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MW元   作者: ただっち
オールドア編
2/69

ステージ2:魔法の基礎

魔法世界に訪れたら、皆さんはどんな魔法が使いたいですか?

私は、取りあえず空飛んでみたいです。

 ディルから炎が出た。

 この言い方では、いささか語弊が生まれそうではあるが、それが現実的な事実である。

 より正確に言うのならば、ディルの手のひらから炎が出た。


「これが基礎的な魔法である、炎の魔法:かげりだよ」


 なるほど‼ それが魔法か♪

 しかも基本の魔法らしいな♪

 ならさっそく、俺も魔法を―――――

 

 「いきなり、できるか‼‼‼」


 ついノリツッコミになってしまった。

 だが、この言葉に尽きるだろう。

 いきなり基礎魔法だよって見せられても、そんな天才じゃあるまいし、できるわけがないって―――――


 なんて普段は絶対言わないと思うんだけど、どうもこの世界に来てから、ネガティブ思考になってしまっているな。

 いけないいけない……

 魔法を覚えないと元の世界に変えるための場所【オールドア】にはたどり着けない事だし……数々の仕掛けや魔獣を攻略するためには、絶対に魔法を覚える必要があるわけだ。

 仕方がない……この世界では俺のこれまで学んだ知識は役に立たなさそうだし、俺の世界での一般常識も通じなさそうだな……

 

 この世界で生き延びるには、この世界の業に従うべきだな。


 と思い俺は潔くディルに魔法を教わることにした。

 そして、ディルに頭を下げ


「やり方とコツを教えてください。」


 と言う。

 そういうとディルは


 ”私先生になった気分だよ”


 と言って、すっかり気分を良くして、丁寧に教えてくれた。



 何でも、魔法を使うには色々な種類・方法があるらしい―――


 1つ目がさっきやったような魔法、この魔法をこの世界では”自然魔法ホーリーマジック”というらしい。一般的に普及しているのがこの魔法で、外部から力をもらって発動するらしい。


 2つ目が一般的に道具を用いて発動させる魔法で”道具魔法アイテムマジック”と言うらしい。特定の場所でしか使用できないため、応用は中々聞かないらしい。


 3つ目が太古の昔に封印された”太古魔法エンシェントマジック”で習得できる者は少ないため、魔法使いの中でも数人しか使えないらしい。


 4つ目が戦争に用いられる事が多い”消滅魔法デリートマジック”で対象物の破壊に特化した魔法らしい。この魔法を用いればどんなものでも破壊できるらしいが命を削る魔法らしい。


 5つ目は神話の魔法で”神魔法ゴットマジック”で神と同等の能力を得る魔法。この世界では、神話のみで語り継がれ、過去誰も使えなかったとされている。


「ふう、こんなものかな……」


 と説明が終わった。

 魔法にも、いくつか種類があるのか。

 しかも5つ目の神魔法って、名前に”神”ってついているから、すさまじい威力を持った魔法なんだな――――と思った。

 いや、なんでも神ってつけたら凄そうだと思ってしまわないだろうか?

 神ゲー・神BGM・神センスetc


 すっかり先生気分のディルは自信満々な顔をして、魔法を発動させるために必要なコツを更に説明し始めた。


「――――以上が、魔法を使う際のコツで、エネルギーを一点に集めるイメージを持つことが大事だよ。 ということで……」


 と続けて言い、俺の方を向く。

 そして、俺の額に人差し指を当てながら


「今抑えているところに、エネルギーを集中させるイメージで、やってみて」


 と言い、ディルは俺に期待の目を向けている。


 何を期待しているのだろう?

 俺は初心者だよ?

 しかも、違う世界からやってきた異世界の人間なんだし、何よりさっきまで魔法の存在を疑っていた人物だぜ。

 こんな簡単にいくものか―――――と、思いかけていた。

 でも、せっかく教えてくれているのだから、期待に応えるように、頑張らなきゃな!

 目の前の女の子を喜ばせることは、男としての本分であると、俺は思うよ。


 俺は目を閉じて精神を集中する……


 エネルギーを……


 一点に……


 集める……








 すると、全身が光に包まれ、背に美しい羽根が生えた。

 炎をイメージしていたら、いつの間にか不死鳥を連想してしまった。

 不死鳥……死の間際に、自らを火へ投じて、再び灰の中より新たな生命として誕生する空想上の動物。

 この世界にはいるのかな?

 炎をイメージしていたけど、まさか不死鳥に連想が行ってしまうとは――――我ながら想像力豊かだなと思ってしまった。

 でも、これって魔法としてどうなのだろうか?

