脇役令嬢、過去を回想する
2話目。短いです。
目が覚めて、急に泣きわめいた私を、‘マティアラ’の家族は必死で宥めてくれた。
‘マティアラ’と‘真知’の間で混乱した私を、家族はずっと抱き締めてくれた。
‘マティアラ’と呼ぶなと、‘真知’の心が叫ぶ。
それを口にした娘に、両親は驚きつつ、何故か、と問うた。
それ、は私の名じゃないと、気が狂ったとしか思えないことを言う娘に、両親は辛抱強く接した。
一晩中、抱き締めてくれた。
それでも、‘真知’の心がそれを拒絶した。
次の日は、部屋に引きこもった。
そして、一人になって、悟った。
‘マティアラ’であり、‘真知’である自分。それでも今は、マティアラであること。
──真知は、もう、いないのだということ。
(ああ、それでもここに、真知はいるのに)
真知が、少しばかり成長した歳で良かったのかもしれない。
時間はかかったが、自分の中で折り合いをつけ、‘わたし’は。
マティアラになった。
その後、両親に詫びて、マティアラとして過ごすようになっても、若干の違和感は拭えなかった。
それでも、ある日、ある人物のおかげで。
それが、‘わたし’なのだと、それでいいのだと、思えるようになった。
まあ、その時の話は追々するとしよう。
(それよりも、いまは)
そろそろ、目の前で起こっている事態に目を向けようと思います。
ブクマが!えっ!?まじですか!?ありがとうございます!




