ステージ23:vs暗黒魔法教団首領ブラッド
最終決戦です。はたして、翔琉君は元の世界へと戻れるのでしょうか?
長い階段を登り終えた俺たち。道中に噂にいた怪物などはいなかった。むしろ、怪物たちの死体で溢れていた。滴る血だまりの中、足跡が頂上へ行く階段に続いている。そして、階段にもくっきりと足跡が残っている。どうやら、この足跡は首領のものであろう。
そして、頂上に到着した俺たちの目の前には大きな扉と、その前に立っている血まみれのフードを被っている人の姿が見えた。そして、どうやら俺たちに気付いたようでこちらを向き、フードを脱ぐ。その素顔は、目の下にくまがあり、眠そうにしている長髪の男だった。
「ふああ・・」
そういって、その男・・ブラッドはあくびをする。そして、彼は話し始める。
「君たちも大変だね~そんな少年のために、色々と頑張らなきゃいけないなんて・・俺には到底真似できないよ~そんなことするなら、世界を滅ぼすんだけどね~」
と言うのに対してディルが言う。
「相変わらず、眠そうにしている男ね、ブラッド。で?なんであんたがここにいるの?」
そういうと、ブラッドは再びあくびをしてから、その質問に答える
「え~ほら、なんかさ~そこの少年を元の世界に返されると~俺たちの教団に洗脳して人間兵器にするっていうことできなくなっちゃうじゃん~だから、ラスボス的なポジションでわざわざ待っててあげてるんじゃないの~」
そういって、再びあくびをする。眠そうだな~
「なるほどね、でもあんたに翔琉ちゃんは渡さないわ。」
「その通りだ。」
「ワタクシ達がいる限り・・」
「そうはさせない!」
いつもの4人が声を合わせて言うのであった。
「うるさい連中だね~でもね、そこの少年は俺にとって、道具にしてやることに決めたんだから~何言ってもだ~め。」
そういうブラッドに4人は攻撃しようとしたが、ホルブとエンがそれを止める。
「おぬしら・・あやつの魔法を忘れたわけではないじゃろ?うかつに攻撃するではない!」
「その通り。ブラッドの魔法は攻撃した相手の魔法を2倍にして返す加重魔法、そう簡単に攻撃したら、うちらは一瞬でやられるよ!」
そして、再びブラッドが話す。
「だいたい、君たちはいいの~? 翔琉君を素直に元の世界へ返すなんて~」
そういうと、4人は少し考えてしまう。だが、すぐに言い返す。
「翔琉ちゃんが、たとえ元の世界に帰ってしまって2度と会えなくなっても・・」
「俺は友として・・」
「運命の人のためなら・・」
「翔琉さんのためならば・・」
「「「「願いを叶えてやるのが仲間だ!」」」」
そう、ブラッドに言い返す。ありがとう・・みんな・・
「そう・・なら、返される前に奪っちゃうね~」
といい、ブラッドは俺たちへと向かってくるのであった。
「風の魔法:風来盾!」
トルネは全員に風の盾を作る。そのあとに俺が光の盾を重ねて、風と光の盾を作った。
「氷の魔法:氷壁陣!」
ヒョウがブラッドに対して、移動を妨げるように氷の柱を作り出す。それをかわし、ブラッドは攻撃を仕掛ける。
「加重魔法:七通星」
そういうと、先ほどのヒョウの放った壁が今度は俺たちに襲い掛かってくる。しかし、そこにエンが炎を当てて相殺させる。そして、ホルブとディルがブラッドに向かって攻撃する。
「闇の魔法:闇夜月」
「時の魔法:遅時間」
ホルブの杖の先から放たれた、月のような球体が何百と増えてブラッドに襲い掛かる。
「これは~、闇属性と光属性の合わせ技・・ディルが時間を巻き戻してホルブの魔法を0.001秒差で魔法を発動させているのか、だけど甘いね。加重魔法:七通星・弐式」
そういうと、ホルブとディルの攻撃は倍の数千と言う量になって跳ね返ってきた。
「翔琉!」
「分かった!神魔法:光天神!そして・・光の魔法:絶対神域」
俺は全員を守るために巨大な光の結界を作る。何とか間に合ったようで、攻撃を防ぐことができた。
「へえ~それが神魔法~。まじかで見ると、すごいね~いや~ますます、欲しくなったよ、その魔法~」
「いいや、渡さないよ」
「冷たいこと言うなよ~無理やりにでも奪うけどね~」
そういって、ブラッドは呪文を詠唱し始める。
「彼の地に降り立ちし、偉大なる魔導士よ・・我の呼びかけに応じ・・再び世へと現れよ・・」
その瞬間ディルが慌てる。
「だめえ!その魔法は使っちゃだめ!みんな、阻止して!」
「え?」
「いいから、早く!」
ディルに言われるがまま全員がブラッドに攻撃する。しかし、少し遅かった。
「・・召喚!」
すると、光の柱が1本たった。その光の柱は俺たちの攻撃をかき消した。その柱から現れたのは1人の女性だった。
「誰だあれは!」
「俺たちの魔法を・・かき消しただと!」
「ディル!ブラッドは何をしたの?」
ディルはその問いに答えるべく口を開く。
「みんな・・あの人はかつて神に仕えた3人の偉大な魔導士1人、時空間魔法の始祖:デイ様。さっきブラッドが使った、時空間魔法の禁じ手、”過去の偉人の召喚”によって現れた本物の偉大な大魔導士よ・・」
「小僧・・呼んだのは貴様か?」
「そうだよ~デイさん。俺の名前はブラッドよろしく~」
そういい笑顔でデイに言うブラッド。そしてデイは後ろにあった大きな扉・・オールドアを見上げる。
