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アストロマン

作者: 伊藤康弘

 満員電車の中で車内にあるモニターを見ている制服姿の高校生、真奈美。

 モニターでは巨大ヒーローが怪獣を倒している。

 映像が終わり、女子アナが言う。

「こうして昨日も地球はアストロマンに守られました」

 真奈美が小さくつぶやく。

「…崇史くん頑張ってるな」

 背後で男の悲鳴。

 振り返る真奈美。

 股間を押さえて倒れこむ中年男。

 見下ろしている女子高生が乗客たちに言う。

「通報して、痴漢よ」


 高校前。

 軽やかに走ってくる崇史。

 同級生たちから声がかかる。

「崇史、おはよう!昨日もありがとう!」

 にこやかに応えていく崇史。

 それを見つめている真奈美。

 崇史の前に立ちふさがる不良生徒数名。

 不穏な雰囲気。

 不良生徒が言う。

「てめえ強いんだってな」

「…」

 更に挑発する不良生徒。

「オレとタイマンしようぜ」

 無言のまま相手を見つめている崇史。背後から警棒で殴られ倒れる。

「なんだよ弱ぇーじゃん」

 頭を抱えている崇史。

 容赦なく蹴りを入れる不良生徒たち。

「怪獣相手じゃないと戦えないってか」

 そこに生徒の叫び声。

「怪獣が出たぞ!」

 皆が振り返る。

 一人の生徒の皮膚が破れ巨大化していく。

 慌てる不良たち。

「…おい、やべえぞ」

 崇史に向かい言う。

「起きろよ!」

 崇史、立ち上がろうとするが再び倒れこむ。

「やべえ!やべえぞ!」

 逃げ出す不良生徒たち。

 巨大な怪獣に変化した生徒。

 逃げ出している生徒たちに向かい咆哮をあげる。

 その足元にいる真奈美。

 倒れたままの崇史と怪獣を見ながら、

「…どうしよう…どうしよう」

 ふと、怪獣の股間から地面に垂れ下がっている小さな赤い玉に気づく。

 吼える怪獣。

 ピクピクと震える赤い玉。

 真奈美、赤い玉をめがけて思いっきり足を振り上げる。


 倒れている怪獣

 その前に立っている崇史と真奈美。

 崇史が言う。

「ありがとう、助かったよ」

 照れ笑いする真奈美。

「オレ…」

 崇史の言葉をさえぎり真奈美が言う。

「崇史くんでしょ。そしてアストロマン!」

 微笑む崇史。

 少し間を置き真奈美が言う。

「…友だちに、なってくれる?」

 崇史、手を差し出して、

「よろしく」

 真奈美も手を伸ばしながら、

「わたし、真奈美です!3年2組の高梨真奈美!」

 握手する二人。

 崇史、倒れている巨大な怪獣を見て、

「しかし、どうやってコレ倒したの?」

 真奈美、照れながら、

「それは聞かないで!」


<おわり>

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