脇役令嬢、現状を把握する
続けて投稿ですが、いつも短いです。すみません。
‘真知’は、マイペースで、少し冷めた性格で。
常識的な面では大丈夫だったし、頭も悪くはなかった。
ただし、甘えベタで、彼氏いない歴はイコール年齢だった。
結婚願望は然程なく、一人で生きていく人生設計までたて始めた、少し──かなり?早熟な考え方を持った女だった。
だからか、きっとあの家族に甘やかされて育ったなら我が儘な性格になったであろう私は、少しその経験や考え方のせいか、常識的かつ平凡を目指す令嬢となった。
(だから、目の前のこれは、なぁ…)
斜め前に立つ、自分と同じくらいの背丈の少女。
そして、それに向かい合うように立つのは、震えたチワワを連想させる、ピンクブロンドのふわっふわな髪に、チャコールグレーの瞳。
顔はヒロインさながらに、可愛らしい。
(私はあまり好きじゃないけど)
むしろ、私は斜め前に佇む親友のような、気が強く見られ勝ちな燃えるようなクリムゾンレッドの髪に、ダークセピアの瞳が好きだ。
実は泣き虫で健気な親友に合っている。ギャップ萌え、というやつだ。
ニヤリ、と隠れて口角を上げた私に、私とは反対側。親友の影に隠れるように立つもう一人の腐れ縁が、びくり、と震えた。
(ちっ、見られたか)
横目でちらりと見やると、分かりやすいほどに汗を流して距離をとりやがった。
(あとで裏つれてこう)
「──こ、こんなところに連れてきて、何か、用ですか…っ?」
と、少し不穏なことを考えていた私の裏発言を聞いていたかのような言葉が聞こえて、意識を戻す。
(ああ、ここ、むしろ校舎裏でしたね)
表情は変えず、内心で惚けたようなことを思う。
大体、3対1だから仕方ないかもしれないが、チワワに見せようとするそのあざとい様が、気に障る。
それが、彼女の本当の姿なのかと、つい疑ってしまう私がいた。
マティ「なぜそのように怯えるのかしら?」
腐れ縁「ひ、ひぃぃぃ!こわい!笑顔がこわいぃぃ」
マティ「…失礼ではない?」
腐れ縁「ご、ごめんなさいぃ!笑顔で追ってこないでぇぇえ 泣」
悪役令嬢「マティ?何をしているの?」
マティ「あら、何でもありませんわ。ほほほほほ」