増えた
とりあえず勢いで戻ってきた俺達。が、ここに一人完全に浮いている奴がいる。
そう、さりげなく一緒についてきたランクオーバーである。
「なぜ来たし」
「見極めに来たから、じゃのぉ」
さらりと答えるこの青年。杖なんていらないだろうにわざわざ持っているところから察するに、重要なものなのだろう。
はぁ。厄介事ばかり起きて面倒になってきた。素直にそう思って息を吐くと、「コールよ、寝かせなくてもよいのかの?」とルノアが言ってきたので、仕方なくベッドに寝かしておく。正直勝手に気絶したのだから床に放置してもいいと思うのだが。
寝かし終えたので、俺はフードの中で頭を抱えながら「なんだってこうなったんだ……」と呟く。
「運命じゃなきっと」
「ルノアに目をつけられたのが運のつきだと思って諦めたらどうじゃろ」
「なんじゃとウェリテル! 主こそ雪山に引きこもっておったのにどうして来たんじゃ?」
「ふむ。きちんと説明してなかったか? お前の手紙で会議が開かれ、そこの人間の決定が保留となったから会いに来たんじゃよ。わしら以後に現れたランクオーバーになりえる存在を観察、決定をしようと思ってな」
「……ルノア」
そういってフードの中でルノアを睨んでいると、彼女は後ずさりしてから「じゃ、じゃがあれを見たらランクオーバーの誰だって納得するぞ?」と弁明した。
「あれ? そういえば先程もルノアが何か言いかけたのぉ。それは一体なんじゃ?」
「黙秘する」
「……すまないが、コールに嫌われたくないから言い出したうちも詳しく言えないのじゃ」
「ふ~む。なにやら愉快な状況になってるのが分かったわい……」
そういってひげをさすりながら考え事をしていた彼は、不意にやめて「そうじゃな」と呟いた。
「それを見るまでわしも旅に同行しようかの? なにやら面白そうなことをしておるようじゃし」
「……マジかよ」
もうこれ以上の同行人はいらないんだが。なんて言い出したいのだが、どうにも言える雰囲気ではないため口をつぐむ。
そもそもなんでこんな事態に陥ったのだろうか。沈黙した中で俺は原因を探してみたところ、自業自得なことに気が付いた。
………はぁ。
「どうしたんじゃコール?」
「年老いた口調が三人もいると面倒だから差別化してくれ。そうでなくても今頭が痛いんだから」
ルノアの問いかけに適当に返事をしながら頭を抱えてストレスと戦っていると、「まぁ確かにのぉ」とルノアが頷いて話が進んでいった。
「うちはまだ大丈夫じゃが、『研狂者』とドラゴンの翁はそもそもの口調すら被っておるしの。そこらは変えておかんと」
「なんじゃこの口調が被るのか……仕方ない」
そういうとこれまでの雰囲気をがらりと変え、「久し振りに昔の口調に戻しますか」と言った。
それだけで優男然の印象になったので、急激な変化に対し俺は警戒を高める。
「大丈夫じゃよコール。そこまで警戒せんとも」
「そうですよ。ただ口調を分かり易くしただけですから」
「…………」
そっと肩の力を抜いて警戒を解く。しかし、最低限の警戒は継続しておく。
というか、口調の問題じゃないんだよな……。
また厄介事が向こうから来やがったと、俺は肩を落とした。




