セカンドステージ41:真実の答え
「ロギウス、君の目的は1つ。 真の歴史を明かすことだね? 自分自身の誤った歴史を、世界に知らせるのが君の目的だ!」
俺は確信を持って言う。
この精神世界に来た以上は、記憶も感情も共有しなければならない特殊な空間へ足を踏み入れたも同然。
そのため、俺はロギウスの企みも何もかも、彼の過去さえも知ることができた。
「なるほど――――――この世界に来てから、どうも変だと思ったが、そうか。 ここでは記憶も感情も共有されるのか――――――厄介な場所だな」
「まあ、おかげで”真の敵”ってやつにも気付くことができたよ」
「ふーん、じゃあ、お前は我の味方になると?」
「いいや、俺はお前の敵だよ」
「ふん、ならばどうする? ここでは特に魔法が使えないというわけでも、なさそうだし、最終的には力押しでお前を服従させて、我は肉体を奪うぞ」
「まあ、話は最後まで聞けよ。 それからでも遅くないはずだ」
「いいや、我には時間がないのだ。 一刻の猶予も許されない!」
「そうやって、時間を気にする癖があるから、あんな奴にいいように手ごまにされるんだよ」
「黙れ! 貴様に何が分かる!」
「まあ、そんなに急ぐんなら、急いで話を済ませてやるから、今は黙って話を聞け」
そして、俺は再びロギウスに話を始めるのであった。
~現実世界~
あれは!
と一同が思った先にいたのは、何を隠そうロギウスの忠実な部下、地獄大神王メイオウであった。
「やあ、皆さん。 お久しぶりですね」
そういって、結界を紙切れ同然に破り、玉座の間に降り立った。
「馬鹿な! 何故お前にそんな力が!」
フルートが言うと、メイオウは懐から結晶を取り出して、アマデウスを出した。
「アマデウス……無事だったか‼」
ジンライが言うと、アマデウスは言葉を発する。
「皆の者、聞くんだ。 こいつはメイオウなどではない!」
その言葉に全員が衝撃を受けた。
しかし、直後メイオウの姿が歪み、ムラサメの姿に変わる。
「ムラサメ?」
とボルが言うと、ディルが驚きながら、ムラサメに言う。
「お前―――――誰だ? ムラサメではないな? 本当の正体を現せ!」
「全く、あい変わらずせっかちな一族だね、君たちは」
そういってムラサメだったものは、更に姿を変える。
そして、翔琉そっくりの顔立ちをした青年に姿を変えた。
「今度は翔琉の姿に―――――」
とライが言いかけたが、直後アマデウスが違うといった。
そして奴の正体を述べる。
「あいつの正体は、神話の神だ。 全知全能の神と言われるアマギ。 それがあいつの名前だ」
そういうと、アマギはアマデウスに向かって言う。
「さてさて、兄の魂を返してもらおうか。 奴はどこだ?」
「奴とは……ロギウスの事か?」
そうリュウが言うと、アマギは舌打ちをしてから、不快そうに答える。
「いいや、違うね。 あと、そいつの名を口にするな! 忌まわしき、名を――――――」
明らかな殺意を見せつけられた一同は、アマデウス以外を除いて、その場に立ちすくんでいた。
「みんなよく聞いて、この男――――――アマギの目的は、自分がかつて殺した兄の復活。 そしてそのためには、兄の魂が必要なんだ。 魂は年を重ねるごとに幾度となく転生を繰り返してきた。 それはアマギの手から逃れるためでもあった。 でもね、僕のせいでそれがばれてしまったんだよ。 偶然ではあったんだけどね――――――」
「偶然って……まさか!」
「そうだ。 今彼の兄の魂は、天野翔琉に宿っている。 つまりアマギの目的は、天野翔琉を殺して兄の魂を奪い取ることだ」
アマデウスはこの場における全員に神魔法を授け、ジンライの中へと消える。
そして、心を通じて全員に話す。
