後編(1/2)
惑星コダイ上空の宇宙空間を航行するキングクーボー。
「水出しコーヒー作ったのによお。あのおっちゃん現れねえな~いつまでも」
エイプの言うおっちゃんとは、キングガンと名乗った巨人である。
「我々にもエイプのような力があるのかもしれない」
最初の戦いで、ウォーターガンに変身したエイプは、キングクーボーを呼び出し、合体してキングウォーターガンとなった。
キングクーボーの中には、司令室があり、エイプ、カーク、狼牙、ガンマ、クマードの5人が集まっていた。
キングガンと名乗ったあの巨人は、エイプたちの前に1度だけ姿を現したきりであった。エイプやカークたちは、自分たちの力のことも、自分たちのするべきこともわからずにいた。
「今の俺では力を引き出すことはできない。何かあるはずだ」
狼牙は皆の話し合いを聞きながらも特訓に精を出していた。レールガンに変身したときのように、二刀流で木刀を振る。カークの言うように、自分にもさらなる力があるはずだが、きっかけがつかめない。狼牙は木刀を2本から1本に持ち替え、さらに激しく剣を振る。
「キングガンの言っていた、宇宙を蝕む悪というのは、あの虫たちのことで間違いなさそうです」
「なあクマード。お前の難しい本にもキングガンについて書いてないのか?」
「だめです。ボクの難しい本にもキングガンのことは書かれていませんでした」
「お前の知識でも無理ならお手上げじゃねえか」
クマードでもキングガンについては調べられず、ガンマが残念そうな声を出した。
「とにかく、水筒たちが安心して飲み物を汲めるように、俺たちがやらなきゃならねえってことは確かみたいだな」
「そうだな。それに、水出しコーヒーを飲むためにもこの惑星コダイの平和を守らないとな」
エイプに声をかけられたガンマが、水筒の蓋を外して置いた。
「ガンマ貴様!また水筒の蓋の内側を下にして置いたな!ハレンチな!」
カークが怒鳴ったそのとき、キングクーボーが大きく揺れた。
「キングガンに選ばれた戦士か」
「キングガンになられてはまずい」
「面倒なことになる前につぶしておこう」
宇宙昆虫の群れが、外からキングクーボーに攻撃を加えていた。その中でもサイズの大きな3体の宇宙昆虫が言葉を話していた。
「なんだ!」
「地震か?」
「ここは宇宙空間ですよ!」
「外から攻撃されたんだ!」
「あの虫たちめ!」
5人はマイクロブレスを構える。
「トライガン!」
変身と同時に、キングクーボーの外の宇宙空間に転送された。
「ウォーターガン!」
「ウイングガン!」
「ダッシュガン!」
「ドリルガン!」
「レールガン!」
宇宙空間で、5人の戦士たちと宇宙昆虫の戦闘が開始された。
「たいしたことないやつらだな」
「かまわねえ。おれたちでやっつけにいこうぜー!」
「チェーンジ!」
3体の宇宙昆虫が人の姿に変形した。
「パピヨンノワール!」
「パピヨンシュバルツ!」
「パピヨンブラック!」
人型に変形したパピヨンノワールたちは、圧倒的な力で5人を蹴散らしていく。
「エーッ! 昆虫が人型に!?」
「虫たちのなかにも言葉を話すやつらがいるのか」
パピヨンノワールたちは、ドリルガンやウイングガンたちよりもサイズが大きい。まともな勝負にはならなかった。
「よし、それなら! キング合体! キングウォーターガン!」
キングウォーターガンになったことによって、パピヨンノワールたちと同サイズになった。だが、キング合体しても3対1ではかなわなかった。もともとの力の差もあり、たとえ1体ずつでも相手にはならないのだ。
「うわっ! キングウォーターガンに合体してもかなわないなんて」
パピヨンノワールがキングウォーターガンに重い一撃をくわえようとしたとき、何処からか攻撃が飛んできて、パピヨンノワールは大きく怯んだ。
体勢を立て直したパピヨンノワールが、自分を攻撃した相手を見てうろたえた。
「誰だ!? お……お前は! キングガン!?」