 全身が、金色の光に包まれて、背中から美しい羽根が生えてしまっている。

 本当に鳥みたい――――


 と思って、ディルの方を振り返ってみると、ディルは唖然としながら立ち尽くしていた。

 口をポカーンと開けて、目は見ひらき、明らかに動揺している感じに見えたのであった。


「どうしたんだディル。 この魔法はやっぱり失敗だよな? ディルが最初にやっていた、炎の魔法じゃなくて、全く異なるもんな。 これじゃあ、鳥だもんね、ははっ―――――」


 と笑いながら済まそうとしている俺なのだが、ディルはあまりの衝撃で言葉を発することが出来ず、ただただ首を横に振っている。

 ようやく声を出せたとしても


「これは……いや、そんなはずは……でも、いややっぱり……」


 とぶつぶつ言って、明らかに動揺している様子であった。

 そして、ようやくハッと我に返り、徐々に下の方に向いていた顔をディルはがばっとあげ


「この魔法は……炎の魔法:かげりじゃない……!」


 そうディルは空に響く程の大声で言う。

 あまりにも突然の事であったので、俺は驚いてしまった。

 俺だけではなく、近くにいた小鳥たちや、蝶ですらディルの声に驚いて飛び去ってしまったほどだ。

 呼吸が乱れていて、明らかに焦っている様子であった。


「じゃあ、この魔法はなんなんだ?」


 と俺はディルに不思議そうな顔をして聞く。

 すると、ディルは呼吸を荒くしながら噛みそうになるくらいの早口で言う。


「おそらく……文献にあった、”光を隷属させる魔法”で神魔法:光天神こうてんしんだ……。この魔法の特徴として、光属性の魔法すべてが使えるようになるらしい……いや、それにしても……いきなり神魔法使えるとか君はいったい何者なんだ?」


 そういい終わると、よほど早く言ったために、呼吸を苦しそうに、ぜえぜえとしながらディルはこの光天神と言う魔法を始めてみたようで、じろじろと俺を見つめている。

 その問いに対する答えとして俺は


 「俺の方が知りたいくらいだ……」


 と不安は否めない感じな答えとなってしまった――――



 魔法には種類の他に、いくつ属性がある―――――という事らしい。

 俺の世界には四元素説と言う話がある。

 これは、物質を構成するのは、火・空気・地・水で言い表すことが出来るというものだったかな?

 まあ、古代ギリシア時代から考えられているものなので、俗にタイムスリップでもして本人たちに直接聞く、という事が出来ればいいのだが、そんなことは勿論できないので、伝承として残ったものから考えや知識を共有する、という事は現在でも多く取り入れられている手法であり、手段であるといえるな。

 この話が今、何の役に立つのか?

 と言う風に質問されてしまえば、魔法も同様に俺の知る知識内でどうにか理解することは出来ないだろうか?

 という事を、案に俺は言いたいのである。

 ディル曰く、魔法の属性は全部で8種類あるらしい。

 炎・水・雷・闇・氷・風・地そして光、がこれに該当する。

 本当にRPGみたいな設定だな。


 そして属性にはそれぞれ特徴がある。

 まあ、RPGみたいな設定なので、絶対あるとは思っていた。

 例えば炎属性の魔法だと氷魔法を無効化できるが、水属性には逆に無力化される。氷だと雷属性を無力化できるが、炎属性には無力化されてしまう。

 今言ったのは、属性間での優劣である。

 これを下の表のようにまとめるとこのようになる。


     有効      弱点

炎属性  氷属性     水属性 

水属性  炎属性     地属性

雷属性  闇属性     氷属性

闇属性  風属性     雷属性       

氷属性  雷属性     炎属性

風属性  地属性     闇属性     

地属性  水属性     風属性       

光属性  光属性     光属性  


 光属性だけ唯一同属性の攻撃意外には弱点がないのである。


 ここは普通に光は闇に、闇は光に、と言うのがRPG設定の鉄則ではないのかな?


 とか思ったりしていたのだが、現実はそんなにうまくなっているわけでは無いのだな――――

 

 さらに属性には使いやすさ、と言うものがあるらしい。

 一般に使いやすい属性は、炎・水・雷・風とされている。

 自然界に自然に存在する物は使いやすいという事なのだが……


 それならば、地属性や氷属性もあっていいものだが――――


 まあ、良く線引きが分からない中途半端な設定だな、と思った方が合点しやすいのかな?

 そんな使いやすい炎の属性をいきなり飛ばして、俺は使用が最も困難であるとされている光の属性を初めて使えるようになった。

 パラメーター的に言えばMAX、レベルなら最大レベルまで上がってしまっている状態なのではないだろうか?

 何故俺なんかに、神魔法なんかが使えたのだろうか?


 疑問に思う。

 そして、何より不安に思った。

 

 ――――そんな疑問や不安を持ちながらも、俺はディルに


「これで魔法を覚えたことになるから、あの場所……オールドアに行けるのか?」


 と聞くが、ディルは首を左右に振る。

 言われたとおり魔法を覚えたのに……しかもパラメーターMAXの、勇者の最終奥義みたいな魔法なのに――


「ダメね。1つの属性だけではだめよ。そんなんじゃ、すぐにやられてしまうわ」


 そういうディルに、俺は不機嫌な顔をして不貞腐れたように言った。


「じゃあ、どうするんだ?」


 ディルは、そんな中でも、表情を崩さずに、飄々と答える


「他の属性を覚えてもらうしかないわね……」


 そういって、ディルは再び俺に各属性の初心者魔法や、中級、上級魔法を見せるのであった。

 そんなに簡単に他の属性なんか覚えることができるのであろうか?

 いや、そもそも、何故ディルはこんなにもすべての属性が扱えるのだろうか?

 そんな疑問の中でも、ディルの教えは続いたのであった――――――

次回は雷属性のエキスパートが登場!

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