「翔琉が殺されることを防ぐためにも、全員でこいつを倒すんだ! そして、かつてロギウスを封印する際に使った封印魔法を用いて、こいつを永遠に封印する! じゃないと、翔琉は殺されてしまう。 それは僕も本望じゃない。 翔琉の夢の果てを見届けるまでは、殺させるわけにはいかないんだ! 全知全能の神であるアマギには、神魔法以外の魔法は受け付けない。 だから、今あるすべての力を君たちに分散させた! だから、絶対にこいつを倒すよ!」
「「おう!」」
全員が今、神話にけりをつけるために戦う。
そして、天野翔琉の殺害を阻止するためにも―――――――この勝負負けられない。
「神にあらがうとは、愚かしや――――――ならば、しかるべき制裁を受けるがいい……」
こうして、全知全能の神との戦いが幕を開けた。
~天野翔琉の精神世界~
「ロギウス……君はかつて、狂気に走った神の暴走を止めようとした人物、つまりは罪人ではなくて本来は英雄となるはずだった――――――しかし、君は神を封印した代償に記憶をすべて失ってしまった。 その時だね、神が君に小細工をしたのは」
「ああ、我は元々神々に使える神官であった。 しかしながら、崇拝していた神が、弟の神に殺されてしまったので、当時の魔導士たちと共に、弟を封印したのだ――――――だが、神に操られたデイと他の魔導士たちによって、神は復活し、我の記憶も戻った。 そして神は、我に復讐するべく、動き出した。 それが―――――」
「あの神話と言うわけだね。 なるほど、なるほど……予想はしていた。 つまりは全員が誤った記憶を植えつけられている中で、君だけが唯一真実の記憶を持っているわけだから、多数大勢には君だけがイレギュラーとなってしまったわけだ。 異端分子は排除する―――――それが、これまでの歴史の真実……君はその神を今一度倒すために、この世に復活したわけだね」
「その通りだ。 我はあいつ――――――アマギを倒したいだけだ。 それが済んだら、大人しく消える―――――」
「世界征服ってのはフェイクで、これが本来の目的――――――なるほどね」
「ああ、頼む。 お前の肉体を我に貸してくれ」
「残念だけど、そういうわけにはいかない。 だって、倒した後に身体を返してくれる補償はないもの」
「何故だ! 何故……」
「だから、確実性のない約束はしたくない。 必ず約束を守ってもらえる条件が出ない限り、君には絶対に肉体は貸さないし、ここからも出さない。 じゃないと、他の人の身体を奪いに行くだろ?」
「ならば我は、力づくで、お前の肉体を奪うまでだ!」
ロギウスは座っていた椅子を破壊して、魔法を使う構えを取る。
「やれやれ、だから奪われるわけにはいかないから、こっちも助けを呼ぶことにするよ―――――」
そういって俺は指を鳴らす。
すると、床から巨大な檻が出現する。
そして、その檻から出てきたのは、煉だった―――――
「翔琉に呼ばれてじゃじゃじゃじゃーーん! 正義のダークヒーロー煉様の登場だい。 者どもひかえろ~なんちゃって、てへぺろ」
そういって煉は決めポーズをとっている。
うざ……
「こらこら、翔琉きゅん! うざいとか思っちゃダメダメ~! 僕は君の手となり足となり心となり刃となるんだから♪」
ロギウスは煉を指さし
「誰だ、そいつは?」
と聞く。
煉は言う
「おやおや、ロギウスちゃん。 忘れちゃったのかしら? 私だよ――――――」
ん?いつもと口調が違う。
そしてロギウスの表情が変わり、涙をこぼし始めた。
「ああああ―――――あなた様は、あの方なのですか? 何故この場所に?」
「いやあ、まあ、転生したからね。 翔琉の魂と融合してるだけだ。 そして一番ここが落ち着くんだよ。 あんな暮らしや、あんな奴と一緒に下界の様子を見るのはもう嫌だ。 私は、ここで翔琉と一緒に翔琉の夢を追い続けてやるんだ。 それが友達ってやつだろ?」
おいおい、完全にキャラが違うぞ?
