピヨンブラックがパピヨンシュバルツの静止も聞かず攻撃を仕掛けようとしてきた。


「フレイムブリザード!」


 ブロンズの戦士は、金の剣から炎、銀の剣から冷気を放った。


「ぎゃあああ!」

「パピヨンブラックー!」

「おのれキングガンめ!」


 一撃でパピヨンブラックが倒された。


「あの強いやつを一撃で……」

「キングガンとは剣の名だ。そして、その剣を振るう伝説の戦士の名でもある」

「3本の剣に選ばれし5人の戦士が剣を手にしたとき、伝説の戦士キングガンとなる」


 一撃でパピヨンブラックを倒したキングガンから声が聞こえた。それは、先ほどのブロンズの戦士とは違う2つの声だった。


「誰だ? 今しゃべったのもお前か?」

「キングガンとは3本の剣のことだったんですね」

「そしてその剣を持つ者を伝説の戦士キングガンというのか」

「でもよ、あいつが持ってるのは2本だぜ。剣ってのは3本あるんだろ?」


 ドリルガンたちがようやく話を理解しはじめているとき、ブロンズの戦士は、パピヨンシュバルツとパピヨンノワールに挟み撃ちにされそうになっていた。


「俺たちだけじゃきついぜ、カッパー!」

「わかっている。ここは頼むぞ、ゴールド! シルバー!」


 ブロンズの戦士カッパーが金の剣と銀の剣を手放すと、金の剣と銀の剣は変形してサイズも巨大化し、カッパーと同じ形の金の戦士と銀の戦士になった。


「エーッ! 剣が人型に!」


 ドリルガンが驚く。


「よくもパピヨンブラックを!」

「貴様らだけならば俺たちでも!」


 パピヨンシュバルツとパピヨンノワールが、ゴールドとシルバーに襲い掛かる。力はほぼ互角だ。


「キングウォーターガン! 私を使え!」


 カッパーはブロンズの剣に変形し、キングウォーターガンが持てるサイズに縮んだ。


「人型から剣になった! そうか、3本目はお前だったのか! キングガン・カッパー!」


 キングウォーターガンがキングガン・カッパーを装備した。先ほどは手も足も出なかったパピヨンシュバルツとパピヨンノワール相手に、2対1でも渡り合えている。その実力はゴールドやシルバー以上のものになっていた。


 「ストームサンダー!」


 キングウォーターガンは、キングガン・カッパーから電撃をまとった竜巻を放った。


「ぎゃあああ!」

「パピヨンシュバルツー! よくも、ブラックだけでなくシュバルツまでもー!」


 パピヨンシュバルツを倒され激昂するパピヨンノワール。


「ゆるせん! ゆるせーん!」


 パピヨンシュバルツは、体内から次々に宇宙昆虫の群れを産み出していった。最初に攻めてきた宇宙昆虫軍団はすでにほとんど殲滅していたが、それ以上の数が産み出されている。


「あいつだったんだ! あいつが虫たちを産み出していたんですよ!」

「おい、まずいぞ! シルバー!」

「わかっている。ゴールド。さあ、俺を使え!」


 シルバーがレールガンのもとへ移動し、剣に変形した。


「てやっ! ふんっ!」


 レールガンはキングガン・シルバーを手にした。レールガンが振るうには、キングガン・シルバーは大きく、うまく扱いきれていない。それでも剣の力はかなりのもので、宇宙昆虫を切り裂いていく。


「お前たちも早く俺を使え!」

「よし、俺が!」

「貴様では話にならん! 俺が使う!」

「なんだと! 離しやがれ!」


 キングガン・ゴールドをどちらが使うかでもめるドリルガンとウイングガン。


「2人ともやめてください!」


 ダッシュガンが必死でウイングガンとドリルガンをなだめる。


「お前ら、何やってるんだこんな時に!」


 キングウォーターガンも見かねて声をかける。


「そうですよ! 剣はあと1本しかないんですから!」


 ウイングガン、ダッシュガン、ドリルガンの3人でもみ合いになる。


「剣は1本しかない……そうか!」

「察しがいいな。お前を選んだのは正解だったようだ」

「俺は狼牙。そして今の俺はレールガン」

「俺はキングガン・シルバー。シルバーと呼んでくれ」


 レールガンは、ダッシュガンのふとした言葉からキングガンの使い方を理解した。キングガン・シルバーはその判断力に感心し、レールガンとお互いを認め合った。


「ならば、修行の成果を見せるときだ! 変化!」


 レールガンは、レールガンライナーに変形した。以前と違うのは、先頭車両だけでなく、同型の後部車両を連結した2両編成の忍者特急であるという点だ。2両編成のレールガンライナーは、2両分の推進力と火力をもって、宇宙昆虫を砲撃していく。


「霞流・分身の術!」


 レールガンライナーは再び人型のレールガンに変形した。先頭車両がレールガンに変形し、同型の後部車両もまた、レールガンと同型の分身であるレールガンシャドーに変形した。


