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第6話【謎解きの後は】

「はー。それにしても奥さん、すごい喜んでましたね。料理も美味しかったですし。満足です」

「俺も楽しかったよ。やっぱり謎解きは目の前で見るに限るな。殺人がどうだとか本を読むのも面白いは面白いが」


「楽しいのはいいですが、そろそろ冬のボーナスですからね。査定が下がるのであまり連れ回さないでください」

「おいおい。ボーナスを最終的に決めるのは誰だと思っているんだ?」


 ん? そういえば、決裁権持つのは最終的に社長と会長ですね……これは! まさか!?


「会長! これまでいっぱい一緒に謎解きしてきましたよね!? そこら辺をいーっぱい加味していただければ!」

「ん? そんな馬鹿な話があるわけないだろう。これは君の本来の仕事じゃないんだから」


 え? やっぱりこれって加算されないんですね? というか、本来の仕事ほとんどやれてませんよ? やばくないですか?


「会長! やっぱり今後いっさいのお供は御遠慮させていただきます!!」

「分かってないなぁ。君は。だからずっと主任なんだよ」


 ええ!? どういうことですか。全く分かりません!


「ひとまず部長の金崎(かねさき)くんに良く言っておくから」

「え? あ、ありがとうございます。絶対ですよ?」


「疑り深いなぁ。君は。まぁ、せいぜい俺が死ぬまでの辛抱だ。それまで頑張って楽しませてくれ」

「縁起でもないこと言わないでください。というか、死ぬまでの会長続けるつもりなんですね……」


「あ、着きました。会長の家に。お疲れ様でした。私は会社に車返したら帰りますね」

「おう! お疲れさん。また何かあったら頼むよ」


 私は車から出て頭を下げてお見送りします。腐っても我社の会長ですからね。

 しかし……非常にまずいですよ。この会長のお遊びが査定に全くいい影響ないどころか悪影響になりそうです。

 はぁ……私のボーナス、大丈夫ですかね?


「ただ今戻りました」


 声を出してオフィスに入りますが、案の定もう誰もいません。なんてったって、もう10時過ぎてますからね。最近は繁忙期(はんぼうき)でもないですし。

 社用車の鍵をロッカーにしまうと、タイムカードを切ってからスーツに着替えます。あぁ、深夜残業の申請で理由を説明しないといけませんね。酷く面倒です。

 とにかく酷く疲れたので、さっさと帰って寝ましょう。お風呂も明日の朝にシャワーでいいですね。


~次の日


「おはようございます!」


 あぶないあぶない。遅刻するところでした。やっぱりいつもギリギリなのにシャワーなんて浴びてる場合じゃなかったですね。


「あ、佐久間(さくま)さん。おはようございます。あの、社用車なんですが……」

「おはようございます伊藤(いとう)さん。あれ? 何かありました?」


「昨日どこへ行ってたんですか? 今日営業の方が使おうとして履歴みたらしいんですが、なんかえらく騒いでましたよ?」

「あ! しまった!……いえ、なんでもないです。あはははは」


 これはやってしまいました。履歴消すに忘れてました。大塚(おおつか)社長の家に言ったことバレてしまいましたね。まぁ、バレたものは仕方ありません。


「佐久間くん! ちょっといいかな?」

「あ、おはようございます。金崎部長。どうしました?」


「どうしたもこうしたもないよ! さっき営業から佐久間くんが今うちが大事な新規として頑張っている会社の社長の家なんかに行ったって電話があってね。一体何をしたんだ?」

「え、そうだったんですか? えーっと、すいません! 言えません!!」


「言えませんじゃないよ、君。営業にも内緒で行ったらしいじゃないか。何か変なことしてないかって営業はカンカンだぞ?」

「すいません。会長に聞いてくださいとしか

……失礼します!!」


 わぁ! 全然知りませんでしたよ。会長ったら人が悪いですね。教えてくれたらいいのに。

 ん? でも、今回の件で大塚社長、だいぶご機嫌でしたからね。もしかしたらいい方向に事が進むかもしれませんね。

 いや……世の中そんなに甘くないですからね。個人的な好意と、仕事の決定は別なのでしょう。会長も昨日そう言っていましたしね。

 私は自分の仕事を黙って頑張りましょう。と言っても、やることは決まってますから手を動かすだけですけれど。


 鼻歌を歌いながら作業をしていたら会長が笑顔で近付いてきました。すごく嫌な予感がしますよ?


「おはよう! 佐久間くん」

「おはようございます。会長。どうしました?」


「ん? ああ。君のおかげで大塚さんとことの契約は上手く行ったよ。まさに鶴の一声で決まったらしい」

「え!? じゃあ、つまり私のおかげで?」


「まぁ、そういう事だ。あそこは大塚さんのワンマンで知られているからね。下でごちゃごちゃするより上を射止めた方が早いんだ」

「もしかして、会長はそれが分かってて大塚社長の謎解きを私に任せたんですか?」


「そんなもんはついでの結果だよ。謎解きが先にあったに決まっているじゃないか」


 そう言うと会長は笑いながら去っていってしまいました。うーん。どっちが本当なんでしょうか? この会社が大きくなったのは会長の力によるところなのは間違いないですからね……。

 この謎は私には解けそうもないですが、ひとまずは目の前の仕事を終わらせないといけません。頑張っているところを見せて少しでもボーナスの査定を上げてもらわないといけませんからね。

完結しました

思いつきで書いた初めてのミステリー、ここまで読んでくださってありがとうございました

もし良ければ応援いただけると、次回への励みになります(*´ω`*)

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