ステージ21:潜入!大地之中心。vs暗黒賢者ヴィル
いよいよ潜入ですね。
俺たちは鎖国国家:大地之中心へと向かった。
道中は特に何もなく、そして俺たちは入国審査のある門の前まで来た。
「じゃあ、この勲章は我が持っていよう。その方が、話がつけやすいからのう。」
そういって、ホルブはいつも来ているコートの上から勲章を付けた。
「じゃあ、行きましょうか。」
ディルがいい、俺たちはいよいよ大地之中心へと潜入するのであった。
入国審査において、他の人物たちが入国拒否をされている中、ホルブのつけている勲章を見ると、門番はあっさりとドアを開けて
「どうぞ、お通り下さいませ・・」
と言うのであった。
鎖国国家と言う割には、案外簡単に入ることができたのが拍子抜けではあったが、今回は都合がよかった。
そして、地下へ降りていき2番目の門の向こう側にあったのは、光るクリスタルが多く散らばっている美しい光景だった。地底とは思えないほど明るい景色だった。そして、文化的ともいえる家々や建物が見える中に唯一外見があっていない建物があった。
「あれが・・暗黒魔法教団の本部だ・・」
そういうボル。
「じゃあ、作戦開始!」
そういって、俺たちは2手に別れた。
暗黒魔法教団本部強襲部隊:俺・ディル・ボル・ヒョウ・ホルブ
地の大魔導士グラン捜索部隊:リュウ・エン・ライ・トルネ
このメンバーに別れて、役目に沿うように俺たちは目的地を目指すのであった。
そして、教団本部に到着した俺たちは教団の団員たちに囲まれてしまう。
そして団員たちは
「お待ちしておりました・・中で暗黒賢者がお待ちです・・」
そういって、すんなり道を開けた。
完全に罠ではあるが、ここで進まなければ教団は落ちないだろう・・
覚悟を決めて、一歩ずつかみしめながら前に進む・・。
中に入ると、団員がこちらですと指示しているようなそぶりをしている。
どうやら、そちらの方に暗黒賢者はいるようだ・・
俺たちは長い長い階段を登る・・
そして、頂上に着いた時に暗黒賢者はいたのであった。
「始めまして・・天野翔琉君・・。」
そういうと、暗黒賢者のマントを脱ぐ。その中身は、高校生くらいの見た目の男だった。腕には金属製のリングを10個ほどつけている。
「僕の名前は、ヴィル。暗黒賢者の1人・・そして、この本部を現在任されている男だ。」
「おい、貴様・・首領はどこにいる?」
そう、ディルが聞くと意外にもあっさり答えてくれた。
「ああ、首領は洗脳済みの地の大魔導士グランと暗黒賢者ガイルとともにオールドアのある塔へと向かいましたよ。」
「なに!」
「しかし、貴様は何故そのことを我らに教えるのじゃ?」
「ええ、それはですね・・ここであなた達には僕の相手をしてもらうためですかね。」
そういうと、俺たちに光が襲い掛かってきた。
「この魔法は・・」
「ええそうです。光属性の魔法ですよ。」
俺が驚く間もなく、ヴィルは無表情で答える。
「あなたの魔法は”光を隷属させる”魔法ですが、果たしてどうでしょうか?僕の魔法を隷属させることができますかね・・」
そういって、光の雨が降る。
「神魔法:光天神!」
そういって、俺は光天神を発動させた。
「ははは。それが、神魔法かい・・楽しめそうだ・・」
いまだに無表情で、ヴィルは攻撃をしてくる。
しかしながら、他にも魔導士がいることを忘れてもらっては困る。
「甘いわね。」
そういって、ディルはヴィルの動きを止める。
「食らえ!」
ボルは空間を変異させ、ヴィルを拘束する。
「今じゃのう・・」
そういって、ルーンを封じた魔法にてヴィルを封印した。
しかしながら、ホルブが封印したのは光で作った分身だった。
そして、ヴィルがいたと思われる方向じゃない逆の位置からヴィルは現れた。
「驚いたな・・こんな風に君たちは寄ってたかって1人を弄るなんて最低だ
な・・」
そういいながら、再び光の雨を降らす。
「それはそうだけど、ごめんね。」
そういって、俺はヴィルの背後に回って光で拘束する。
かつてボルとの戦いで使用したあの槍の魔法で・・
しかしながら、これもまた囮・・
「いったい奴の魔法はなんなんだ?」
そう疑問に思ったときに、ボルが皆にヴィルの魔法を説明する。
「ヴィルの魔法は太古魔法:鏡魔法。鏡のように映し世に自身を反映させることによって相手の攻撃をよける最強防御魔法。」
「打開策は?」
「すまない、ディル。そこまでは・・」
「じゃあ、いい考えがある。」
そういったのは俺だった。鏡が相手と言うなら対策方法はある。そして俺は、天高く飛びフロアいっぱいに光を照射する。
そして、全体を見た後に行ったことは、俺の胸に光の槍を突き刺すことだった。
「翔琉!」
「お前何してるんだ!」
皆は驚いたが1人だけ、違うものがいた。
それは苦痛の叫びをあげて、俺の体内から切り離されたヴィルだった。
そのまま、俺とヴィルは地面に落ちていく。俺はすぐに回復したので直接落下を阻止できたが、ヴィルは頭から落ちていった。それをうまくホルブが封印した。
ナイス、ホルブ。
「翔琉・・あんた、何したの?」
そうディルが俺に聞いてきた。
「ボルの話を聞いて、すぐに思いついた。」
そう答えた。
「もし、ディルがさ・・敵の攻撃から逃れるときに隠れる場所はどこ?」
と聞くとディルが、ああ!と理解してくれた。
”もし、相手が攻撃しているとき安全な場所と言われたら・・”
そこは、敵自身の中である。この魔導士たちの中で俺の使用する魔法がおそらく強くて、一番厄介であろう。そのため、ヴィルは俺の・・つまりは天野翔琉の体の中に隠れた・・と言うことになるだろう。
そのため、俺は自身を攻撃した。
勿論、急所は外しているが相当の痛みを伴う結果となった。
しかし、結果ながら勝利することができたので結果オーライなのである。
「無茶しすぎ」
そう皆は言う。確かに、すごく痛かったのでもう2度としない戦法だろう。
「暗黒賢者は倒したわ・・。あとは首領とガイルだけよ。この教団の人間はもはや、羽をもがれたトンボよ。」
と、ディルがリュウ達に報告しているようだ。不思議なたとえだ。
だがまあ、言いたいことはなんとなくわかる。
「そして、グランの居場所も分かったわ。ここに長居は無用よ。脱出するわ。」
そういって、ディルは空間魔法を発動させて最後の目的地、オールドアへと向かう。
勿論、本部を壊すために、時限式魔法を仕掛けてきた。
まあ、俺の世界風に言うならば、時限爆弾と同じであると認識してくれればいい。こうして、俺たちは最後のダンジョン。オールドアへ通ずる巨大な塔に来たのであった。
次回はいよいよオールドアのある塔へ