「え? ごめん、事情がつかめないんだけど、どういうこと?」
と俺が煉に聞く。
すると煉は、すまないな、と言い
「隠しているつもりはなかったんだけど、もはや偽りの仮面は必要ないな―――――――翔琉。 私の名前は煉。 いや本来の表記はRENNEと言うのだが、これは実はアナグラムでな、本当の名前はレネン。 全知全能の神を弟に持つ、自分で言うのも恥ずかしいのだが、創造神だよ――――――」
「またまた、御冗談を。 いつもの感じでふざけちゃって―――――‼」
この時俺は煉の目がまっすぐ俺を見つめていることに気が付いた。
相手の目を見て話すという行為は、一般的に人に真実を話しているときの状態である。
そして、煉は――――いやレネンは続けて言う。
「本当は正体を明かす予定なんか無かったんだけどな。 だって、私は君の魂と完全に融合しているから、本来ならば”天野翔琉”として一生を過ごす予定だったんだけどね、翔琉があの世界で必死に頑張って、そしてストレスを感じてしまったことによって、魂に歪みが生じてしまったんだ。 だから、融合は不完全となって、こうして分離したわけさ」
「――――――じゃあ、なんで今さらそんなことを話す気になったのさ。 だって、いつもの煉ならふざけて通すだろ?」
「ふざける――――という行為は、君の負の感情を発散させるのが目的だったのさ。 いくら創造神とは言っても、心だけは作ることができない。 心は育まれなければ強くはならない。 私はそんな君の成長を陰でひっそりと手伝っていたわけさ」
「で? そんな神様が、なんで俺の中に?」
「それは――――――愚弟から逃れるためさ」
「愚弟?」
と俺が聞き返すと、ロギウスが間に入ってきた。
「愚弟と言うのは、レネン様の弟君にして、我を罠にはめた全知全能の神、アマギです」
そういってロギウスは一歩下がって、レネンに傅いている。
「なるほど―――――じゃあ、今回のラスボス……と言うか、全ての黒幕は、そのアマギって神様なんだね?」
「その通りだよ、翔琉。 全ては私の過去の過ち……見せてあげるよ、私の過去を―――――」
そういうと、精神世界が映画館のようになった。
目の前のスクリーンに、映像が映る。
【3】
【2】
【1】
【0】
【劇場内での撮影行為は~】
(マジな映画じゃねえかよ)
【過去の過ちと、転生の理由】
”昔々、あるところに兄妹の神様がいました。 兄の創造神は世界を作りました。 弟は生命を生み出しました。 やがて2人の神様は、世界を監視するようになりました。 それは”知恵”を持った生物が自分たちに干渉したことが始まりでした。
「知的生命体は新しいものを創り出す無限の可能性を秘めている」
と言う風に、創造神は説きました。
しかしながら、全知全能の神は違いました。
「世界は自分の思い通りにならなくてはならない」
そんなことを思っていました。
やがて、創造神は【魔法】と【科学】をそれぞれ別の世界に分け与えました。
そして、世界をいくつもの世界に分けて管理していました。
次第に、知的生命体は世界を超える力を手にしましたが、あまりの危険な行為であったために、創造神はその力を封印しました。
しかし、世界を超える力を与えたのは、弟の全知全能の神でした。
「自分の思い通りにならない事は、消してしまおう」
と考えた弟は、兄を殺そうとしました。
しかし、兄はその計画を見破っていました。
創造神は、知的生命体に自分自身の【友】である【神魔法:アマデウス】と共に、弟の【全知全能の神】を打ち倒す手助けを求めました。
当時、【魔法】と【科学】の世界では、【魔法】を操る世界の方が、進歩していました。
そこで魔法世界で、勇者を集いました。
その1人が【ロギウス】でした。
ロギウスは恩恵を与えてくれた【全知全能の神】を倒すことに、始めはためらいを見せましたが、創造神は全知全能の神に改心してほしいだけだ、と言う風に言っていたので
「自分の力で、神様が正気に戻ってくれるのならば」
と言う風に、承諾しました。
しかし、創造神の計画は全知全能の神である弟に、すでに知られていました。
全知全能の神は、ロギウスを除いた勇者たちを洗脳して、逆に創造神を倒そうと考えました。
しかし、実行に移す前に、全知全能の神は、創造神やロギウスたちによって封印されてしまいます。
「これで、すべてうまくいった」
と創造神は思いましたが、これすらも弟の策略であるということには気が付くことができませんでした。