「おお、我らの主の扉はこの世であっても無事であったか・・よきことじゃ。さて、そこにおるのは・・誰じゃ?」
そういい、デイは俺たちを指さす。すると、ブラッドは
「単純に俺たちの敵ですよ、デイさん。俺はそのためにあなたを召喚したのだから・・」
そういうと、デイはため息をつき
「いつの世も、扉を求める争いはなくならぬのか・・」
といい、俺たちに向かって構える。
そして、ディルは俺に向かってこういう。
「翔琉・・全員に神魔法を受け渡すまでに、どのくらいかかる?」
「1分だけど・・どうして?」
「1分か・・分かった。じゃあ、その間まで私が時間を稼ぐわ。」
「うん。先にディルにかけてっと・・じゃあ、急ぐからな!」
そういって、俺はみんなに神魔法を受け渡しに回る。
「あの少年・・我が主と同様の魔法を使うのか・・なるほど、面白い・・」
「行かせないわよ。」
そういって、ディルはデイの前に立ちふさがる。
「小娘、わらわの前に立つとは良い度胸ぞ・・その勇気に免じて名を名乗らせるぞ」
「始めまして、私の名前はディル。18代目時空間魔法伝承者にして3人の太古の魔導士の1人よ。」
「おお、お主はわらわの子孫と言うことじゃな。なんとも、皮肉な運命じゃのう・・末裔よ」
「そうですね、始祖様。ですが、この運命はあらがえないようですね。」
「そうじゃのう・・わらわも厄介な魔法を作ってしまった・・時空間魔法:過去戻。過去の人間を召喚し、隷属させる魔法。この魔法の解き方は知っておるな?」
「はい・・召喚者を倒すか、召喚されたものを倒すか・・または1時間経つか・・ですね。」
「その通りじゃ。じゃがのう、よりによって時空間を操るものを召喚するとは・・あの小僧、色々と頭のキレる奴じゃ」
「そうですね・・できれば、こんな形でお会いしたくはありませんでした。ですが、私たちは・・」
「戦わねばならぬようじゃ・・では始めるか・・」
その瞬間、ディルとデイは消えた。どうやら、違う空間に移動したようだ。
「さあて、ディルはこれで終わりだとして・・あとはお前等だな~」
そして俺たちは、ブラッドに挑むのであった。全員神魔法を発動して・・
「へえ~神魔法を他人に貸し与えられるなんて~やっぱり便利だね~」
「御託は言い・・一瞬でけりをつけてやる。」
とカッコいいセリフを言うトルネ。普段もこういう風にお願いします。
「やれるものなら~ど~ぞ」
「ブラッドォォォォォ!お前に翔琉は渡さんぞ!」
そういって、ライがブラッドに突っ込んでいった。俺たちもそれに続いて攻撃を仕掛ける。
「雷の魔法:雷轟稲妻・滅!」
「炎の魔法:煉獄炎零式!」
「水の魔法:水龍波音!」
「闇の魔法:暗転闇雲!」
「氷の魔法:氷零凍結!」
「風の魔法:疾風怒号巻!」
「地の魔法:大地之雄叫!」
「光の魔法:神之憤怒!」
俺たちの各属性の最強の魔法をブラッドに放つ。しかしながら、彼は笑っている。何故だ?各属性の最強クラスの魔法が8属性すべてが襲い掛かるというのに笑っている。
「この瞬間を待ちわびたよ・・」
そういって、彼は攻撃をオールドアへと威力を倍にして受け流す。しまった!このままでは、オールドアが破壊されてしまう!その瞬間、ディルが扉の前に現れた。
「詰めが甘いわね、ブラッド!」
そういうと、彼女は時空を捻じ曲げ再び攻撃をブラッドへと軌道をそらす。
「まさか・・そんなことって!」
と言い、ブラッドは魔法を出す間もなく各属性の攻撃を受けた。そして、その隙をついてホルブとヒョウがブラッドを封印しようとかかる。そして、封印に成功する。ずいぶんあっけない気がするが・・
「やった!ブラッドを倒したぞ!」
その場にいた全員が勝利を確信した。そして俺たちは、オールドアの前へと行く。
「いよいよか・・」
とうとう元の世界へと帰れるのだと思うと、嬉しい・・。でも、仲間たちと別れるのは悲しい・・
「じゃあ、封印を解いてみんな」
そうディルが言うと、7人の大魔導士たちは一斉に自身の属性の魔法を扉の前で手元に灯す。そうすると、扉には各属性の紋章と思われるものが浮かび上がり、扉が開いた。
「やったね、翔琉。これで、あなたの元いた世界に帰れるわね。」
「ああ、そうだね・・」
そういい、俺は扉の前に立つ。そして、扉は開いたのだ。
「じゃあね、みんな!」
そういって扉をくぐろうとした瞬間に、すごい脱力感を覚えて俺はふらつく。え?
なんだこれ?
「ありがとう翔琉・・おかげで計画通り、神魔法を手に入れることができたよ。」
そういって、俺に笑みを浮かべるディルがその場にはいた。
その瞬間、ボロボロになって異空間から出てきたデイが言う。
「少年よ!早く逃げろ!そいつはおぬしの知るものではない!そいつの名は・・」
と言いかけた時、デイは消えた。召喚限界時間を超えたらしい。
そして、大魔導士たちが俺を守るように取り囲みディルに言う。
「「貴様は何者だ!」」
そういうと、ディルは答える。
「俺の名前は、ロギウス・・この身体は、もはや俺のものだ・・そして小僧・・お前の役目も終わりだ」
そう言い終わった時、衝撃波が俺を襲い、大魔導士たちやボルの魔法も俺には届かず、俺は扉の中に飛ばされてしまった。
次回は新章に突入です。




