ステージ16:ロールの町
ロールの町へ・・
目的地、風の摩道士トルネがいるとされている風の城ウインド。
しかしながら、そこに行くためには特別な手段を用いなければならない。
その理由としては、ウインドの周辺には風による防御魔法が展開されており、そのため外部からの直接侵入は不可能なのである。
翔琉の使用する神魔法ですらはじく強力な魔法壁・・とディルは言っていた。
ウインドに行くには、ウインドの真下にある町ロールの神殿のエレベーターを使用するほかないらしい。だが、その神殿には特別な思いれがあるディルは、神殿の詳しいところまでは教えてくれなかったのだ。いったいディルとその神殿には何があったのか・・それはのちに神殿内部に入ると分かることだろう。
そんな話の中、俺たちはロールへとたどり着いた。
しかしながら、町の様子は異様だった。町は破壊つくされた後だった。しかしそれ以上に、ロールの町の入口には、おびただしいほどの人々が磔にされていたからだ。その多くが、鳥族である。
鳥族とは魔法無しで飛行のできる種族で、風の魔法の使い手が多い。そして、鳥族の特徴は皆が美しい羽根を有していることである。その彼らの誇りであろう羽は無残にも引きちぎられたようで辺りには美しい羽根が泥まみれで散らかっている。
そして、みんな目隠しをされてお腹のあたりに文字が書いてあった。どうやら、刃物でつけられたもののようでかなりの血が、磔られていた者たちの下に溜まっていた。女性も・・子供にも・・老人にも・・容赦なく傷がつけられているし、何よりみんな気を失っているほどだ。よほどいたぶられたのだろう・・想像するだけでも酷い・・
傷跡からして、まだ新しいのでつい数時間前に書かれたものであることが伺える。
そして、ディルは彼らに書かれたその文字を読む。
「光の神域摩導士をわれらに捧げよ・・世に再び混乱を・・ブラッド。」
と書いてあった。
この文を読み終わるのとほぼ同時に、教団の団員たちが飛び出してきた。全員黒いフードを被っている。しかしこいつら、どこに隠れていたんだ?
そしてみな俺を指さしいうのだ。
「お前を首領に捧げる!光の神域魔導士よ!」
そういって奴らは襲い掛かってきた。すぐさま俺たちは戦闘態勢に入り、戦いが始まったのであった。
「天野翔琉を捕縛しろ!」
そういって、全員が俺に向かって襲い掛かってくる。
「翔琉ちゃんは、渡さないわよ!」
「そうだ!渡さねーぞ!」
そういって、ライとリュウは団員を蹴散らす。団員の中の下っ端は大抵やられてしまったようだが、幹部クラスがここで出て来る。
「その程度か!大魔導士。次はこちらの番だ!」
そういって、幹部たちは強烈な攻撃をしてくる。
「ワタクシの魔法で防げるわ。」
「我の魔法でもな。」
ヒョウは氷の盾、ホルブは吸収魔法で攻撃を防ぐ。
「なんだと?我々の魔法がこうもたやすく・・」
そう幹部たちが行って後に、エンが
「うちの炎で、燃え尽きろ!」
そういうと、灼熱の炎が幹部たちを包み込む。幹部たちは少し、悲鳴を上げたがすぐさま水の魔法で炎をかき消す。
「なめるな!」
そういって、再び幹部たちが攻撃してきた。その時、ボルが立つ。
すると、幹部たちは
「裏切り者め!死ね!」
そういい攻撃をするが、ボルの作る魔法の空間に吸い込まれていく。
「やれやれ・・」
そういい、ボルは俺の方に笑顔を見せる。
結構余裕のようだ。
「これで、終わりじゃ!」
そういって、ホルブが教団員全員を暗黒賢者ルーンの時のように封印する。そして、リュウが磔にされていた人たちを解放し、全員の傷を回復させた。
俺、今回出番ないな。
修行の成果のようで、瞬殺に近い状態であった。
「うん!みんないい感じだね!」
とディルは言う。