全知全能の神は、封印される直前に魂を移動していました。
それが【魂記憶】でした。
のちに、それはデイたちによって8つの神殿に保管されますが、その際に、神殿の守り人たちは、全知全能の神に操られてしまいます。
そして、その者たちによって、創造神は殺されてしまいました。
時の魔法を操る女【デイ】はこの時、この様子を予言していました。
そして急いで魂記憶をかき集めて、【未来に全知全能の神を討ち果たす者と、その者たちの周りに起きる未来】を自分の魂を込めることによって、残しました。
しかし、彼女自身も、最後の魂記憶に魔法をかけた直後に、全知全能の神に操られてしまいます。
そして、創造神が殺されたころによって、封印が弱まり、記憶を取り戻したロギウスに待っていたのは、かつての同胞たちとの【殺し合い】でした。
ロギウスは仲間を殺すことは出来ませんでした。
そのためロギウスは、創造神の魂を違う世界に逃がしました。
そうすることによって、全知全能の神の【本来の肉体】は永久に封印されることになるからです。
怒った全知全能の神は、ロギウスを殺すことを止めて【永遠の苦しみ】を与えることに決めました。
その永遠の苦しみとは、【人々から永久に憎まれる】という、辛いものでした。
ロギウスは全知全能の神を倒そうとしましたが、操られたデイたちによって長い長い封印を施されました。
これが後の【神話】です。
全知全能の神は、人々に偽の記憶を与えました。
そして、ロギウスを悪役にして、自信を称える【偽りの歴史】を生み出しました。
一方、【神魔法:アマデウス】は、全知全能の神によって記憶を一部改竄させられるものの、なんとかその世界から抜け出しました。
そして、様々な世界を放浪することになります。
創造神の魂は、全知全能の神から逃れるために、様々な世界を渡り歩いていました。
そのたびに、いくつもの生物に転生しました。
ある時は伝説の英雄・ある時は最悪の犯罪者・ある時は猫・またある時は科学者―――――そう天野翔琉でした。
天野翔琉の魂は本来ならば【この世に存在するはずがない】者でした。
それは運命を捻じ曲げた全知全能の神のせいで【死産】する予定だったからです。
創造神はいつもならばそのまま見逃して、別の世界へと行く予定でしたが、【天野翔琉】の魂が創造神に言いました。
「俺は生きたい!」
その単純でしたが、純粋な答えに創造神はかつて自分が求めた【無限の可能性】を秘めているのはこの子かも知れない、と言う風に考えました。
そこで、因果律に少し干渉して、【死産】という未来を【安産】という未来に変えました。
しかし、全知全能の神に気付かれてしまうと厄介だったので、創造神は【天野翔琉の魂の一部】となってその身に宿りました。
その結果、【因果律の改竄】は後に翔琉の身体に宿ることになる【アマデウス】が引き起こしたものだと、欺くことができたからです。
そして、天野翔琉は天野翔琉としてその世界に生れ落ちる事が出来ました。
頃合いを見て、創造神は天野翔琉から分離して再び【転生】しようと考えました。
しかしながら、それは叶いませんでした。
再び全知全能の神が【天野翔琉】の因果を歪める――――つまりは、【殺害】を謀ろうとしました。
そこで創造神は考えました。
「何故、天野翔琉が狙われるのか?」
そして天野翔琉の中から弟の全知全能の神の心を読みました。
すると
「自分の放った運命さえも抗うことのできる、この個体ならばいい【実験材料】になるに違いない」
と言う風に考えていた弟の心が読めました。
そして弟の全知全能の神はある計画を進めていました。
それは【異世界の最強の生命体を集めて、殺し合わせる】と言う、【神々の実験】と言う、かつて禁忌とされた行為をしようとしていました。
創造神は【天野翔琉】を守るために【転生せずに翔琉を守ること】を決めました。
そして、創造神は後に翔琉の分離した【負の感情を食べる怪物の煉】として、天野翔琉の中に残りました。
創造神は【創造神】であることを止めて【友達】を守ることを決意しました。
その時が来るまで、創造神は記憶を封じて、煉として生きました。
そしてその時が来てしまいました。
それが今なのです――――――END
”
終わると同時に、映画館の風景は消えて、元の精神世界の空間に戻った。
「俺って……死ぬ予定だったのか?」
あまりの衝撃発現に、うまく言葉が出ない。
俺は実験材料だったのか?