「レール剣!」

「レール鎖鎌!」


 2体に分身したレールガンは、忍者の身のこなしで宇宙昆虫を駆逐していく。レールガンはレール剣の二刀流。レールガンシャドーは鎖鎌だ。


「キング合体!」


 レールガンが右半身、レールガンシャドーが左半身を構成してキング合体した。


「キングレールガン!」


 両肩に忍者特急の先頭部分がついた、キングレールガンの誕生である。


「とうっ! ていっ! レール手裏剣!」


 巨大な体になったにもかかわらず、合体前と変わらない素早い身のこなしで宇宙昆虫を駆逐していく。レール剣の二刀流、レール鎖鎌。さらに手裏剣を投げつける。


「行くぞシルバー!」

「待っていたぞ! さあ、俺を使え!」

「キングガン・シルバー!」


 キングレールガンになったことにより、木刀を振るように軽々とキングガン・シルバーを振るうことができるようになった。


「お前らも早く合体して俺を使え!」

「なにい? 合体だって?」

「俺たちにそんなことができるのか」

「やってみましょう!」


 しびれをきらしたゴールドが、ドリルガン、ウイングガン、ダッシュガンに3体で合体するよう促した。


「キング合体!」


 ウイングガン、ダッシュガン、ドリルガンの3体は、手を重ねて同時に叫んだ。そして頭上方向に飛行しながら変形合体を開始した。


「キングマシンガン!」


 キングガン・ゴールドを振るう戦士は、ウイングガン、ダッシュガン、ドリルガンの3体が合体することで誕生するキングマシンガンであった。


「これがキング合体か」

「カーク、ガンマ、2人とも、いますか?」

「俺もちゃんといるぞ」


 合体してもカーク、クマード、ガンマの意識がそのまま残っているようだ。


「3人の力を合わせるぞ!」

「はい!」

「おう!」

「キングランサー!」


 カークの合図で、ウイングガンの槍、ダッシュガンの剣、ドリルガンの斧を合体させたキングランサーを投げた。キングランサーが宇宙昆虫を貫く。キングランサーの軌道はキングマシンガンにコントロールされてカーブを描き、次々と宇宙昆虫を貫いていった。


「そろそろ俺を使ってくれ!」

「よし、頼むぞ。キングガン・ゴールド!」


 ついに、キングガンを手にする3人目の戦士が誕生した。


「こうなったら、この我が自ら相手をしてやろう」


 宇宙昆虫を産み出し続けていたパピヨンノワールであったが、声が変わり、地獄の底から聞こえてくるような声が響いた。

 パピヨンノワールは、宇宙昆虫たちを吸収しながら、その姿を変えていった。さらには、パピヨンシュバルツ、パピヨンブラックの残骸をも吸収し、まったく別のものへと姿形を変えていった。


「お前たちを滅ぼし、この宇宙も滅ぼす」


 パピヨンノワールであったそれは、衛星サイズにまで巨大化していた。


「とうとうあいつが出てきちまったか」

「やつはデビルパピヨン。宇宙昆虫の根源。宇宙の悪魔だ」


 ゴールドとシルバーが巨大な悪魔の正体を語った。

 デビルパピヨンは、禍々しい蝶のような姿をしていた。


「いかん! 離れろ、キングウォーターガン!」


 カッパーが警告したその瞬間、デビルパピヨンから無数の触手が伸びた。


「さっきはよくもやってくれたな」

「貴様らはこれで終わりだ」

「たとえキングガンであろうと、デビルパピヨン様の一部になった我々にかなうものか」


 触手から、聞き覚えのある声がした。


「この声は! さっきのパピヨンなんとかってやつらか!」

「パピヨンノワールとパピヨンシュバルツとパピヨンブラックですよ!」

「気をつけろ! あの触手の1本1本がさっきのやつらと同じ力を秘めているぞ!」


 キングウォーターガン、キングマシンガン、キングレールガンが、それぞれのキングガンを手に身構える。

 キングレールガンの見抜いたとおり、デピルパピヨンの触手は1本1本が強力な宇宙昆虫、すなわちパピヨンノワールやパピヨンシュバルツやパピヨンブラックそのものであり、強大なパワーをもっていた。そんな触手が3本だけでなく無数に生えているのだ。


「ひるむな! 今のお前たちなら、負けはしない!」


 カッパーの鼓舞を受けて、キングガンの戦士たちは叫び声を上げて突撃した。キングガンでデビルパピヨンの触手をすべて切り裂いていく。


「お前たちがキングガンだ!」


 カッパーが声高に叫ぶ。

 キングガンによって伝説の戦士キングガンとして認められたキングウォーターガン、キングマシンガン、キングレールガンが、デビルパピヨンに最後の一撃を放つ。


「ストームサンダー!」

「フレイムサンダー!」

「ブリザードサンダー!」


 キングガン・カッパーから電撃をまとった竜巻、キングガン・ゴールドから電撃をまとった炎、キングガン・シルバーから電撃をまとった冷気が放たれた。3つの攻撃がデビルパピヨンに命中した。


「我の肉体が……滅びる……我が……滅びる……」


 宇宙の悪魔デビルパピヨンは消滅した。


―3本の剣に選ばれし5人の戦士が剣を手にしたとき、伝説の戦士キングガンとなる―

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