そういえば・・ディルも今回何もしていないな・・と俺は思っていたのだが、なんと壊れていた町が元通りになっている。
流石にぬかりねえな・・
「ありがとうございます・・なんとお礼を申し上げればよいものか・・」
そう言うのはロールの町の町長:ジャクである。鳥族の長でもあるらしいのでこんなことになる前は、さぞ美しい羽根を持っていたのだろう・・だが今はもがれて頭がハゲタカみたいになっている。
「ジャクさん久々ね。」
「おお、ディル様・・。」
そういって、ディルとジャクはハぐしあう。
「ディル様・・ご無事で何より・・」
「それは、こっちの台詞よ。いったい何が起こったの?」
そうディルが聞くと、ジャクはこの町で起こった出来事を話してくれた。
”今から2時間前・・あの男が来ました。暗黒魔法教団の首領・・ブラッド・・。町の皆はすぐに逃げようとしましたが、空から現れたトルネ様に阻まれてしまい・・そして全員が捕まってしまったのです。私はトルネ様に聞きました。
「なぜこのようなことをするのか・・」
するとトルネ様は何も言わずに神殿へ行ってしまわれてしまいました。そのあとブラッドは言いました。
「トルネは我が手に落ちた」
と・・。それを聞いた瞬間私たちは思いました。トルネ様は洗脳されてしまわれたのだと・・。そのあと、暗黒賢者ガイルが現れました。
そして、ガイルは
「今からここに、大魔導士どもがやってくる。お前たちにはメッセンジャーになってもらうぜ。」
そういって、私どもに洗脳魔法をかけようとしたのですが・・
「いいや・・やっぱり・・お前らの血が見たくなった・・」
そういって、我々を儀式といい、いたぶり、羽根をもぎ、そしてあの場所へと磔にしたのです・・。その後あの文字を書かれ、そのショックで全員気を失っていたのです・・。”
と、話終ると鳥族全員が震えていた。
子供は話を聞き思い出してしまったようで、泣き始めた。
「ブラッドはやはり生きていたのか・・」
「どうかお願いです・・トルネ様を・・お救い下さい・・」
そういって、鳥族の大人たちは俺たちに頭を下げ、頼む・・。
「そして・・我が息子・・ガイルの目を・・覚まさせてやってください・・」
そうジャクは言うのであった。そう・・ジャクの息子は、暗黒賢者ガイルなのであった。
「分かりました。必ず・・」
そういい、俺たちは神殿へと向かう。鳥族全員が静かに見守る中、俺たちは神殿へと入っていくのであった。
神殿内部1階・・その空間が物語っているのは、この神殿の役割そのものと言える。
何故なら、ここにあったのはおびただしいほどの石碑・・そして石碑には名前が掘ってある。このことから言えるのは、ここが墓場であるということだ。
その中で、奥の階段近くにある大きな石碑・・ここにはこう書いてあった。
”偉大な魔導士ディン、ここに眠る・・”
ディン・・つまりはディルの父親である。
ディルの父親は死んでいたのだ。だから、ディルはここについて詳しく語らなかったのだろう・・
「さあ、行きましょ・・」
いつも明るいディルが流石に暗い・・この場所がそうさせているからだろう・・ディルの言う通り、早くここから移動しよう・・
2階に来た。
中央に魔方陣らしきものが書かれた、ものがある以外は何もない場所であった。
「あそこが、ウインドへ行くためのエレベーターよ!」
そういって、ヒョウが魔方陣に向かい走る。そして、魔方陣を作動させるために何か呪文を唱えている。すると、どうやら魔方陣が発動したようで魔方陣は光っている。
「いけるわ!」
そういってヒョウが手招きをする。
「じゃあ、行きましょ!」
そういってリュウがみんなを引っ張っていく。
「じゃあ、行くわよ!」
そういって、魔方陣が輝き俺たちは風の城:ウインドへワープした。
次回は風の城での戦いです。
お楽しみに。




