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脇役令嬢、冷静に観察する

ブクマ、ありがとうございます。





ここは、まるで乙女ゲームの世界。


ヒロインがいて、そのお相手候補がいて。

そして、敵対するキャラクターがいる。


日本とは全然違う世界に生まれた私は、成長し、貴族の通う学園に入った。

そこで、何故かわからないが、親友が最近になってとても哀しそうにすることが多くなったと気付く。


何故か、そう考えて、動向を探っていると、親友の機嫌を一番左右する対象が目に入る。

その相手の視線の先も、自然と入る。


初めて見た少女は、美少女と言うに相応しい容貌で。

頬を染めて笑う少女に、相手の男も満更ではない様子で。


それに、泣きそうに歪む親友の顔が、私はいたくて。





初めは耐えていた親友も、数日経つと、行動を起こした。

まずは、周りを刺激しないように直接少女に接触を試みた。


(校舎裏に呼び出すというのは、逆に目立つのではないか?)


私はそう思ったが、とりあえず言わないでおいた。

親友がどうするつもりなのか、見守ることにしたのだ。


しかし、呼び出したはいいが、一向に何も行動を起こさない親友に、まさか、と胡乱気な視線を送る。

こいつ、何も考えていなかったな、と。

元来、蝶よ花よと育てられ、しかしその将来の為に日々純粋に自分を磨きあげることに余念がない親友が、こんな風に人を呼び出してどうにかする、なんてことが無謀なのだ。

無謀にも程がある。

この娘のことだから、策もなく、呼び出してみたのだろう。

話せばわかってくれるだろうと、ただ純粋にそう信じて。


(しかし、)

向かいに立つ少女は、そんな風には見えない。

私の偏見なのかもしれないけれど、どうにも純粋に怯えてるようには、見えないのだ。


だって、その瞳に映るのは、確かな敵意だ。




「こ、こんな、ことして、殿下が許すはず、ないです…っ」


震える声を絞り出すような少女に、ぴくり、と震える親友。

殿下、その言葉に、内心泣きそうなのだろう。

培ってきたポーカーフェイスをフルに出しきって耐えている様が、見えない位置にいても感じ取れて、痛々しいと思った。



(もとはといえば、あのツンデレ王子がしっかりしないから、)

内心で毒づく。


シグナゼル・ケリー・リヴァール。


この国、リヴァール国の王子。

私たちの、一年先輩である彼。

その彼こそが、この事態を引き起こしている原因であった。




…ここ最近、王子であるシグナゼルがご執心なのが、目の前でチワワ然としている少女──アティオ・ハント。


そう、噂が学園内を駆け巡った。

それに動揺しつつも、毅然とすることが義務だというかのように凛とした姿を崩さない親友。

しかし、日々憔悴していくのが見てとれる程で。


そして、

目にしてしまう。

婚約者が、その笑みを甘くして向ける姿を。

噂が、真実だったと、泣きそうに顔を歪めた──真実、その笑みを向けられるべき相手であるはずの親友の名は、ローヴェ・カティ・ファクター。

件の王子の、正統な婚約者であり、きっとこの乙女ゲームのような世界での、悪役令嬢なる人物であった。






やっと名前が出せました!


脇役だけど主人公

マティアラ・アディ・ビーミリア


泣き虫悪役令嬢

ローヴェ・カティ・ファクター


チワワヒロイン

アティオ・ハント


ツンデレ王子

シグナゼル・ケリー・リヴァール

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