「俺は……実験材料……そんな……」
意識が消えそうになる。
仕組まれた人生―――――それが俺の人生だった。
全ては策略の中……
「翔琉……」
そういって声をかける、レネンの声は俺には届かなかった。
涙を流しひたすらひたすら、悔しかった。
悔しくて悔しくてたまらなかった。
「俺の夢も――――作り物だったのか?―――――俺の感情も何もかも――――――」
「それは違う」
レネンは声を荒らげた。
そして俺の首元をつかんで投げ飛ばす。
「何するんだよ!」
と俺はレネンに怒鳴った。
そして泣きながら向かっていった。
「畜生――――畜生――――――」
そういいながら、泣きながら、何度も何度もレネンの身体を叩く。
嫌な感触だった。
拳が肉体にあたって、その衝撃が自分自身に伝わる感触。
ロギウスは俺を止めに入ろうとしたが、レネンはそれを止めて、ひたすら俺の怒りと悲しみを受け止めるように、ただただ立ち尽くして、なすがままに攻撃を受け続けた―――――
しばらくして俺は平常心に戻ることができた。
レネンがずっと受け止めていてくれたからだと思う。
泣き止んだし、怒りもおさまっていた。
「翔琉――――」
とレネンは、先ほど言えなかった話を話し始める。
「君は作られた存在でもなければ、アマギの敷いたレールでも私の引いたレールでもなく、自分自身の人生を選択していただろう? 夢は策略では植えつけられないし、心は創造神である私でさえ作ることは出来ない。 だから、これだけははっきり言える。 今、翔琉と私は分離している。 つまり、君の魂と私の魂は分かれている。 だから、君のその感情や心は君自身の物だ。 【天野翔琉】という個人だ。 アマギや私にも干渉されてない【君自身】だ。 私はこれからも君の中で、君の夢が叶うように見届ける。 そして君が死んだら、私も一緒に死んであげる。 それくらいの覚悟はある。 だから翔琉。 これからも【夢】を追ってくれ! 私は【夢】を追いかけているときの君が好きだ。 純粋にまっすぐに――――自分を信じて進んでいく。 そんな君が―――――」
「レネン……」
「まずは、そのためにも邪魔者を倒してしまおう。 あの偉そうにしている全知全能の神、愚弟であるアマギを―――――」
「でも、そうなったら神様の変わりはどうするの? アマギを倒すって事は、【神様を殺す】つまるところの【神の不在】を意味するよね?」
「その点は心配してないさ。 だって【代役】が見つかったもの―――――」
そういってレネンはロギウスを見つめる。
「我にございますか?!」
とロギウスは慌てる。
そして、レネンはロギウスに言う。
「神なんて所詮は飾り。 世界の行く末なんか、ルールなんかを本来操る資格などない。 だからこそ、真実を、現実を求めてきて、私がかつて最も信頼していたお前に頼みたい。 アマギを討ち果たしたのちに、【真実の神】として、世界を見守ってくれるか?」
「そんな、もったいないお言葉です……我でよろしければ、何なりと―――――」
「では頼んでもよいか?」
「お任せ下さい、レネン様―――――」
「よくぞ今日まで、汚名を着せられて、そんな中でも真実を追い求めてくれましたね。 ありがとう――――」
「このロギウス、レネン様にそのようなお言葉をいただけるとは……有難き幸せです‼」
そういってロギウスは涙を流して、その場に座り込んでしまった。
「翔琉、最終決戦と行こうか」
「分かったよ、レネン。 俺はこれからの人生を、夢を追うためにも、その妨げになる神なんか倒してやる」
そして、自分自身の夢を追い続けるんだ!
無限の可能性を見出して、更なる高みを目指すためにも――――――




